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学生さんが卒業後に寄せてくれた声(その1-2)

現役時代にS授業評価があり大変参考になりました。今は引退の身、果たして自分の授業が学生さんたちの卒業後役に少しでも役立っているのだろうかとても気になります。故加藤寛先生が「学生は未来からの留学生」、真の授業評価は学生さんたちが卒業後それぞれのworking placesで下す評価と仰っていたからです。それで時々連絡してきてくださる元学生の皆さんに私の授業がどのように役立ったか聞くことにしています。特に英語については職場で使えているか、具体的にどう使っているか、授業が少しでも役立ったか、手紙、メール、そして話の中から拾い出すことにしています。

(その1-1)で慶應経済学部時代の卒業生(1986年)でシカゴ市在住の武本粧紀子さん(実名公表の許可を得ています)が寄せてくれたメールを紹介しました。イリノイ大学にて"人事管理"Labor & Industrial Relations"(現School of Labor and Employment Relations )で修士号MAを取得しました。現在シカゴ市でRecruting Advising Firm Pasific Advisory Serviceを経営しています。今回(その1-2)では、武本さんがアメリカでの仕事について具体的に書いてきてくれたので以下そのままお届けします。


武本粧紀子さん

当初の予定に反して、私は結局MBAは取得せず、普通の修士号を取得しました。専攻は人事管理です。ちなみに、MBAのプログラムの中に人事管理が入っている学校もありますが、私がイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で勉強したプログラムは人事管理に特化したものでした。

日本を出てきたときには、修士号を取得したらすぐ日本に帰るつもりだったし、実際に日本にある会社さんからも人事部で働く、という条件で内定をいただいたところもあったのですが、「慌てて日本に帰国せず、とりあえず米国で働こう」と思い、仕事を探し始めました。

最初はアメリカの企業に応募したのですが、ほぼすべての企業から日本支社で働くことを提案されました。あちらの立場からすれば、米国でわざわざ労働ビザを申請してまで、外国人の私を雇う意味がなかったのです。それよりも、日本支社に米国の文化と英語がわかる日本人を置いておいた方が、よほどメリットがあるのです。

そういった米国企業の実情もだんだんわかってきたため、作戦を変えて、米国にある日本企業で米国で雇ってくださるところを探しはじめました。
丁度、米国日本通運が人事部で米国の人事管理を勉強した人を探しており、私の為にポジションも作ってくださり、最初は労働ビザ、その後、永住権を取得してくださりました。結局、米国日本通運には20年近く勤めていました。その間、日本から駐在員としてこちらに来ていた現在の夫と結婚し、出産・育児までしました。米国日本通運さんには非常に感謝しております。

子供もだいぶ大きくなり、そろそろ次のステップを考えようかな、と思っているときに、丁度現在の私の会社の元のオーナー社長と知り合いになりました。その方は当時、第一線を引退して、日本に帰ることを考えていらっしゃいました。私のバックグランドを知って、「俺の会社を買わないか?」という話になりました。ということで、私がその会社(Pasific Advisory Service)を譲り受け、今に至っております。

弊社は、人材紹介、人材派遣、人災コンサルティングの仕事をしております。

人材紹介・派遣をご依頼される90%のお客様は日系企業さんです。日本語を話せるバイリンガル人材を探す場合もありますし、日本語ができない、英語のみの人材を探す場合もあります。ただ、日本語ができなくても構わないポジションでも、やはり日系企業で馴染める人と馴染めない人はおりますので、ご依頼を受けた以上、長く働いてくれそうな、馴染めそうな人材をご紹介するようにしています。

もちろん、お仕事を探したい、という候補者の方々のご相談にも乗ります。あまりにも理想と現実が乖離している場合には、候補者の方にはっきりそう申し上げるようにしています。

その他、主に日系企業向けに日本語のセミナーをしたり、アドバイスをしたり、コンサルティング業務も行っています。日本から米国に駐在でいらした方は、英語がさほど得意でない方もいらっしゃいますので、必要なセミナーを日本語で受けたい、というご希望も一定数あります。

社員の給料をいくらにすべきか、どのような福利厚生を与えるのが一般的か、従業員ハンドブックが現在の法律にあっているか、社員や元社員から苦情が出ているけれど、どう対処すべきか、などというご相談にも乗ります。必要があれば、英語で手紙やメールの返事のドラフトも書いたりもします。


武本さんは卒業後現在に至るまで頻繁に近況を知らせてくれていますが、筆者の知る限り、アメリカで女性としてアジア人としてさんとも会いました。当時息子さんは中学生と高校生、帰国させ日本の大学に入学すべきか考えていましたが、2人とも将来のことを考えて地元のIllinois State Universityに進みました。賢明な選択であったと思います。武本さんはこの40年間、日本のみならず現地アメリカにおける女性地位向上の為そのフロンティアで頑張ってきた女性の1人です。1980年代の慶應経済学部は1組50余名で男子学生が大部分で女子学生は2,3名多くて4,5名でしたが、個性豊かでクラスをよくまとめてくれて卒業後も各界で活躍しています。武本さんはその一人です。



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