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社内変革なくして、イノベーションは生まれない!

※ 2017年12月にCHANNEL IBに掲載した実施レポートを再録します。大企業での実際の取り組み事例となります。

すでに、多くの企業において重要な経営課題となっている「社内外を巻き込んだイノベーションの創発」。

いまや、イノベーションが起きるのを(気長に)待つのではなく、積極的に仕掛けていくことが求められています。さらには昨今の社会環境の変化によって、「ニューノーマル」と呼ばれる、これまでにはない、あるいはごく一部の生活者の生活様式や行動が一般化する状況において、よりドラスティックな変化が求められています。

そんな企業に向けて、IDLが行っている「オープン・イノベーション支援」。

今回は、株式会社アサツーディ・ケイ様のご協力のもと、株式会社デンソー様で実施したワークショップの事例をお伝えします。

外部を巻き込むために、社内に下地を作る

世界に冠たる自動車部品メーカーとして確固たるポジションを築いているデンソー様ですが、その盤石な経営ゆえに新規事業創造のマインドを社員が自発的に持つことは並大抵のことではありません。

そこで、デンソー様では外部環境にアンテナを張り、感度を高めるべく社内勉強会などさまざまな取り組みを行っていました。今回IDLでは、その一環として、海外カンファレンスの最新事例紹介とワークショップを実施させていただきました。

イノベーションを起こすためのアプローチは、企業が保有するリソースや経緯(失敗と成功)、企業文化を加味する必要があり、多種多様です。ただ、共通する重要なファクターのひとつとして、社内においてイノベーションを起こすための下地をつくることが挙げられます。

組織の壁を取り払い、社内コミュニケーションを密にして、内部から変革を起こす。この「インサイド・アウト」がなければ、社外との取り組みも失敗に終わる可能性が高いのです。

デンソー様の場合、ワークショップで、組織内に少なからず存在するセクショナリズム、いわゆる“サイロ”を壊して、コラボレーションの素地をつくること。さらにはデザイン思考による課題解決手法を体験することで、座学とはまた違った学びを共有することを狙いました。

それでは、当日実施した勉強会の内容について紹介していきます。

第一部 海外のイノベーション最新事情を知る

同社のイノベーションへの期待醸成のネタのひとつとして、インフォバーンCVOでUnchained発起人/代表であるコバヘンから米オースティン市で開催される「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)」の2017年度報告と日本企業が参加する意義や戦略等をお伝えしました。そして、独ベルリン市で開催される分野横断型カンファレンス「Tech Open Air(TOA)」ご紹介と、欧州企業の社内スタートアップがなぜベルリンに集積するのか、また海外自動車メーカーが進めるアクセラレーション・プログラムの数々をご紹介いたしました。

第二部 ワークショップで社内コミュニケーションを活性化

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第二部では、私がデザイン思考のワークショップを担当しました。

今回のワークショップのテーマは、スタンフォード大学デザインスクール「d.school(Institute of Design at Stanford)」が公開している「The Wallet Project」を使用しました。

The Wallet Projectは、その名前のとおり、「理想の財布をつくる」というワークショップです。参加者同士でペアになり、相手の趣味や思考、価値観をインタビューして相手にとっての理想の財布をつくります。インタビューからアイディエーション、プロトタイピング、評価と修正までデザイン思考のプロセスをコンパクトに体験できるワークショッププログラムとなっています。

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参加者の中には、社内とはいえこの日初めて話す人とペアになる人も。ペア同士のインタビューでは、配偶者との思い出や、大切にしているコトやモノ(実は風水を気にしているとか)が見えてきます。普段の業務では直接的に関わりのない社内の人と(ある意味では深い)交流を図りながら、実際に共同作業をすることで、コミュニケーションのキッカケをつくることができるのです。

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ワークショップ中は、活発なコミュニケーションが生まれていました。参加いただいた方からは「デザイン思考のおもしろさを体感できた。価値観が人によって違うことを実感できた」という声も。そもそも同じ会社にいるということは、コミュニティメンバーとして共有する価値観が少なからずあるため、キッカケさえあればつながりは広がりやすいものです。

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ワークショップを単発のイベントにしない

今回のワークショップの狙いが、コラボレーションの素地をつくることであったように、ワークショップそのものはあくまでも手段であり、それだけで課題を解決するものではありません。何らかのキッカケを得て、そこから継続的な活動にすることで、“サイロ”を打ち壊し、ユーザー視点(人間中心)で、社内外(とくに社内)のリソースを最大活用できるムード醸成が可能となります。

ワークショップを通じた社内メンバーとの知的作業は、スポーツにも似た爽快感や達成感があります。ワークショップのあとのビールは最高です!

ただし、それに満足して、社内の“ガス抜き”だけで終わらせてしまっては、疲弊感(社内ワークショップ/ハッカソン疲れ)が蓄積し、形骸化してしまいます。ワークショップを目的化しないためにも、取り組みのそもそもの狙いとアウトプットを明確にして、次の一手(継続的な取り組み)につなげていくことが重要です。

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