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『グリーン・ジャイアント〜脱炭素ビジネスが世界経済を動かす〜』森川 潤

COP26もあり、SDGsや脱炭素に向けた取り組みが連日ニュースで流れている。正直、この本を読むまでは、なぜこんなに政治や経済がCOPに対して盛り上がっているのかピンと来ていなかった。この本を読み、COPだけで盛り上がっていたわけではない事を知った。自分の情報収集が世界の動きに追いついていなかっただけなんだと、危機感を感じる本である。

概要

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電力・エネルギー分野

今、我々が生きる2020年台の始まりは、後に「あれが歴史の転換点だった」と認識されるかもしれない。その一つの象徴的瞬間は、2020年10月7日に訪れていた。
米エクソン・モービルといえば、ガソリンスタンドの「エッソ(Esso)」「モービル(Mobil)」などを通じて、日本でも誰もが耳にしたことがある名前だろう。つい10年前まで、世界のすべての企業の中でもトップの時価総額を誇った。
だが、この日、そのエクソンがエネルギー界の王座から転落した。しかも、新たに時価総額でトップに立ったのは、ほかの巨大資本ではなく、誰も知らぬ地方のエネルギー企業だった。

このような文章からはじまり、アメリカのネクステラ・エナジーという知名度のない地方電力企業が自然エネルギーを通じ、瞬く間に「グリーン・ジャイアント」と呼ばれるような存在へ台頭してきた過程が詳細に描かれていく。
そのほか、ヨーロッパでも大規模な洋上風力発電への取り組みも興味深い。

投資・マネー分野

ゲイツは2021年2月に発売した書籍『How to Avoid a Climate Disaster』(邦訳『地球の未来のために僕が決断したこと』早川書房)で、ダイベストメントへの立場を変えたことを明らかにしている。「2019年、石油・ガス会社の直接保有部分をすべて売却し、ゲイツ財団の寄付金を管理するトラストも同様に売却しました」と書籍の中で打ち明けた。

このほか、私たちの年金の積立金の運用がESG投資に舵を切りはじめている背景や、GAFAMの最新の投資動向についても勉強になった。

イノベーションと新しい価値観

日本で「植物肉」と聞くと、動物愛護やビーガン、ベジタリアンを思い浮かべるかもしれないが、植物肉の人気に火がついた一番の要因は間違いなく気候変動である。これは筆者が痛感する日本と米国の最も異なる部分の一つだが、米国都市部のミレニアル世代以下の若者は「自分たちも環境問題には責任がある」と公言して、当たり前のように植物肉を食べている。牛肉も食べるのだが、徐々に減らして環境に良い肉に代えていこうという「フレキシタリアン」は、少なくともニューヨークの若者では全く珍しくない。

国際合意や法制度上の変化だけではなく、人々の価値観が大きく動いていることがわかる。日本では感じづらいが、かなりダイナミックに人々の意識が変化し、そこに世界のマネーが流れこんでいる。

まとめ・行動

世界は本当にダイナミックに動いている。じゃあ自分がどうするか?牛肉食べるのをやめる?まずは情報を自分の中に留めないこと。ファクトに基づいたいま読むべき本として、この本をまずは周りの人に広めていこう。

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