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不可思議亭奇譚

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サックリと読める掌編ホラーをアナタに・・・。
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2015年2月の記事一覧

【甲乙】の章

『甲』 こう・こうぼく・きのえ 木性(守備本能)の陽。 樹木を表している。 「自我」「独…

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【甲乙の怪】 真夏の初恋

うだる程暑い昼下がり。 僕は親に言い付けられた、特に急ぎとも感じられない用事を果たすため…

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【壬癸】の章

『壬』 じん・じんすい・みずのえ 水性(習得本能)の陽。 海・大河・湖を表している。 「…

【壬癸の怪】 雨音・足音

連日30℃を超える猛暑日が続く、今年の夏。 クーラーの冷気も届かないキッチンで、嫌になるく…

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【壬癸の怪】 バスルーム

引っ越したばかりのアパートでシャワーを浴びる。 排水口に向かって渦を巻くお湯の流れが淀ん…

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【庚申】の章

『庚』 き・こうきん・かのえ 金性(攻撃本能)の陽。 鉱石・鋼鉄・刀剣を表している。 「…

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【庚申の怪】 モニターホン

残暑厳しい、寝苦しい晩夏のことです。 扇風機のタイマーをかけて布団に転がり、ようやく眠りに落ちる寸前。 いきなりインターホンのチャイムが鳴り響きました。 「こんな時間に?」 私は憤慨しながら目を開けました。 おかしな事に他の家族が起きだしてくる気配はありません。 仕方なく布団を抜け出し、インターホンのモニターを覗き込んで……息を呑みました。 そこに映し出されていたのは息子の寝顔。 暗闇の中で撮影したと思しき、素子の粗い画像がモニターの中に次々と現れます。 そ

【庚申の怪】ケ イ タ イ デ ン ワ

傘をさしても全身に降りかかる雨にため息をつきながら、待つ人もいない自宅への帰り道を急ぐ。…

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【庚申の怪】 歩道橋の記憶

結婚前に住んでいた家のすぐ側には、国道が交わる十字路があった。 自転車は専用のゼブラを利…

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【戊己】の章

『戊』 ぼ・ぼど・つちのえ 土性(引力本能)の陽。 山を表している。 「奉仕」「愛情」「…

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【戊己の怪】 生えくるもの

朝から顔を洗おうと、歯ブラシを手にした時に気がついた。 人差し指の先に長い髪の毛が絡んで…

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【戊己の怪】 お裾分け

「あたしさぁ、霊とか視えるんだよねぇ」 最寄駅近くのファストフード店で遅めの昼食兼早めの…

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【戊己の怪】 白い指

幼い頃に家の庭をスコップで掘ってたら、白い手が出てきた。 まるで白いイモムシの様に指を動…

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【丙丁】の章

『丙』 へい・へいか・ひのえ 火性(伝達本能)の陽。 太陽を表している。 「明朗」「寛容」「芸能」という性質を持つ。 元は「顕(あきら)か」という意味を持ち、草木の成長が始まって その姿がはっきりしてきたという意味。 火の兄 陽気の発揚 ◆ 『丁』 てい・ていか・ひのと 火性(伝達本能)の陰。 灯火・蝋燭の火を表している。 「孤独」「反骨」「芸術」という性質を持つ。 壮丁(そうてい。壮年の男性の意)という言葉が今も残るように 草木が大きくなり充