見出し画像

ひきこもりの通信制大学備忘録

これは、いじめが原因で不登校になり長年のひきこもりを経た後、通信制大学に入った私が、通信制大学で学んでいる中で感じたことの備忘録です。

通信制大学で学んでいる人はもちろん、これから通信制大学に入学しようと思っている人や、通信制大学について知りたい人にも分かりやすく書いたつもりなので、ぜひ情報収集に役立てたら嬉しいです。

通信制大学への入学を決意するに至った経緯について知りたい方は、こちらをどうぞ。

そもそも、通信制大学とは?

通信制大学とは、働きながら学びたいなどのニーズに応えて作られた教育の仕組みで、1947年に施行された学校教育法によって制度化されたものです。

「通信制大学を卒業しても大卒にならない」と誤解している人もいますが、通信制大学は文部科学省が認定した法律上の学校なので、卒業すれば大卒資格を取ることができます。

通信制大学のメリットについて大まかにまとめると、

・通学制と比べて学費が安い
・大学に実際に行かなくても授業が受けられる
・中卒でも、科目等履修生として一定の単位を取ることで入学資格を得ることができる ※大学による(次の項目で詳しく説明)
・自分のペースで学べる

といったものがあります。
また、大学が家から遠かったり、海外に在住していても授業が受けられるというメリットもあります。

デメリットとしては、

・モチベーションの維持が難しい
・学歴が正しく評価されない場合がある
・スケジュールなど、自己管理が必要

といったものが挙げられます。

特にモチベーション維持に関しては、一緒に学ぶ人がいないので「自分はこれを学びたいんだ!」という強い意思がないと、途中で折れてしまう人が多いようです。

そのため、通信制大学は通学制の大学よりも卒業するのが難しいと言われています。

科目等履修生と正科生の違いとは?

ひとつ前の項目でも触れたように、多くの通信制大学では「特修生」などといった名称で呼ばれている制度を取り入れており、この制度は、高校を卒業していなくても科目等履修生として一定の単位を取ることで入学資格を得ることができる(※大学による)というものです。

この「科目等履修生」とは何なのか、正科生との違いは何なのかというと、学校ごとに細かい違いはありますが、基本的には、18歳以上であれば誰でも登録することができ、開講科目から自由に科目を選んで履修できます。入学資格を得たい人だけでなく、生涯学習や資格取得などの目的で、科目等履修生として通信制大学に出願する人も多いようです。

では「正科生」は何かと言うと、要するに卒業を目指して入学する人のことです。編入学を除いて、基本は1年生からスタートし、卒業要件を満たして最短4年での卒業をゴールに勉強することになります。
なお、学費に関しては大学によって異なりますが、科目等履修生の方が正科生よりも少しお高めに設定されていることが多いです。

私は、まず科目等履修生として必要な単位を修得した後、正科生として改めて出願を出し、現在は通信制大学に正科生1年生として在籍しています。

通信制大学のスケジュール

これは大学によって異なるのですが、通信制大学について調べていた時の主観としては、半年を1期として扱っている学校が多かったです。

半年を1期としている場合、通信制大学に入学するチャンスは、4月スタートの前期と9月スタートの後期の2回となります。出願受付期間は大学によってそれぞれ異なるので、注意してください。

通信制大学での勉強は、主に自分でテキストを読んで勉強する独学に近いものと、映像授業を視聴するものをメインに、履修登録した科目を学んでいくことになります。
大抵の場合、「科目修了試験」に合格することで単位を入手できます。科目修了試験は大学によって期間中にネットで試験を受けられる大学もあれば、必ず会場に赴いて試験を受けなければならない大学もあるので、特にネットだけで卒業したい方や、海外に住んでいて会場に行くのが難しい方は、事前にしっかり確認しておいた方がいいと思います。

通信制大学で学んでみて楽しかったこと、大変だったこと

前述の通り、私は晴れて通信制大学の正科生になり、卒業を目指して勉強しているわけですが、その中で楽しかったことや良かったこと、そして逆に大変だったことについてまとめてみました。

楽しかったことや良かったこととしては、

・好きなことについて深く学べる
・テキストを読むだけでは分かりにくかったところを、映像授業で丁寧に教えてもらえる
・人前で質問するのが苦手だが、ネットを通じていつでも質問できるのでありがたい

というのが大きいです。

まずひとつ目は、大学なので当然ですが、義務教育の頃とは違って自分の興味のある科目を選んで履修することができます。もちろん必修科目もありますが、自分で選んだ学校なので、基本的にどれも興味のある分野についてお話しされていて、とても楽しいです。

ふたつ目について。私は読書が好きなのですが、読んでいる最中に時たま「これってどういう意味なんだろう?」と疑問に思うことと出会います。ネットで調べたり本を読んでいるうちに解決するようなものならいいのですが、なかなか分からないまま読み終わり、「結局どういうことだったの??」となってしまうことも⋯⋯。
ですが、通信制大学では独学ではなく、先生方に教えてもらえるので、テキストを読んでいるときに疑問だった箇所をネット授業などで丁寧に解説してもらえる機会があります。
私も実際、テキストではさっぱり理解できなかったところを分かりやすく説明してもらった経験があり、これは独学では得られなかった学びだと感じました。独学だったら確実に「どういうことやねん」のまま終わってた。

