見出し画像

NPO法人オカヤマビューティサミット代表・柚木幸子さんに思いを語っていただきました。

柚木さんは、エステサロンを経営するかたわら、NPO法人オカヤマビューティサミットを立ち上げ、美容の知識や技術を生かしてシングルマザー支援に取り組んでいます。今回は、柚木さんにおかやま親子応援プロジェクトで目指すことや、活動への思いを語っていただきました。

オカヤマビューティサミットを立ち上げたきっかけは何ですか?

私は岡山市でエステサロンを経営しており、もう20年目になります。
岡山を美容の力で元気にしたいと思い、一般公募を募ってヘアメイクや新作浴衣の着付け、プロカメラマンによる撮影を行うモデル体験などのイベントを行ってきました。

画像1

思い返すと、東日本大震災の時にボランティアマッサージや災害支援活動をしていて、その頃から社会貢献活動に携わる時間が多くなっていきました。私自身、両親の離婚、父親の介護、シングルマザーを経験しており、それらの経験を通じて、子どものために何かできないかなと考えていました。また、私たちにとってエステの技術が生きる術になっているように、エスティシャンとして専門的な知識や技術を持つことが、女性の自立につながるのではないかという強い思いもありました。

画像2

そんな中で、子どもの貧困問題解決に何かできないかとお誘いがあり、シングルマザーの経済的自立のために、エステティシャンとしての技術取得と就労をサポートすることを目指してNPO法人オカヤマビューティサミットを立ち上げました。
2018年の西日本豪雨の時にも、被災された方への出張ボランティアマッサージなど、様々な形で支援に取り組みました。

技術取得の支援はシングルマザーの方にとって経済的自立につながる大きなサポートだと思いますが、就労まで支援してもらえると、とても助かりますね。

これまで、技術的なサポートは、学校など様々な分野でたくさんあると思いますが、就労までのサポートはなかなかないですね。
これまでのイベント活動や災害支援活動を通じた横のつながりを生かし、就労までサポートできるようなりました。助成金もいただき、昨年トータルビューティ研修センター&サロン「結」を立ち上げました。

画像3

子どもの貧困問題には、様々な団体・個人が取り組んでいますが、根本的にこの社会課題を解決するためにどのようなことが必要か、柚木さんのお考えを教えてください。

私ができるのは、やはりお母さんのサポートですね。技術を身に付けることで、生きる力を養う必要があります。子どもの支援は、多くの団体が取り組んでいますが、子どもを支援してもその根源となるお母さんの支援をしないと、その負の連鎖は断ち切れないです。

岡山を笑顔に! とHPにもありますが、笑顔を大事にしている理由を教えていただけますか?

私たちの立場からは、特に女性の笑顔を大事にしています。女性が笑顔でいると、家庭や職場、社会が明るくなります。お母さんたちがいきいきとして、太陽のように笑顔で周りを明るく照らすことで、子供たちも元気になると思います。

エステサロンを経営して、さらにNPOとしてひとり親支援の活動もして、大変忙しいと思うのですが、1日の活動はどのような配分で過ごされているのでしょうか? 24時間で足りないようにも思うのですが。

仕事はスパンと区切ります。そうしないといつまでも仕事ができてしまうので、一日にメリハリをつけています。

4月の緊急事態宣言のときは、お客さんも来ないので、家で仕事していると夜中の1時、2時になってしまったりしました(笑)。
今は、7時に起きて、9時に職場へ出発して、夜9時に帰るのが典型的な1日です。帰ってからは、仕事はしません。自分をオフにした状態で、支援している母親の相談に乗る時間に充てることもありますね。

非常にお忙しいと思いますが、モチベーションをどのようにコントロールしているのですか?

モチベーションを上げるのではなく、日常を丁寧に生きる事・五感をすますこと、モチベーションを育てることだと思っています。
無理をしてやっても結局良い仕事、良い支援はできません。もちろんできる範囲で120%とか頑張りますけど、それが自分の大義のためなのか?それとも相手を思ってやっていることなのか?によって、全然変わってくるなと思うようになりました。
実際、商売でもお客様のためにするから、利益が上がります。オカヤマビューティサミットの活動は、お金だけでないもの(出会いや、助け合うことによるお互いの喜びや信頼関係)も含めた収益が入ってきますので、その意味から、無理にモチベーションを上げるのではなく、一つ一つ丁寧にすると良い道ができて、勝手にモチベーションも上がるのだと思うようになりました。

おかやま親子応援プロジェクトを通じて、どのような支援をしていきたいか?意気込みをお聞かせください。

やっぱり、子どもは生まれたら人並みの生活を営む権利があり、それを親が奪うようなことはあってはならないと思っています。
お母さんのケアをしっかりすることで、子どもがしっかりとした生活が送れる世の中を作っていきたいです。

画像4

現状のNPO活動や、おかやま親子応援プロジェクトをさらに発展させていくために改善点や課題はありますか?

新型コロナウイルスの影響で、就職が厳しくなっているので、就労支援が難しくなりました。これが一番痛いです。回復の兆しはあるものの、まだ60%程度でしょうか。
また、根本的な課題として、活動を広げていくためにはNPOの財政基盤強化が不可欠です。そのためにも、様々な形で広報に力を入れて、まずは少しでも多くの方に活動を知ってもらいたいと考えています。

柚木さんにとってのご自身の将来像、ゴールを教えて下さい。

大きな家をつくりたいです。そこに困った人がいたら、来てほしい。
私は、子どものころから、マザーテレサやガンジーが好きでした。目指すゴールとしては、一軒家があって、1階にお店があり、2階に技術を習得する場があり、3階には、困った方たちがざっくばらんに集まり、寝泊りできるような。そんな1軒で完結できる家にして、困った人をいつでも受け入れるような環境を作りたい。それが私の夢です。

最後にメッセージをお願いします。

お母さんたち、それぞれ悩みがあると思うんです。子どもに不自由な思いをさせないように、母親として頑張らないと…など。でも、時折休憩しないと続かないので、そういうときに我々を思い出し、話をしてくれたらうれしいと思います。

==編集後記==

今回のインタビューを通して、柚木さんの生い立ちから考え方、ひとり親支援への思いなど、様々なお話を伺うことができました。逆境にも負けずに自ら技術をものにして、それを社会貢献に生かしていること、そしてその先に大きな夢を描いていることには、改めて柚木さんの素晴らしさを感じました。
また、柚木さんのモチベーションコントロールのやり方がとても印象的で新鮮なものでした。私自身、これからは日常を丁寧に生きること、五感をすますことを意識していきたいです。
最後に、これからもおかやま親子応援プロジェクトをはじめとする活動の輪が広がっていくよう、引き続き応援していければと思います。

インタビュー/文:川村享由(楽天モバイル株式会社)