大学ぼっちだった私に関わり続ける変なやつの話②
高身長の彼に彼女ができた。
聞くと、人生で初めての彼女だという。
私は高校時代に2人付き合ったこともあったからか、どこか余裕をもってアドバイスなんかもしちゃったりしていた。
恋愛相談を聞いていたこともあり、応援していたので祝福の気持ちはあった。
その一方で、心に何か引っ掛かるものを感じていた。
きっと、またひとりぼっちに戻るんだって感じた寂しさからだろう。
そんな大きな変化があったにもかかわらず、次の日の2限の授業中。ラインの通知が。
「お昼一緒にたべれる?」
どんな感情なのかわからないけれど、なんだか安心した。
きっと彼女の惚気話でも聞かされるのだろう。
彼女ができたところで変わらずくる「お昼食べよ」ってライン。
この時点で関係性は謎だが、向こうもグループで食べるのが好きじゃないとかなんかだろうと思っていた。
私にお昼食べる友達はいないから、断る理由もない。
今思えば彼女がいる男子と関わるなんてどうなんだって思うけど、当時は「1人が嫌」、ただそれだけの理由でなんとなく一緒にいた。
お昼食べよってライン、毎日言ってくれるのは嬉しいけど、毎日言わないと会わないこの関係。
いつかこのラインもこなくなるのかな。
そんなとき、学部でぼっちだった私もついに部活をはじめた。
軽音楽部に所属した私は、入部してすぐバンドを組むように言われた。
といっても、私には友達がいない。誰かと一緒に入ったわけではないので、非常に焦った。
そんなときに勇気を出して声をかけたのが、タキくんという人柄の良さそうな男子である。
笑うと目がなくなるタイプのタキくん。
タキくんはすぐに私を受け入れてくれて、彼と彼の友達とバンドを組むことになった。
彼含めた男2女2のバンドメンバーで仲良くなった。
友達ができたといっても、学部がみんな違うため、学部ぼっちには変わらないのだけれど。
「タキくんといい感じちゃうん?」
高身長の彼といつものようにお昼を食べているとき、そんなことを言われた。
確かにそのころ、一人暮らしのタキくんの家でバンドメンバーとたこ焼きパーティしたり、ライブに行ったりするようになっていた。
そんなことを彼に話してたのだから、そう思うのも無理はない。
ただ、恋愛感情なんてひとつもなかった私は「そんなんじゃないよ」と言うだけだった。
彼とお昼食べた後、授業はバラバラなので、いつも解散する。
しかし授業が終わったあともなぜか一緒にいることが多かった。
「7号館でしゃべろ」
いつも彼からのラインで会うのがお決まりだった。
私から誘うことはほとんどなかったのに、なんで懲りずにラインしてくれたのかは謎である。
でもその短いラインが、私にはとても嬉しかった。
その頃には少なからず、どこか彼に惹かれている部分があったのだろうと思う。
彼女持ちという部分で、自分から誘うことはなかったが、彼から誘われたときに断ることはなかった。
彼女持ちであるのにも関わらず、女子である私と毎日一緒に過ごす彼はクズなのではないかとも思った。
彼女と別れてほしいとか付き合いたいとかはひとつも思わなかった。
課題なんかしたりお菓子食べたり。
彼の恋バナもきくことがあるが、理解できないことも多かった。
「彼女と、どんな別れ方しようかって話を笑いながらする」
別れを見据えて付き合うとかなら聞くけど、どんな別れ方するかなんてラブラブのカップルがすることなのかな。
ほんと変わってる。
しゃべった内容はたいして覚えてないけど、放課後の暇つぶしになにしていたのかはよく覚えている。
それは、大学内の探検である。
大学は用事がある建物にしか行かないため、知らない場所がたくさんある。
そんな気になるところをウロウロしていくだけである。
おかげで大学中のトイレの場所を把握したりお気に入りのトイレをみつけたりすることができた。
小学生みたいだけど、そんなことが楽しかった。
大学に行っても学部で喋る人なんていないから、彼としゃべることが唯一の救いだったような気がする。
好きなタイプでも優しい人でもなんでもない。
ただただ一緒にいるだけで落ち着いた。
こんな関係が続けばそれでいい、そう思っていた。
そう思っていた矢先、彼が学校にこなくなった。
③へ続く
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