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『走って、悩んで、見つけたこと。』大迫 傑

大迫傑の人柄と、マラソンのことがよく分かる本。シンプルで研ぎ澄まされた思考と、競技に向かう真剣な姿勢がほんとにカッコいい。マラソンへチャレンジするのは、彼にとっても他の競技とは違って特別なことだったんだ。

常に1番にこだわる

経歴には、中学時代から本格的に陸上をはじめたと書いているが、小学校の頃から徒競走は得意だったとのこと。これほど強烈に悔しい思いを持続できる小学生って中々いないと思う。

小学校4年生のときです。それまでずっと1位だった徒競走で、初めて2位になったことがありました。それが悔しくて悔しくて、それからしばらく、僕はずっと手のひらに”1番”と文字を書き続けて生活していたんです。朝起きたら自分で”1番”と書いてから、学校に行く。いつまで書いていたかは覚えていないのですが、子供の頃から1番に対しての思いは変わっていません。

大迫傑『走って、悩んで、見つけたこと。』P142

とにかくシンプル

日々の練習、競技に対する姿勢、とにかくシンプルに考えていることが印象に残る。大迫傑のようなプロランナーでも練習が辛くて憂鬱になることがあるんだなぁというのが当たり前だけど少し励まされるような気がした。

僕はあまり先のことを考えるとどうしても疲れてしまうタイプです。明日の午前中はまたハードなトレーニングをしなければいけないんだと思うと憂鬱になることもあります。だからこそ今、目の前にあることに集中するようにしています。結果やライバルと同じで、未来は自分の想像でしかない。~
きちんと今を積み重ねていれば、レースの直前に自分を信用することができます。練習さえきちんと積めていればあとはタイミングの問題です。たまたま合うこともあれば、合わないこともある。でもそのときのために常に準備をし続けていることが大事。

大迫傑『走って、悩んで、見つけたこと。』P77

大迫傑の「42.195Km」との向き合い方

中学から様々な陸上競技や駅伝で華々しい経歴を持つ彼であってもマラソンの距離に対しては、謙虚さをもっている。

当たり前のことですが、マラソンは42.195Kmを走る競技です。この距離に対して、僕は恐れや不安を持っています。
単純に長いと思うこともありますが、今までの一戦一戦を振り返っても、僕の中では持っているものを限界まで出し切ってゴールをしたというイメージがあるからです。

大迫傑『走って、悩んで、見つけたこと。』P123

そんなマラソンであっても、やっぱり目の前の今に集中し続けていることと、自分を客観的に分析すること。マインドフルネスに近いような感覚です。

マラソンにおいてはきつい瞬間があっても、そのあとに楽になる瞬間が絶対にあります。それを知っているから、きついことにも対応できる。きついと感じたら、今に集中して、その状況を冷静に判断して対応していく。もしかしたら、その先もずっときついかもしれませんが、楽な瞬間がすぐに来るかもしれない。きついな、嫌だなというネガティブな感情も”自分って嫌だと思っているんだな”と自分で受け入れて理解をすると、対応の仕方が分かるようになります。

大迫傑『走って、悩んで、見つけたこと。』P150

まとめ

言葉にするとシンプルで単純に思えることでも、それを継続すること突き詰めていくことがどれほど大切で難しいかということを思った。彼のマラソンランナーとしてのキャリアは一区切りを迎えたけれども、同世代の一市民ランナーとして今後も注目していたい。


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