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#イベントレポート「成功事例から導く!投資対効果の出る採用広報の実践論」

「nikkeisha start-up table」では、スタートアップの「1→100」のために、成長期に直面するさまざまな悩みや課題に応えるべく、“社会との対話“の機会を提供しています。

事業を成長させていくにあたって不可欠な人材獲得。一緒に事業を進めてくれるメンバーを獲得するための、計画的な「採用広報」もまた非常に重要です。しかし、採用広報をどのように始めたら良いのか、そもそも必要なのか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。

先日、「成功事例から導く!費用対効果の出る採用広報の実践論」と題して、採用広報について基本から考えるウェビナーを開催しました。その中で、多くの企業の採用広報に携わってきたスローガン株式会社の西川ジョニー雄介氏に語っていただいた、成長に不可欠な人材獲得について知っておくべきポイントを、少しだけご紹介します。

■なぜ今、「採用広報」が重要?

ウェビナーでは、具体的な事例も交えながら西川さんに基礎知識からお話しいただきました。

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なぜ今、採用広報が重要なのか。まずはそこからお話します。

現在、採用候補者と接点をもつチャネルも多様化してきました。候補者が日常的に、さまざまな情報に触れられる世界です。このような時代では、採用が始まる前に、いかに企業を好きになってもらうかが大事になってきます。

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私も驚いたのですが、大学二年生の夏の頃には既に、行きたい企業TOP5が自身の中では決まっているそうです。秋頃になると、85%の学生が1社に決めています。サマーインターンの時期よりも前です。その時期までには、あの会社いいよねと感じていただかないといけません。

転職市場に関しても、就職活動が始まる前に受ける・受けない企業が決まっています。エージェンシーから薦められた案件に対して、その企業のことをそれまでに知っているかどうかが大事です。

つまり、採用活動が始まる前までに、いかに自社のことを好意的に思ってもらえるかが重要なファクターなのです。

先ほどお伝えしたように、情報収集チャネルも多様化しています。ブログも動画も音声もある中で、どのチャネルをどう攻めていくのかを戦略的に考えていかなければなりません。接点をもって採用されるまでのファネルを考えたときに、認知をとるための発信なのか、選考中の候補者により好きになってもらうための発信なのか、どのファネルに貢献したい情報発信かを考えていきます。

これらを聞いたときに、採用広報って大変だなとか、そこまでしてリターンはどれくらい見込めるのだろうか等と思うのではないでしょうか。しかし、少しの活動でも大きな効果を得られる取り組みであると、私は思います。

例えば、スカウトを送る際に広報活動で作成した記事のリンクもあわせて貼っておけば、よりスカウトの効率はあがるでしょう。知られているメディアでの記事であれば、企業への信頼も高まります。
そのような情報があると、エージェントの紹介を促進する材料にもなりえます。とあるメガベンチャーでは、そうした記事や広報活動を社内に広めることで、リファラルを促進しやすい、紹介のメッセージを発信しやすい、との効果も得られているようです。

短期的な効果は難しいかもしれませんが、ジャブのように、長期的にじわりじわりと狙っていく。それが採用広報の価値になります。

■「採用広報」は何から始めたら良いの?

採用広報のフェーズによって、必要な取り組み方は異なります。
私たちは幅広い企業の採用ブランディングに取り組む中で、それぞれの企業の状況で異なる課題があると感じてきましたが、ある程度大別できる傾向として採用広報を分類しています。

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採用広報は大きく2つの取り組みに分けられます。良い候補者を集めるために行う「集客」のための施策と、承諾までの意向度を高めるための「アトラクト」の施策の2つです。採用広報を考える際、今どちらのフェーズに注力しなければならないのかを考えることが、まず大事なポイントです。社長から採用広報を任せられた方が、よく抜けてしまいがちな視点でもあります。

どのくらい活動を行うとどれくらいの効果が得られるのか、とよく聞かれることがありますが、この質問に対しての答えも「集客」と「アトラクト」で異なります。

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「集客」のための活動は、効果を感じられるようになるのは早くても半年。社内に5~6人ほどの編集部員がいて毎日コンテンツを出していったとしても、じわりじわりと感じられるものです。5~10年ほど継続しながらロングスパンで考えていく取り組みになります。そのため、特定の職種を採用する企業や、毎年安定的に採用する大手企業、成長したスタートアップ等に向いている活動です。

