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『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン

リモートワークということもあり、スクリーンを見ている時間がどんどん長くなっているこの頃。デジタルデトックスや、子供への影響の深刻さについては、著者の出身であるスウェーデンを始め、欧米のほうが研究や知識共有が一歩進んでいると感じます。

概要

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興味深いトピック

・ストレスのシステムは、長期・継続ではなく、短期・単発に適して発達してきたものであるという主張。

ストレスのシステムであるHPA系が存在するのは、私達に感情があるのと同じ理由だ。つまり、生存のため。体や脳の他の部分と同様に、ストレスのシステムは祖先たちが暮らしていた、今より相当危険の多い世界で生き延びるために発達した。当時の危険は、今より頻度が高かっただけでなく、瞬時の反応を迫られるようなものがほとんどだった。(中略)つまり不意にライオンに遭遇すると、HPA系が「気をつけろ」と警報を鳴らす。この反応が視床下部で始まり、下垂体が副腎にコルチゾールを分泌するよう要請するのだが、そのコルチゾールがエネルギーをかき集め、心臓の拍動を強く速くする。ストレスを感じて心拍数があがあるのは、誰しも経験があるだろう。なぜ上がるのか。それは、ライオンに遭遇したら、素早く反応して、攻撃に出るか、走って逃げるかしなければならないからだ。

ストレスが現代のように長期で、慢性的にかかり続けるということは、人体のシステム的に設計されていない事態ということ。スマホそのものが悪なのではなく、スマホ依存の生活を長期的に送ることの危険性に関する著者の主張は、このあたりからきている。

・マルチタスクをするほど脳の報酬系が働く

複数の作業の間で集中を移動させることで、気持ちがよくなる。これは私たちの祖先が、この世のあらゆる刺激に迅速に対応できるよう、警戒態勢を整えておく必要があったせいだ。わずかな気の緩みが命の危機につながる可能性があるのだから、何事も見逃さないようにしなければいけない。(中略)集中を分散させ、現れるものすべてに素早く反応すること。脳はそうやって進化してきたのだ。

この本を読めば読むほど、もともと人間が持っている狩猟採集時代で培った原始的な脳の仕組みというのは、現代にまったくもって適応しない、不便だものだと感じる。

行動すること

この本を読み、うまくストレスを減らしつつも、スマホと付き合っていくために実践してみようと思っていることは2つ。

・寝室にスマホを持ち込まない。→シンプルに充電器の置き場所を変える。

・自分のスマホ利用時間を振り返る。→iPhoneのデフォルト機能である「スクリーンタイム」をウィジェットへ追加する。現時点の平均スクリーンタイムは、2時間11分。他にもいろんなデバイスを見ているのでできれば1時間ぐらいに抑えたいところ。

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