見出し画像

建築士になって分かったこと02

僕が学生時代抱いていた建築士のイメージ(以下の5つ)が、なってみると違った、という話の続きを書きたいと思う。今回は2の「お金を持っていそう」についてだ。

1.建築の事は全て分かる。
2.お金持ってそう。
3.なれれば一生安泰。
4.仕事が楽しい。
5.何となくカッコいい。モテそう。

一級建築士の給料に関しては属している組織や、年齢、設計している物、勤務地などで大な差がある。ゼネコンやハウスメーカー、組織事務所等の規模の大きい会社では年収500万〜850万位。一方、規模の小さい設計事務所はというと、200万〜400万位と大分低い。(給与額は個人調べなのできちんとした統計では無いです。)

規模の大きな会社に入ればそれなりに貰えるのだが、今回は小さな設計事務所について書きたいと思う。給与が低い設計事務所ほど以下の理由に多く当てはまる。

a.徒弟制度が残っている
・・スタッフ時代は修行期間。
b.業務の効率化を考えてない。
・・業務一つ一つを見直し効率化しようと考えて無い。(効率化で提案の質が下がると思っている?)
・・残業という同調圧力がある。
c.住宅をメインに仕事をしている。
・・貰える設計料に対して、費す時間が膨大。
d.経営が出来ない
・・クリエイティブと経営は対立軸と思っている。

スタッフ時代は修行期間という常識があり、安い給料で、長時間働くのが当たり前(たまに徹夜)。いわゆる超ブラック企業なわけだが、僕はここで、このような設計事務所の全てを批判したいわけではない。なぜならこの設計事務所の体質は、お施主さんにとっては有益である事も多い。まず、事務所代表の実績(デザインや思想)に惚れてやってくるお客さんにとっては、代表が監修の元でプロジェクトが進むので完成品に対して安心感と期待感を持って進められる。また、利益率などあまり気にせずお施主さんが納得いくまで提案するので、妥協と後悔の少ない物が作れるし、限られた予算内でより良い物を作る事も可能である。会社の経営を考慮した「それは出来ません」が無いのだ。(←決まったプランで多売をしているスピード命の会社はこの言葉をよく言う。)

スタッフに関しては、上記のような設計事務所の良さに共感し、代表から技術力や仕事の進め方を学ぼうとしている。また、設計事務所だと業務の全てを担当スタッフが行うので、仕事が細かく分担されている大きな組織に比べ、短期間で多くの経験値を稼げるのもメリットだ。独立して自分で開業しようとしている人にとっては良い学の場なのだ。

ただ、給料が安く、休みが少ない上、責任重大なので、続かないスタッフが多いのも事実。最近では一級建築士を取得する人が減り、ここ20年間で半分以下に減っているそう。これは、なるまでのハードルが低く、建築よりは比較的稼ぎやすいIT系やYoutuberなどの、クリエイティブな仕事があるので自然な事だと思っている。(ちなみに一級建築士は四年生大学卒だと実務を3年経験して資格取得の権利を得られる。帰りの遅い仕事をしながら資格の勉強をして、やっとこさ試験合格した後、さらに実務三年を経験してやっと開業資格持つ管理建築士になれる。それで開業しても仕事がある保証は無い。ハードル高すぎっ笑) 

しかし、建築士の人数が減るという事は、建築業界に来る優秀な人材の数が減るという事に繋がりかねないので問題なのである。

では建築業界はこれからの時代オワコンなのか?僕は違うと思っている。近年、3D(BIM)を使った設計が可能なので、デザインを検討するスピードと、図面を書くスピードを高める事が出来る。従来の数倍効率的になり、検討量を増やせるので質も高まる。課題だったことがデジタル技術のおかげで解決できるのだ。今までの慣習に囚われず使えるものは利用する、そうする事で設計事務所もまともな会社になり、大手でも小規模事務所でも関係ない時代が来ると僕は考えている。というか実際もう来ている実感もある。

ちなみに僕の場合は検討出来る時間が増える分、今までやってなかったことの検討をしちゃうんですがね、、、、とほほ、、、

希望を捨てる若者がさらに増えないために、僕は開業したらまともな給与が払えるまでは1人で頑張るつもりです。また、経営もクリエイティブでいられる様、もがいて模索し続けます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?