非マネジャーが『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』を読んでみた。前編

マネジメント経験のない私がこの本を読み終えたので、目次ごとに感じたこと、思ったことをつらつらと書いていこうかと思います。
そして、書籍のレビューというわけではありませんので、あしからず。
ちなみに、目次そのものはAmazonの商品の説明にも記載されているから、ここに載せてもだいじょうぶですよね、きっと。

その前に、ブログなどの記事はどういう人が書いたのかが地味に重要だと思うので、何目線でこの本を読んだか、というのがわかるように軽く自己紹介を載せておきます。

私は自社開発系Webシステム会社で、エンジニアとして働いています。
キャリアはテスターで始まり、コーディングもするようになりましたが、仕様などを考えたりAWSをいじったりしているほうが割合としては多いです。
チームのまとめ役をしたことはあるものの、当時のプロジェクト的にメンバーを育てるという余裕は一切ありませんでした。
つまり、チーム作りそのものやメンバーのマネジメント経験は一切ない状態です。

てなわけで、本文はここからです。

第1章 世界共通のチーム作りのルールとは

・抜きん出た成果を上げるには、多様性に富んだ「集合知」が不可欠
・優秀なマネジャーの8つの特徴
・会社のチームは、スポーツチームに似ている
・よいチームには「心理的安全性」が欠かせない
・世界共通のチームづくりのルール
・GEもメルカリも、「心理的安全性の高い会社」を目指している

この本の全体のテーマである「心理的安全性」の重要性について述べられています。

『はじめに』の章で「どの会社でもできますよ!」というセリフが出てくるのですが、1人のマネジャーが実践しても会社としてそういう雰囲気や文化を醸成させようとしていなければ成り立たなさそうですし、反対に会社の方針として心理的安全性を高めようと思っていても1人のマネジャーの振る舞いひとつで壊れてしまいそうだな、とも感じます。

自分がもしもマネジメントする立場になったら『優秀なマネジャーの8つの特徴』を意識していきたいなと思いました。

また、「評価を気にすること自体が社員の心理的安全性を損なう」というのも、たしかに、と考えさせられました。評価されるというのは、すなわち会社のために働けていることを実感するための指標でもありそうです。けれども、それは正しく評価されていればという前提がありますし、正しい評価なんて本当に出来るのか、とも感じます。
そんなとき、『評価制度の無い評価制度』なるものを見つけました。感想は以下のツイートのとおりです。

第2章 「愚痴」も「もめごと」もチームにとってよいこと

・価値観ベースの会話が心理的安全性を高めてくれる
・「ワン・オン・ワン」ミーティングはメンバーの時間
・「愚痴」が出たら会話のキャッチボールを始める
・会話を通じて、チームメンバーの選択肢を増やしてあげる
・「自分の弱み」を積極的に開示できるマネジャーは強い
・もめごとは、チームの生産性を上げる絶好の機会

価値観ベースの会話が心理的安全性を高めてくれる』という言葉を見たとき、内心嬉しくなりました。というのも、私は自分自身のことを話すのが得意ではないのですが、なにかを掘り下げていったり自分の意見を述べたりするのは好きです。
そのため、どうしても価値観ベースの会話になりがちで、ただの世間話を軽くしたいだけの人にとっては重いと思われていそうです。
こういう方は意外と多いかも知れません。口数が少ない方には価値観を問うような話題を振ってみてはいかがでしょうか

他にも、『愚痴はチームのことを気にかけている証拠』という言葉が出てくるのですが、これもまた本を読む前に感じていたことがそのまま出てきたかのようで、肯定された気持ちになりました。
一般的に愚痴は悪いものだと捉えられがちかと思いますが、本当にそうなのだろうかと私は疑問に感じていました。仕事仲間の愚痴をきくとき、大抵の場合は組織内の課題であるように思いますし、どうすれば解決できそうかを愚痴を言った本人の口から述べられることもあります。
……にも関わらず愚痴となって出てくるのは、マネジャーがメンバーにきちんと向き合えていないからなのではないかと思います。もしもその課題感を引き出せていて、メンバーに「対策を考えてみるよ」などの一言をかけてあげられていれば、愚痴にはならなかったかも知れません。

『「自分の弱み」を積極的に開示できるマネジャーは強い』とありますが、マネジャーは自分がメンバーの手本にならないといけないと思い込み、弱みは見せられないと考えている方もいるのではないでしょうか。
弱みといっても「実はインフラ周り苦手なんだよね」みたいな話だけではなくて、謝るべきときには謝ったり、自分に非があれば素直に認めたり、という話を含みます。
たとえば、メンバーのスケジュール遅延を叱責するマネジャーがいたとして、そのマネジャーに期日を約束していた依頼を何度も忘れられて改善されなかったら、メンバーは心を開いてくれないでしょう。
人として信頼できたり尊敬できたりする人間でないと、一緒に働きたいとは到底思えなくなります。

個人的には第2章はけっこう重要な要素なのかな、と感じました。普段は軽視されがちな愚痴などからも改善のきっかけを得られるので。

第3章 チームのパフォーマンスを向上させる「良質な会話」

・チームのパフォーマンスを上げるには、雑談が大事
・感謝の気持ちがチームの生産性を上げてくれる
・チームのパフォーマンスに影響する、世界共通の変化
・自律的なパフォーマンスを引き出すのが、マネジャーの役割
・「フロー状態」を増やせば、生産性は上がる
・「思考の多様性」がないと、新しいアイデアは生まれない
・チームメンバーが仕事ができないのは、マネジャーのせい
・新しいアイデアを生み出す、オープンなコミュニケーション

第3章の最初の一文に私は、ぎくり、としました。

あなたは月曜日の朝、早く会社に行きたいと思いますか?

