絆創膏

 左眉に貼るはずの絆創膏を貼りそこねてしまった。なぜかはよくわからないけれど、貼っておかなければならなかったのに。

 廊下を歩いていると、天気の良い中庭を隔てた向こう側で、誰かがあっと声を上げた。それから大急ぎでこっちに向かってきたようだった。

 逃げないと。少し左にカーブした、石造りの廊下を全力で走りはじめる。

 絆創膏を貼っていなかったことに対して、怒っているようだ。深い理由はしらないが。消毒液を片手に追いかけてくるから、逃げるだけだ。

 二人でループしている廊下を走っているうちに目が覚めた。

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