The Beatles 全曲解説 Vol.42 〜A Hard Day’s Night
今回から、3rdアルバム『A Hard Day’s Night』の解説に移ります!
アルバム&映画『A Hard Day’s Night』について
アルバム『A Hard Day’s Night』は、1964年7月10日に発売された、ビートルズ3枚目のアルバムです。
実はこのアルバム、初めて映画のサントラとしても製作されたアルバムなんです。
その映画というのがこちら。
1964年7月に公開された、ビートルズ初の主演映画です。
ビートルズのアメリカへのプロモーションを促すという裏テーマのもと作られた作品で、内容はイギリスの皮肉なジョークに溢れたコメディとなっています。
あらすじは、多忙なスケジュールに加え、熱狂的なファンに追い回されつつもライブ活動をこなすビートルズ自身が中心になるものです。
なぜかビートルズについて回るポールの祖父(笑)が、様々な騒動を起こします。
ついにはその老紳士に唆されたリンゴが、こっそり街に遊びに出かけ行方不明に!
ビートルズは無事ショーを始めることができるのか…?
もちろん演技初挑戦の4人でしたが、特にリンゴの演技が高い評価を得たことは有名で、後の積極的な俳優活動のきっかけとなっていきます。
そんな慣れない映画撮影の合間でのレコーディングでしたが、仕上がったのは何と全曲レノン=マッカートニー作品による力作でした。
アルバムとして初めて4トラック機材を導入したり、難易度の高い演奏にもチャレンジするなど、メンバー自身もかなりの力の入れようだったようです。
本格的なアメリカ進出後初のアルバムとなった本作は、ビルボード14週連続1位を記録します。
「ビートルマニア時代」の幕開け! “A Hard Day’s Night”
『A Hard Day’s Night』1曲目。
ジョンの作品で、リードボーカルもジョン(一部ポール)が務めます。
ファースト、セカンドアルバムと同様、1曲目の1秒で全てを持っていくパワーがえげつないです!
この「ジャーン」という音、単純なギターの和音に聴こえますが、実は「複数の和音を重ねている」「ピアノなど別の楽器も取り入れている」など、どうやって出した音なのか未だに議論が尽きないそうです。
ストレートなようで、さりげなく謎を折り入れるマジックが炸裂しております。
タイトルの由来はリンゴが発した言葉。
映画の撮影終了後、一説には二日酔い状態だったリンゴが「今日はキッツい日やったなあ…の夜かぁ It’s been a hard day...’s night」と漏らしたのを、言語感覚に鋭いジョンが気に入ったという逸話があります。
この曲はとにかくサウンドが強力です!
4トラック機材の導入に加えて、基本4編成の他に、ボンゴ、カウベル、ジョージ・マーティンによるピアノが使われ、伴奏が一層賑やかに、パワフルになっています。
更に、「♪When I home〜」の箇所は、ジョンにとってキーが高いため、ポールがリードボーカルをとっています。
この手法はアルバムの他の曲でも使われています。
メンバーが協力しながら曲を盛り上げていく一体感も素晴らしいですね!
そしてやはり、ハイライトは間奏でしょう!
ジョージのリードギターとマーティンのピアノの合奏ですが、お分かりの通りあまりに速い演奏のため、テープスピードを落として録音されたことは有名です。
発表されたばかりの頃はジョージが間奏を演奏できず、ラジオ出演の際は間奏だけレコードに差し替えるという珍事も起こっていました。
エンディングに司会者が割って入って、悪びれることもなく「これをやんないとレコードかけただけって思われちゃうからね〜アハハ」などと嘯いています(笑)。
現代でやろうもんなら始末書ものですね。
ちなみに映画では、オープニングで当時「ビートルマニア」と呼ばれた少女たちに、金切り声を上げながら追いかけられる場面で使用されています。
何者をも恐れない、ビートルズ旋風の始まりを告げた名曲です。
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