上記は本文から引用したのですが、続いてこう書かれています。

この質問にイエスと答えられず、成果をあげられないメンバーは、もしかしたらチームに『心理的安全性』を感じていないのかもしれません

確かに、と思いました。
業務そのものが嫌だから、というよりは上司や一緒に働く同僚との関係性がうまくいっていなかったり、なんらかの嫌悪感を抱いていたりすると出社することがとても億劫になります。
そんな状態であっても、楽しみにしていた休日の予定のためであれば、たとえ普段の出社時間よりも早かったとしても、すんなりと起きれてしまう、なんてことがみなさんも一度くらいはあったのではないでしょうか。

続いて『感謝の気持ちがチームの生産性を上げてくれる』についてですが、これは言ったほうがいいと本当に思います。私もなるべく言うように意識していますし、反対に言われたら単純に嬉しいです。
ほんの些細なことでも気づいて報告してくれた(した)ときに、感謝したりされたりすると気持ちがいいですね。
もしも感謝されていないと感じているメンバーがいたら、そのうち見て見ぬふりをし始めるようになるかも知れません。最悪、ハインリッヒの法則でもあるように重大な事故として現れることもあるでしょう。

次は『「フロー状態」を増やせば、生産性は上がる』です。
フローという言葉を言い換えると、"ゾーン"と言うそうです。スポーツ漫画などで聞いたことがあるかも知れません。"無我の境地"も一種のフローだと思います。
それはさておき、この本の中ではフローそのものについては細かく書かれておりません。個人的に参考になったページはこちらです。パフォーマンスを引き出すための教育という印象でした。

第三章の最後に『チームメンバーが仕事ができないのは、マネジャーのせい』について意見を述べて前編を終わりにしたいと思います。

これは実際にあった話なのですが、ジュニア枠として採用されたエンジニアが何人も在籍しています。すなわち彼ら彼女らは教育をこれから受けて一人前になっていくはずなのですが、どうもパフォーマンスがいつまでも低い人がいるようです。
文中にも『「あいつは仕事ができないから」などと投げやりになっているマネジャーも少なくありません。』と書かれており、まさにこの状態になっています。

"あいつ"である彼は週に一度、マネジャー2人+αに報告をしているようで、たまたま私もそこに出る機会があり、初めて聞いたのですが率直な感想を述べるとおそまつという感じでした。
ただ、もっと驚いたのはこれはつい最近始めたことではなく半年以上も実施されていたということです。
彼自身にも良くない点があるでしょうが、それよりもマネジャー2人という安くない給料をもらっている人たちはこの半年間いったい何をやっていたのか、と驚きました(※実際のところは的確な指摘をされていました。が、それを実行してもらうところまでは面倒を見ておらず、毎週同じことの繰り返しだったようです)。

というような極端?な例もありますが、自分の経験上でも、いまいち意味があるのかどうかわからないタスクを半ば無理やりさせられたことがあり、その状態ではモチベーションが高まるわけもなく、成果報告をしてもダメ出しをされ続けていました。
もしこのとき、「なぜやるのか?」をしっかりと伝えられていれば、意味があると理解できたかも知れません。あるいは、「大きな意味はないかも知れないけど、確実にあなたのスキルアップに繋がるはずだ」という考えがあって、それをきちんと話してくれさえいれば、モチベーションという点では違っていたのではないかと思いました。

文中では「目的(意味があると思えているか)」「熟達(新しいことを学べているか)」「自主(選択肢が増えているか)」といった3つの要素が揃うとモチベーションが上がりやすいそうだと述べられております。
自分の経験の話に適用するなら、「目的」や「熟達」の要素が欠けていた、ということですね(自主の意味はいまいち汲み取れませんでした)。

おわりに

技術関係の本をこれまで多く読んできたわけではないですが、本書は読みやすく、ゆえに理解しやすく、とても勉強になったと思っています。
そして、このnoteを書こうと思ったのは、自分が将来的にマネジャーになりたいと考えており、メンバー視点で読んだときは「こういうふうに思った、感じた」というのを形にして残しておきたかったからです。
オープンな場に出したのは、どなたかの目に留まって購入のきっかけになってくれればという思いと、インプットさせてもらったぶんアウトプットしていきたいなと思ったからです。

以上、後編につづきます。
後編はこちら

たぶんよろこびます。よろです。