そしてみっつ目。授業を受けても分からない場合は、ネット上で質問することもできるのですが、正直、授業中に先生に質問するのが恥ずかしいと思っている人は多いのではないでしょうか。私も、かつては授業中は分からないところがあっても手を上げて質問できず、授業が終わってから先生に聞きに行ったことがありますが、「なんでさっき聞かなかったの?」と言われるのが怖くて、それも段々とやめてしまいました。
その点、通信制大学では、ネット上で先生に質問をすることができるので、気軽に1対1でフィードバックをもらうことができて大変助かっています。

このように、私は通信制大学で独学では理解できなかった知識を得られ、大変楽しく学んでいるのですが、やはり大変だったこともあります。

大変だったことには、

・試験範囲が分からない
・勉強するのが久しぶりだったので、自分のペースを把握するのに時間が掛かった
・誰かにせっつかれることがないので、怠けてしまうこともあった

といったものがあります。

ひとつ目については、大学によって異なると思うのですが、私が学んでいる大学では「テキスト授業」と「ネット授業(もしくは会場スクーリング)」の2種類があり、前者は科目修了試験を合格することで単位が、後者は最終レポートを提出して、レポートが合格することで単位がもらえる仕組みになっています。
ですが、試験ではテキストのどの辺りが試験に出るのか、全く示されることがありません
通学制では、授業中に「ここテストに出るぞー」などと教えてもらえることもあると思うのですが、そういったことが全くないので、テキスト全体を網羅することが必要になります。膨大なノートを作ったのに、結局試験に出たのはそのうちひとつだけ⋯⋯なんてこともありました。

ふたつ目は、私が通信制大学で学ぶことを決めるまでひたすらひきこもっていたことが関係しているのですが、自分がどんなペースで勉強できるのか分からず、最初は時間を詰め込み過ぎてしまったり自分に合った勉強法がわからず四苦八苦するということがありました。
今では、自分にとって分かりやすい勉強法や、効率の良いノートのまとめ方などが大体分かっていますが、ペースを掴むまではだいぶ苦労しました。

みっつ目ですが、「そもそも通信制大学とは?」の項目でも触れましたが、通信制大学で学ぶには、モチベーションの維持と自己管理がとても重要になってきます。
先生や両親、あるいはクラスメートに「もうすぐテストだぞ」と釘を刺されることがないので、スケジュール管理はもちろんのこと、今日どれくらい勉強するかや、いつまでにどの科目をどれくらい進めるかなど、全て自分で計画を立てる必要があります。
私は最初こそ前倒しで学習を進めますが、余裕が出てくるとついペースを落としてしまう悪い癖があるので、度々自分との戦いを迫られました。

これから通信制大学で学ぼうと思っている方へ

色々書きましたが、通信制大学は自分からアプローチをしたり、自己管理をしなくてはならない反面、「学びたいことが自分で分かっている人」「学ぶ目的を自分で見つけている人」なら、とても有意義な時間を過ごせると思います。

現に長い間ひきこもっていて勉強を全くしてこなかった私でも、正科生になるために必要な単位を修得し、正科生になってから最初の半期では履修した全ての科目の単位をとることができました。
もし、長い間勉強してきていないけど大丈夫かな、とか、自己管理ちゃんとできるかな、と心配に思っている方がいたら、「でもひきこもりだったナツメグさんも単位とれてるしな」と思い出してみてください。

また、「そもそも、通信制大学とは?」の項目で触れた「一緒に学ぶ人がいないのでモチベーション維持が難しい」という点についてですが、私はこれを「Studyplus(スタディプラス)」というアプリで補っています。
このアプリは勉強時間の記録ができるのですが、記録を公開設定にしていると他人のタイムラインに勉強記録が表示され、お互いに「いいね」を押したり、コメント応援したり、勉強を教え合うことができます。最初は自分の勉強のペースを把握するために使い始めたのですが、勉強している場所が違っても、「こうしている今も頑張っている人がいるんだ」という実感がモチベーション維持に役立つことに気がつき、いつの間にか記録よりもモチベーション維持のために使うようになりました。
アプリの使用者は中高生が多いですが、中には社会人や、私のように通信制大学で学んでいる人も結構いるので、すんなり溶け込むことができていますし、若い人たちから刺激を受けることも多いです。

このように、ネットを通じて同じように勉強を頑張っている人と簡単に繋がることができる世の中です。もし「通信制大学で勉強したいけど、励まし合える勉強仲間も欲しい」と思っているなら、スタプラのような勉強記録アプリやSNSなどで仲間を募集してみるのも良いと思います。
また、noteで記事を書いていらっしゃる見習いSWer じろー君という方がFacebookで学びのグループを作っていらっしゃるようなので、そういった集まりを探してみてもいいかもしれません。

長くなりましたが、通信制大学について知りたい方のお力に少しでもなれていたら嬉しいです。


・記事内にて紹介したアプリ、グループのリンク


この記事が参加している募集

最後まで読んで頂きありがとうございます。 サポートは、大学のテキスト代や、母への恩返しのために大事に使わせて頂きます。