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【対談】こども家庭庁 小倉將信こども政策担当大臣×放課後NPOアフタースクール 平岩国泰代表理事〜人生で一番楽しい時間のひとつが"放課後"であってほしい〜

子どもたちにとって本当に大切な時間である“放課後 ”。その質と量を合わせて向上しながら子どもたちが心から「居たい・行きたい・やってみたい」と思える放課後の居場所をつくっていくためには何が大切なのでしょうか。こども家庭庁の小倉將信こども政策担当大臣に、放課後NPOアフタースクール代表理事・平岩国泰がお話をうかがいました。


昔も今も変わらない放課後時間の大切さ

平岩:小倉大臣は小学生の頃、どんな放課後を過ごしていましたか。

小倉大臣:私はちょうどファミコン世代なのですが、友達と一緒に外で遊んだ記憶は色濃く残っています。特に思い出深いのは、裏山でやった基地ごっこですね。今ふり返ってみても、人生の中で一番楽しかった時間の一つだったと思います。失敗も重ねながら、人間関係のつくり方や社会性を学んだ、非常に大切な時間でした。

平岩:人生の中で一番楽しかった時間の一つが放課後というのは、素敵なお言葉ですね。そんな小学生の放課後の時間に、大臣はどんな期待をされていますか。

小倉大臣:今の放課後の過ごし方は家で遊んだり、習い事をしたりすることが増えているかと思います。私はそれぞれの重要性や必要性を否定するつもりはありませんが、学校や地域の子どもたちと一緒に遊ぶ放課後の大切さは、今も変わらないと考えています。そういった時間を意識的につくっていくことは、今後一層必要になるのではないでしょうか。


「こどもまんなか社会」の実現に向けて、今できること

平岩:「仲間と過ごす大切さ」ですよね。一方で国が掲げる「新・放課後子ども総合プラン」は、学校施設の徹底活用を大きな柱としていますが、目標とする水準になかなか届いていません。最終判断をする市区町村自治体においては、現場ならではの課題もありますが、改めて、国としての方針をお聞かせください。

小倉大臣:子どもたちの放課後を守る意味で、放課後子供教室と放課後児童クラブが担う役割は非常に大きいと思っています。「新・放課後子ども総合プラン」では、放課後児童クラブの新規開設の約8割を小学校内で実施することを目指しておりますが、昨年5月時点では、 55%に留まっています。そうした中で、昨年度の第2次補正予算にて、放課後子供教室と放課後児童クラブの連携促進の実証モデル事業をスタートさせていただきました。また、先日閣議決定いたしました「こども未来戦略方針」の中でも、放課後児童クラブの運営を安定させるため、常勤職員配置の改善を盛り込みました。さらに先般、こども家庭庁と文部科学省で放課後児童クラブと学校の更なる連携強化策の検討を開始しました。こども家庭庁として様々な施策を着実に実践・実施したいと考えています。

平岩:国の明確で力強い方針をお聞きできてよかったです。では、放課後の質と量の向上のため、行政以外の担い手といえる企業やNPOにどのようなことを期待されますか。

小倉大臣:子どもたちの置かれている状況や望んでいることが多様化する中で、行政だけではそのニーズをくみ取ることは難しくなっています。それぞれの子どもの状況に応じた放課後の居場所を提供するために、更には「こどもまんなか社会」の実現に向けて、NPOや企業も含めた様々な主体にご参加いただきたいです。
また、NPOを重要なパートナーに位置付けるだけでなく、実際に予算を計上したうえでしっかり関与してもらうため、NPO等と連携した子どもの居場所づくり支援モデル事業も実施しております。

平岩:官民がもっと協働していこうというメッセージは、大変励みになります。先ほどのお話にあった放課後の子どもの居場所の重要性は、子どもたちに関わる私たちも心から感じています。


子どもが本当に望んでいる放課後の居場所をつくるために

小倉大臣放課後の子どもの居場所は、一人ひとりの子どもの社会性、あるいは想像力や創造性を磨くと同時に、健やかな成長を考える意味でも重要な空間であり、時間でもあります。また、いじめや不登校、児童虐待など、子どもたちを取り巻く状況が深刻さを増すなかで、学校に行きづらい、家に居づらい子どもに対して、安心だけではなくて、安全にいられる場所を提供することも急務になっています。そうした意味で、これからの放課後の居場所づくりというのは、大きな政策課題だと思っています。

平岩:小学生の放課後には、物理的な居場所はもちろん、安心でき、自分らしくいられ、伴走してくれる人がいて、新しい出会いもあることが重要です。居場所の量だけでなく、質も同時に高める必要があります。

小倉大臣:はい。本当の意味での子どもの居場所とは、子ども自身が居たいとか、行きたいとか、その中で何か新しいことをやってみたいと思ってもらえるような場所だと思います。こども家庭庁としては子どもや若者の意見を引き続き大切にしながら、居場所づくりの指針をはじめとする様々な政策を議論していきたいです。

ライター:春原健児
カメラマン:鈴木教雄
編集:都恋堂