#004: [サッカー] Arsenalのシーズンチケットを手に入れるまでの道のり
さて、満を持してNoteで初めてのサッカーネタを書きたいと思います。
思い返せば2005年、大卒で就職した会社を辞めてまで渡英を決めた時、「英語をしっかり学んで帰ってくる!」という親族へ宣言した建前とは裏腹に、「とにかくサッカー、いやArsenalの試合を観たいぞ!」という本音を心に秘め、一人、ロンドンに辿り着いたわけです。嗚呼、若気の至り。
当時、インターネットはあったものの、集まる情報は今より限定的で、語学学校仲間からの
「スタジアムに行ったら余りチケット譲ってくれる優しいおじさんとか居て入れたよ」
という、今思えば超絶ラッキーパンチにあたった話を真に受け、Arsenalのホームスタジアム、Highbury Stadium周辺できょろきょろしてたら、アッサリと悪質ダフ屋の餌食になり、既に前月に終わった他試合の紙くずチケットを100ポンド(当時のレートでも20,000円くらい)で掴まされる失態を犯したわけです。
これはいけない。この教訓を生かすべく、正規ルートのチケットを手に入れるにはどうしたらよいかと調査し、クラブの公式メンバーに辿り着きました。そもそも、最初からそこ行かないとね、本当は。
公式メンバーは、当時も今も、基本的に以下のようなカテゴリに分かれています。
Red member:
年会費を払えばひとまず誰でも手に入れることが出来るメンバーシップ
チケット購入機会あるが、Silverのおこぼれを待つ
Silver member:
会員数は限定で、誰かが抜けたらRed memberの上位の人が招待される
Redより優先的にチケット購入機会が与えられる
Gold member:
いわゆるシーズンチケット、年間通してその席は俺のもの!
※カップ戦などは含まれないなどの条件は多少あり
ゲットするにはWaiting Listに登録して順番待ちとなる
とりまRed memberになりましたよ、と。当時の年会費が£20くらいだったので、ま、そんな痛くもないかな。応援しているチームだしね。Silverになるのはいつか知らんけど、おこぼれチケット手に入るならいいか。
ついでにGold memberのWaiting Listにも登録してみた。当時は学生ビザだったので、まぁ1年ちょっとで日本帰るだろうから難しいかもだけど、記念に並んでみるか、程度で登録。Waiting List登録料金がこれまた£15くらい。アコギな商売してるなぁ、と思いながら待ってたら、Waiting List証明書、みたいなのが郵送で届きました。
「Waiting Listに登録サンキュー!あなたの順位は、、、
35,000番です~!」
絶対、1年じゃ回ってこねぇじゃん!
まぁ、、、£15はクラブにくれてやんよ。応援してるクラブだからな。
くらいな感じでした。
だって、この世に生を受けて、最初に着たベビー服がArsenalのユニフォームのレプリカ、みたいな筋金入りのサポーターしてるおじさんたちがめっちゃいる中、35,000人も一気にシーズンチケットを手放すなんてこと起きないっしょ。
ということで、黙ってRed memberでチケットゲットに集中する日々が続きました。当時はネット予約が出来なかったので、発売日になったら猛烈に電話です。昔のチケットぴあ、みたいな感じ。もうね、全然繋がらないわけ。で、繋がったらしっかり英語で希望の席を伝え、電話越しでクレジットカード番号を伝えるという、なんともレトロで安全性の欠ける方法で予約してました。で、追って紙チケットが郵送される仕組み。お陰で電話での英会話も度胸が付きましたよ。
とはいえ所詮Silverのおこぼれなので、ビッグゲームのチケットは取れないわけです。当時はまだビッグ6なんて言葉もなかったですが、ただただ、Man UnitedやTottenhamといったクラブとの試合は、いつも以上に電話が繋がらず、繋がったとてSold outと言われて悔しがってたわけ。あーあ、SilverかGoldだったら行けたのになー、なんて思ってました。
ちょっとした裏技、いや、だいぶ卑怯な技ですが、耳が聞こえなかったり言葉が喋れなかったりで電話かけられない人のために、当時のクラブでは手紙での予約を受け付けてくれてました。英語のレターで、希望の席とクレジット番号をしたためてクラブまで郵送すると、さりげにチケット取れてました。手間かかるけど、待ち時間もなく、そこそこ当選率高かったのを覚えてます。
そして迎えた2005-06シーズン。結果、かなり試合を見ることが出来ました。昔の写真を見つけたので紹介します。
当時のボルトンにはナカータがいたのですが、バッチリとArsenalを応援してました。コーナーキックで私の席の近くに来たナカータには、日本語で「コケろ!」と言ってやりました。
※「〇ね」とかは流石に民度低くなっちゃうので言いませんよ
結局、10試合以上見れました。しかも正規の値段なので、確か当時は一階席で£20くらいだったかな。ダフ屋にカモられるなら断然こっちのほうが良いわけで。
当時のメンバーは、アンリ、ピレス、リュングベリ、レーマン、ベルカンプ、A・コール、キャンベルなど、無敗優勝の面々もいたし、ペルシーや、まだ若手のセスクもいました。見ごたえあったけど、この年は優勝まではなかなかだったね。新スタジアムへの移転前、Last Highbury yearとのことで、最終節のチケットは手に入らなかったけどスタジアム周辺には行ってみました。あー、ここも無くなるんだー。一年だったけど寂しいなー、と。
