シェア
number
2017年10月5日 01:10
コツコツとパンプスの音が響く、仕事帰りの夜道。今夜は十五夜だったことを思い出し、月を探しに足をとめ、夜空を見上げた。あいにくの曇り空だったが、月明りに空は明るく、雲は美しかった。裏側から月光に照らされて、光を帯びた雲の群れは、暗い夜に明かりを灯すように空一面を優しく覆っている。ゆっくりと流れる雲の合間から、時折月が顔を出し、周りの雲に光の輪を映してはまた身を隠し、むら雲がぼうっと光を孕む。