それに対して、「アトラクト」のための採用広報では比較的すぐに効果を実感できます。「アトラクト」のための活動では例えば、社長のインタビューや新卒・中途メンバーのインタビュー記事をどんどん出していきます。そのコンテンツが10万人に読まれたりすることは稀でしょう。しかし、エージェンシーに案内すると候補者の紹介数が明確に増えたり、選考途中の候補者に発信すると、連絡がつかなかった候補者からも連絡が来たりと、すぐに効果がみられます。特に、社長や役員との面談は人材獲得のクロージングに非常に効果があるものですが、なかなか時間を設けることが難しい。その代わりに社長インタビューを記事や冊子に残しておくと、疑似的に社長面接を体験させることにもなります。

採用数が多くない企業や、シード~シリーズAラウンドのスタートアップ、BtoBビジネスを行っている企業等で何を行っているのかが分かりづらい、魅力が伝わりづらいという企業こそ、まず「アトラクト」の施策から始めるのが効果的です。むやみに多く作る必要はなく数を絞って取り組んでいけますので、マンパワーが少なくても予算がなくても、しっかりと選考中の候補者に企業の魅力を伝えることが重要ですので、比較的スモールに始められるこちらから始めてみるのがおススメです。

■投資対効果の出る「採用広報」の成功事例

私たちFastGrowで手掛けた採用広報から、いくつか代表的な事例をご紹介します。

<A事例>
シリーズAの頃から採用広報に取り組んでいる企業です。新しいビジネスでもあり、短期的なものではなく長期的な啓蒙活動に近いことを行っています。そのため最初に取り掛かったのは、採用広報に対する社内の理解を得ることでした。まずは少額投資から始めて、記事を作ったりイベントを巻き込んだりしながら経営陣を巻き込んでいき、その効果を実感してもらいながら予算を増やしていきました。

<B事例>
自社のオウンドメディアでも積極的に記事を投稿している企業で、その分オウンドメディアで出来る範囲の限界をよく知っています。自前だけではどうしても流入されない人々にどうリーチさせるか、潜在層の掘り起こしのために外部メディアとの連携を考えています。組むべきメディアは、伝えたいことを正しく理解して感度高く具現化できるか、という企画力をみて判断されると良いでしょう。

<C事例>
ブランディングチームを社内に整備している企業で、さまざまなメディアと組んでテストマーケティングを行っています。若い学生の行動を分析して、どの記事がSNSでどれだけ“いいね”されたかを測定。エンゲージメントが高いメディアに絞りながら、それぞれの読者に刺さるコンテンツを展開しています。一回作成した記事を、広告を用いて再利用しているのも巧い使い方です。CxOの取材記事も、そのままではPV数も徐々に落ちて見られなくなっていきます。しかし、たとえ2~3年前に作成した記事であっても学生に刺さるコンテンツであれば、Facebook広告等で配信し続けていくことで、リソースを有効活用することが可能です。

■「採用広報」の実践ノウハウ

ここからは、これから始めるうえでヒントとなる勘所をご紹介します。

まず、企画作りでは「But」をつぶすことを意識して考えてみてはいかがでしょうか。候補者との1on1の面談では、候補者からの「〇〇じゃないですか?」という問いかけに対して「いやいや…」とカウンタートークで返すことが出来ます。採用広報のコンテンツでも、そのカウンタートークを代替するものと捉えて、面談の中で質問されたことをメモしておけば、比較的すぐに効果が出やすい広報展開を行えるはずです。

また、自分たちが伝えたいことばかりを発信していても、読まれないコンテンツになってしまいます。それはタイトルをはじめとした見せ方一つをとってもそうです。受け手側はどう思っているのか、どのような見せ方にすると候補者に響くのか、読みたいと思われるのか、作り始める前にリサーチしてみることです。

私たちFastGrowも、採用広報コンテンツを企画するときにはリサーチを欠かしません。約2万人の会員を抱えていますので、その企業のことをどう思っているのか、実際に転職オファーが来たら入社するのか、またはなぜ断るのか、その場合の競合はどこにあたるのか、等々をヒアリングします。その結果と、企業が伝えたいことの重なる部分を見極めたうえで、企画を考えていきます。

(調査イメージ)

図4

皆さんも、選考を受けられた方を巻き込みながら、自分たちが出したいメッセージだけではなく、受け手が本当に知りたいことは何かを考え、独りよがりにならない採用広報を目指してください。


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