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ワインをボトルで飲むススメ。


グラスワインで様々なバリエーションのワインを楽しむことができるのは、確かにレストランならではの魅力の一つです。


「ボトルだと飲みきることができない」

「せっかくだから色んな種類のワインを飲みたい」

「料理の種類に合わせてワインを変えたい」


グラスワインでワインを楽しまれる方々からは、こんな声も上がってくるのではないでしょうか。


もしグラスワインで「いろんな種類をちょっとずつ楽しみたい」のであれば、ボトルワインを飲む目的は「一つの種類をずっと飲んでいたい」ということになります。


たしかにワインの魅力はそのバリエーションの多さだということを考えると、グラスでたくさんの種類を楽しむ方が良さそうです。


ただ今回わたしがお伝えしたい内容は、ボトルだからこそ楽しむことができる魅力がある、ということです。


ただただ、一種類を飲み続けるだけがボトルワインの魅力ではないのです。


1. ボトルワインの事実

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まず最初にお伝えしたいことが、一本のボトルワインの「飲み始め時の味わい」「飲み終わり時の味わい」は違うということです。


飲み始めはなんともはっきりしないような印象だったのに、ボトルの中盤に差し掛かるあたりからなんとなく舌が慣れてきたというか、美味しく感じるような気がする。


ボトルの後半では共に飲んでいる相手に「これ美味しいね」と伝えている。


こんな経験ってありませんか?


それは一本を飲むまでの過程で、刻々とワインの味わいの変化があったからなんです。


2. キーは酸素

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なぜこのような変化がワインには起きるのか。それはワインと酸素の関係がキーになります。


ワインは酸素と触れることで、風味味わいに様々な変化をもたらします。


たとえばグラスにワインを注ぐたびに、液面は揺らぎワインはその時たくさんの酸素を液中に取り込みます。注げば注ぐほど、ワインは酸化によって変化し続けます。


ワインの状態の変化を示す言葉で熟成というものがありますが、この熟成はたとえばワインセラーの中などで、ゆっくりと進んだ酸化活動の結果です。


セラーで長く時間をかけておこなう熟成とは違い、抜栓後からはじまる急速な酸化は急速な熟成とも言えます。


3. 時間を楽しむ

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もしグラスワインの楽しみ方が一話で完結するドラマだとすれば、ボトルワインはシリーズ全六話のドラマ、もしくは映画といったところです。


最初の飲み始めは物語の序章で、徐々にクライマックスへと向かっていく。


たとえば異性とのデートで映画を見にいったとして。一緒にストーリーのさまざまな展開を鑑賞したのち、ラストはハッピーエンドで幕を閉め、二人は良い気分に包まれます。


帰り道で、映画の楽しかった内容についてたくさん話をする光景をイメージしてみてください。面白かった映画ほど話ははずみますよね。


この物語性を飲む相手と共有できるという点も、ボトルでワインを飲む魅力の一つと言えます。


4. ワインとコミュニケーション

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つまり、結果を楽しむというよりも過程を楽しもう、です。


最初はすごくシャイでいまいち特徴がつかみにくかったワインも、飲み進めていくうち徐々に打ち解けていく。


最後はそのワインの本当の魅力というものが、出会った当初の印象よりも明確になっている。


この明確になった状態のことを、そのワインが「開いた」といいます。


誰だって、少し話したくらいではその人が一体どんな人なのかわからない、というのと同じことです。


もしくは、それだけ時間をかけて打ち解けた相手の方が、愛着というものが芽生えやすくなるような気がします。


5. そのワインを知りたければ、ボトルで飲もう

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料理に合わせてワインを選ぶとなると、今日のボトルは白にするべきか赤にするべきか、と悩まれる方は少なくないと思います。


そういった時にぜひわたしがおすすめしたいのは、ボトルワインとグラスワインを組み合わせて飲むということです。


ボトルで白を飲むようであれば、肉料理の時に赤ワインをグラスで注文して飲む。


ボトルで赤を飲むようであれば、最初の料理に白のグラスを飲んで、その後赤のボトルで最後まで飲みきる、といった感じです。


飲み終わるまでに変化が楽しめるワインを探すのならば、そのお店のソムリエにワインのセレクトをお願いしてしまう方が良いでしょう。


セラーでじっくりと眠っていたワインは、抜栓から刻々とはじまる変化が期待ができます。


そこから始まるワインのストーリーは絶対にバッドエンディングというものが無いので、どうぞご心配なく!


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