中国広告紹介「役立たずAIケンタッキーおじいさんが中国eスポーツ界で話題？！」
eスポーツという言葉を皆さんはご存じですか？
eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えた言葉です。
2021年の中国のeスポーツ業界の年度総売り上げは約3.4兆円（為替レートは2022年7月時点）で、日本の市場規模61.2億円（2019年）の約555倍という、かなり大きい市場となっています。
今回紹介するのは、中国のeスポーツ業界で成功した斬新なマーティング事例です。
中国でも有名なケンタッキーは、2018年に中国のeスポーツ市場に進出し始め、世界中で人気のeスポーツゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の中国エリア大会「LPL」のスポンサーになりました。
中国市場に向けてケンタッキーが生み出したオリジナルのバーチャルキャラクターが「KI上校」です。
KI上校はeスポーツの試合で何をしているのでしょうか？一緒に見てみましょう。
画面の下にある折れ線グラフは、最初に出された試合の流れの予想です。前半は赤チームが好調で、後半は青チームが逆転する可能性が高いと予想されていることが分かります。
実は、「KI」という名前は「KFC AI」の略語で、ケンタッキーと中国の情報技術企業iFLYTEKが共同開発したAIアルゴリズムなのです。このシステムはゲームに関する情報に基づき、試合の流れが変わるタイミングや試合結果などを予想することができます。
しかし、eスポーツの世界では選手のスキルやアクシデントの発生によって試合が大きく動きます。データをベースにして分析するKI上校の予想は、よく外れることでファンの間ではネタとなっています。
「KI上校が予想する結果の反対の結果に賭ければ豪華な家が買える。」
という皮肉のようなネタがゲームファンの間で話題となり、度々バズって来ました。
AIのくせに予想が外れるという、本来苦情が出そうな失態に対して、そんなダメダメな感じが却って中国のネット民に受け入れられた珍しい事例となったのです。
2018年から2021年の4年間、ケンタッキーはLPLのスポンサーとして、試合中にクーポンを配布したり、ケンタッキーの実店舗にて観戦イベントの開催を行ったりして大会を盛り上げていました。
KI上校は、ケンタッキーのキャンペーンの告知を行い、ゲーマーたちと一緒に国内外の試合で中国の各チームの応援をすることでファンとの交流を深め、今では多くのゲーマーから愛されています。
（出典：https://m.weibo.cn/1687422352/4427793314439056）
残念ながらKI上校は2022年のLPLの予想担当から外れてしまったのですが、ここ数年はその認知度を生かして、pcゲームだけではなく様々なスマホゲームともコラボを行なっています。
また、KI上校というキャラクターを全面に押し出さなくとも、
ケンタッキー×ゲームのコラボで成功しているケースも多くあります。
（出典：https://m.weibo.cn/status/4549117541624597）
2021年からは、KI上校は中国で人気のあるバーチャルアイドルグループASOULとのコラボを始めました。
（出典：https://m.weibo.cn/status/4689950526668968）
ここまでくるともう何でもありという感じですが、バズって勢いのあるうちにできることはなんでもやる、という中国特有の気概を感じさせてくれる貪欲な展開です。
AIや科学技術で世の中をリードしているように見える中国ですが、ネット民から愛されるキャラは予測の当たらないAIというのはとても面白い現象ではないでしょうか。
一方で、中国のネット民がダメダメなものに対して愛情を持ってネタにしていくという行為は日本にも通じるものがあります。
日本は愛されるキャラクターを作る能力が高いので、例えばアニメや漫画の原作から切り離して、中国でこういった縦横無尽なコラボ展開をするキャラクターも現れると一気に人気を獲得できそうですね。
どんなIPが流行に乗るのかはなかなか読めず、多産多死が常です。その中で偶然にもうまく行ったIPを最大限活用するというのは中国特有の文化です。
ともすれば節操のない展開に見えるかもしれませんが、それも踏まえて中国市場の面白いところだと思います。
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