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【詩】+【エッセイ】=紫陽花

あじさい


赤い欠片が散る
青い欠片が散る
紫の欠片が散る
青い欠片が散る

散った後に何が残るのか?
──雲の隙間から覗く太陽

あっちに行っては
色を吸い、
こっちに寄っては
土をくぐって。
雨に魅入られた魔性の女。
虹ほどに、自由ではないけれど。

移ろい変わっていく。
人の想いなどお構いなしに
ただ そこへ一つの花を添えるだけ


2007/06/26


「紫陽花」という女性像

 上記は、学生時代の詩です。時期的に考えて、当時の私はまさに、紫陽花を眺めながら書いたのでしょう。今、記事に打ち直していて気づきましたが……全体的に青味の強い作品ですね(笑)。

 ザ・梅雨空を仰ぎながら、本日連想したザ・風物詩の花、紫陽花。か~ら~の~過去詩の追憶に至ったのですが、わりと考え込んでしまったことがあります。

 それは、紫陽花を擬人化したとして、それが女性だった場合、どのようなキャラクターになるのか。(今どきは、そもそも花=女性という固定観念はおかしいとの論点もありますが、まとめる自信がないので今回は女性限定で書かせて頂きます……)

 皆様なら、どう描かれますか?


学生時代の私が思い描いた「紫陽花」

 詩からお伝えできていれば幸いなのですが、『あじさい』を書いた当初、私がイメージした紫陽花は、いわゆるファムファタールです。

 とはいえ、復讐のために破滅に導くなんて激情の悪女ではなく、無邪気に男を手玉に取り堕落させる小悪魔タイプ。……どちらにしろ色気は多め?(笑)

 紫陽花の最大の特徴は、育った土により花の色が変わること。そして、その色はいずれも透明感があり美しいこと。私はそれを、状況に合わせて生き抜く、したたかでしなやかな女性像に見立てたのです。

 アニメでいうと『ルパン三世』の峰不二子が近いでしょうか?

 ミステリアスで、賢くて、自信に満ちていて余裕もある。妖艶にも可憐にもなり得る。同性から、密かに憧れを持たれる孤高の存在。そんな女性を紫陽花だと思ったのです。


温水温として改めて描く「紫陽花」

 でも、現在の私が紫陽花を女性にしたとき、果たして峰不二子になるのかというと、違うのです。その事実に一番、自分で驚いたかもしれません。

 どう違うのかというと、もっと身近な、日本に昔からいる貞淑な女性なのです。弱いわけではない。不幸というわけでもない。でも自己主張はせず、半歩下がり、周りの空気をすごく見ている。周囲を立てる。まさしく大和撫子(これも花の名なので、適切な表現ではないかも。笑)。

 このような女性像は、現代では美徳とされないですね。レトロ美人です。前述の紫陽花とは、真逆の立ち位置かもしれません。


紫陽花は

 今日これを書くために、紫陽花のことを調べました。恥ずかしながら、私は勝手に、白い紫陽花は中性の土で育つと思い込んでいました。でも違うのですね。アナベルという品種だから白いんですね(苦笑)。

 土により色の変わる品種は、やはり青色~紫~ピンク(赤)で変わるようで(有名な異例があればすみません、勉強不足です)。

 あれ、なんか少ない
 確かにそう思ったのです。確かに、土によって色を変える、変化を持つ花には違いない。でも、そのレパートリーは少ないかもしれない。

 それだけじゃない。同じ株でも土による花色の変化はあるけれど、それは花自身の変化ではない。環境によって変化せざるを得ない、不自由な側面がある花でもある。

 そう。私は、紫陽花を自由だと思っていました。

 もしも花に意思があるなら、土の性質を人が勝手に変え、花色が変わることをどう感じるのだろう……。
 私なら、不快に感じる。

 それなのに、どうだろう。
 紫陽花は今日も綺麗に咲く。

 この考えに至って、私は私の色が変わったかもしれないことを悟りました。それは単なる年齢による変化かもしれない。いや、環境の変化の方かもしれないけれど、今までになかった新しい価値観なのです。

 それが良いのか悪いのか、成長なのか後退なのか。
 相も変わらず、変化は雨の中。


 ところで、皆様の紫陽花はいかがですか?

トップ画像は、ヤサグレフクロウさんからお借りしました。敷き詰められたような、色とりどりの紫陽花。素敵です♪

スピードアップ強化週間なのに時間が掛かった……。3時間。(※独り言)


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