新シーズン。2006-07シーズンの開幕前に、現在も使用しているEmirates Stadiumが完成しました。こけら落としとなるベルカンプの引退試合にも行ってきました。ちょっと画素の粗い写真だけど見つけました。
もう18年も前だって。きもちわるー。そりゃ年取るわけで。
その後も順調にRed memberでチケット取りまくり。オンラインでの申し込みも出来るようになり、電話をかける手間もなくなり、年間15試合くらいは全然行けました。カップ戦や欧州戦含めて、ホームの試合って年間22~25試合くらいあるので、半分以上は普通にチケット取れてました。ただ、どうしても見たいなー、というビッグ6や、CLのバルセロナ戦なんかは取れなかったです。ま、仕方ないよね。これだけ見れればいいや。なんて思ってました。
そして、時は流れまして、語学学校も終え、なんとなく大学も行ってみたりして、流れのままロンドンで就活してみたら採用され、当時ゆるゆるだった労働ビザをサクッと取得し、永住権を取るに至りました。目まぐるしい。
そんなこんなで、私のプレミアライフも安定してきた在英6年目の2011年7月ころ、私の携帯電話に一本の電話が入ります。
「Congratulations!」
電話を受けた時の第一声がこれでした。
怪しい…。
完全にいかがわしいセールスか詐欺の電話じゃないかと思ったわけで。
私「なんですか?」
相手「こちら、Arsenal Football Clubです!」
私「はぁ、、、(ホントか?)」
相手「おめでとう~!あなたの番になりましたよ!」
私「な、私の番って、何の?」
相手「シーズンチケットです!Gold memberです!」
なんやて~~!?!?
すっかり忘れていました。
2005年に登録し、1年で帰国するだろうと思って35,000番目なんてムリムリと思ってた、あのWaiting List、ちゃんと生きてたんだ~!
当たり前っちゃ当たり前ではあるが、6年越しだとびっくり仰天。
平日、会社で仕事中だったので、これまたどうしたもんかとキョドっていたら、
相手「ご希望の席はありますか?」
と畳みかけるように聞かれ、あらま、どうすれば良いもんかと。
急いで上司にバレないようにネットで「Emirates stadium seating map」をググって検索し、はて、どこが空いているのか、と聞き返すと、基本的には2階席しか空いてないとのこと。
ま、それはそれで良いのだが、肝心なのは値段。2階席は高い。
日本では砂被り席、スペシャルリングサイドみたいに、近ければ近いほど高い傾向にありますが、ここイギリスのサッカーは2階席の方が高いんです。サポーターが全員、監督気分なんでしょうね。ピッチの反対側までちゃんと見れる方が良い、となるんでしょう。
そんな2階席の中でもお値段がお手頃な席を指定し電話を終えました。「追ってメールするので、その後支払いのためにまた電話かけるねー。その時にクレジット番号聞くのでよろしくー」と。出た、電話でのカード決済。大きい買い物だからドキドキするじゃないのさ。
確か当時の値段で£950くらい。2011年は最高潮にポンド安だったので、1ポンド130円くらいか。それでも12万円越え。安くないよね。
確認のメールが来て、電話もちゃんと来て、番号を伝えてこれで完了。そして、翌月にこれが届いたわけです。
ひゃっほう~!
これで、どんな対戦相手だろうと、もう俺の席がある!絶対に見れる!素晴らしい!ビバ・シーズンチケット!
多分、旧スタジアムから新スタジアムに移転した際に、キャパがごっそり増えたのが影響していたんだろうな。同じ会社にいるアイルランド人は、10年以上待って、このスタジアム移転でようやくシーズンチケット手に入ったと言っていたので、私は結構ラッキーな方ですね。
※ちなみに、今はもっとWaiting List並んでて、全く動かないらしいです…
あれから早いもんで13年。
今でも同じ席で観戦しております。
し、2024-25新シーズンも同じ席で迎えます。
私の席の周りに座っている人たちもほぼ固定の面子。
右斜め前のご夫婦は双子の息子さんを授かり、その子たちが今年で8歳。時折、一緒に観戦に来てたりします。3列前のボブ・マーリーみたいな黒人さんはいつもキックオフに5分遅れてきます。2列前のイケイケお姉さんも最近は落ち着いた面持ち。1列前のおばあ様も毎試合元気に来てます。右隣のご婦人は、相手がシュートするたび「Oh no!」と息をのんでます。
あまり会話することはありませんが、なんだかファミリーのようです。
そんな新しいシーズンが明日(8/17)始まるわけです。ワクワクしないわけありませんよね。どこが優勝するだとか、誰がどんなプレーするだとか、やれ戦術がどうだ、なんて話をするのも聞くのも楽しみではありますが、このイギリスという国の、「Football」を楽しむ全ての環境を肌で感じることが一番の喜びになっています。
皆様も是非、好きなクラブを作って応援してみてください。
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