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2017年12月10日 20:45
旅の帰路、山間を走る電車の車窓から、黄昏を追う。夕日が沈むと、山々は次第に暗くなり、ガラス窓を挟んだ闇の向こうに姿を消していく。昼間は圧倒的だった自然の大きさが、徐々に遠のいていく。木々の輪郭や山々の境界が曖昧になり、一緒くたになって、代わりに民家の光がぽうと灯りはじめる。人間の生活が、遠慮がちに、光を灯して浮き出してくる。時折、カーテンを開け放したままの民家や、高架沿いの小さな企業ビル