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鯖 赤松利市

62歳、住所不定、無職の新人というコピーに引かれて読んでみたけど、いや、これ、久々の大当たりだった。

一本釣り漁師船団の話なんですが、30代の主人公以外は曲者揃い。地元のヤクザを滅ぼした荒くれ者や、すぐに失禁する大男、破滅願望のあるメンヘラなどロクな人がいません。仕事の描写が細かく、これは作者の実体験をもとにした闇金ウシジマくん的な物語なのかな?と思いました。

が、 IT会社社長が登場してからは事業が急拡大。設備を充実させ、最先端の船を用意し、従業員を増やします。底辺私小説を想像していたけど、急にお仕事ものの要素が強くなり、このまま頂点を目指して成り上がっていく物語なのかと思いました。

と思いきや、金や色欲などのせいで登場人物たちはおかしくなり、後半は完全にクライムノベルになっていました。

読みながら、なにを読んでいるのか、読まされているのかさっぱりわからない。テーマもまるで伝わらないのですが、とにかく規格外のエネルギーに圧倒されます。しゃべり言葉は下品だし、暴力やグロテスクな要素もあるのですが、夢中になって一気読みしました。

初期の村上龍や、園子温監督の映画が好きな人にはハマる内容じゃないでしょうか。

そのうち白石和彌監督あたりが映像化するのではないだろうか? こんなん絶対おもしろいやん。


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