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【開催報告】生活力向上講座2024リアル講座

2024年度、初の試みである生活力向上講座のリアル講座(対面開催)を実施しました!この記事では当日の様子などをお伝えします。
生活力向上講座についてや、過去の講座に関する記事は以下よりご覧いただけます ↓↓↓


「生活力向上講座リアル講座」概要

  • 日にち:2024年4月20日(土)

  • 時 間:9:00~18:00

  • 場 所:日本福祉教育専門学校(高田校舎)

  • 参加者:50名(当事者、家族、介護職、医療職)


講義ブース

人工呼吸器・排痰補助装置体験

人工呼吸器・排痰補助装置の講義の様子

①人工呼吸器の機器体験
・設定の違いを体験しよう!
・NPPV(非侵襲的人工呼吸器)用のマスクの違いとフィッティングを体験しよう!

②排痰補助装置の機器体験
・実際に体験してどのような機器か知ろう!
・姿勢やマスクの当て方など実施中の留意点を知ろう!

介助者の方が排痰補助装置を体験しているところ

介助者の皆さんも一緒に体験!
「(空気が入ってくるのを)わかってはいるけど吸えない」「苦しい」
当事者の方からは「いつもこれを一緒にやってくれる人自身は体験したことがあるのか気になっていたので体験してもらえて良かった」

講師:片山望さんからメッセージ
この度、我々講師陣も待望の対面形式での生活力向上講座が実現しました。今まではオンラインで一方向的なものになっていたかもしれませんが、今回は障がい当事者・ご家族・介助者・医療者の皆様には機器体験を通して、画面越しの講座では経験することができない驚き・疑問・再確認などがあったのではないでしょうか。何より参加された皆様以上に現場のリアルな声、皆様の熱意に触れた我々講師陣、サポートメンバーが刺激を受けておりました。
今回の講座が、地域で暮らすための「生きる力」「生きるを支える力」になってくれると信じておりますし、今後もさらにそうなるようより良い講座にしていきたいと思います。

片山望
国立病院機構仙台西多賀病院/理学療法士


呼吸介助体験

  • 呼吸の仕組みと胸郭の動き方を理解しよう!

  • 呼吸介助の目的を理解しよう!

  • 実際にやってみよう!(当事者役と介助者役で実践)

講師とともに呼吸介助を実践

当事者役をやってみて「空気の入る感覚が分かった」

講師:江田真紀さんからメッセージ
今回は待ちに待ったリアル講座でした。私自身もとても楽しみにしていたので、ようやくみなさんにお会いできてとても嬉しかったです。
私の担当は呼吸介助体験でしたが、呼吸の仕組みや胸郭の動き方など最初の座学からとても熱心に聞いていただき、実技でも手の置く位置や置き方、介助する方向など実際に体験していただきました。
健常者同士でも呼吸を感じ、それに合わせて介助することは簡単なことではありません。手に全神経を集中させることは難しかったかもしれません。ですが、お互いに「もう少し強くても大丈夫だよ」、「さっきより息が吸いやすくなったよ」など積極的にコミュニケーションをとりながら実践している様子をみて、やはりリアルでなければできないことだな、と実感しました。
熱い想いを持って参加していただいた皆さんに感謝しかありません。またみなさんにお会いできる機会を楽しみにしています。

江田真紀
吉野内科・神経内科医院/理学療法士


ストレッチ体験

  • ストレッチはなぜ必要か?-不動の痛みを予防しようー

  • ストレッチを行うときに意識したい3つのこと

  • 今日からできる肩甲骨、股関節、足首ストレッチをやってみよう!

足のストレッチについて実演しながら講義

介助者役をやってみて「ただ揉んでいるだけだと手がしんどいから、筋肉をほぐすのが良いというのが分かりました」

講師:本間里美さんより
「なぜか楽しかった」
これは当事者&介助者で参加された方より頂戴した最大の誉め言葉です。
地域で暮らす当事者の方にとって、体調を整えることは最も基本的なこと。これがあって初めて、「自分らしく暮らす」が考えらえるのではないかと思っています。
ストレッチの実際では、主にどんな状況の方で共通するポイントを中心にお伝えしました。ですが、やはり参加された当事者の方の身体の状態はさまざま。次回はもっと個別に対応できるようなスタイルを考えていきたいと思っております。
介助者の方が自分にできることは?と必死に考えてくださっている眼差し、当事者の方がもう一歩踏み込んで介助者の方と自分の生活を作っていこうとする姿に沢山のことを学ばせていただきました。
歯磨きと同じくらいルーティンになれるストレッチをこれからも知ってもらえたらと思っております。ご参加いた皆さま、本当にありがとうございました!

本間里美
境を越えて/理学療法士

特別講師:石井純さんより
人一倍痙性の強い私のストレッチは、動かし方によって突っ張ってしまい、私は痛いし介助者は固くて動かせないし、悩みの一つでした。
今回参加させていただき、どこを持てばいいのか、どのように動かしたらいいのかということが私も介助者も明確になりました。また、少しの工夫で腕の重みが軽減すること、そうすることで呼吸もしやすくなるということも学ぶことが出来ました。
私は不動の痛みを身を以て感じています。痙性が強いので私も介助者もストレッチから遠ざかっていました。
今回の学びで、持ち方や動かし方を体験出来たことで、ストレッチが身近なものになったのがとても嬉しいです。動かすことの大切さを改めて認識することが出来ました。

石井純
境を越えて/ALS当事者


コミュニケーションツール体験

①透明文字盤の体験
・五十音文字盤
・フリック文字盤

受講者の皆さんで透明文字盤体験

②重度障害者用意思伝達装置の体験
・スイッチ入力
・視線入力

意思伝達装置の体験

講師:山本直史さんより
リアル講座に参加していただきありがとうございました。
実際に透明文字盤でコミュニケーションをとったり、視線入力で重度障害者用意思伝達装置を操作していただきましたがいかがだったでしょうか?
透明文字盤体験では「相手がどこを見ているのかわからない!」という声があり苦戦している方もいましたが、透明文字盤はやればやるほど必ず上達します!また、患者様の状態に合わせた透明文字盤を使用することで読み取りやすくなる場合もありますので患者様と一緒に工夫をし続けてください。
意思伝達装置は、主要な4機種を用意し皆様に体験していただきましたが、今回同時に4機種を体験したことで同じ意思伝達装置でもそれぞれの特徴や違いが分かっていただけたと思います。患者様のニーズに合ったコミュニケーション手段を提供するに当たり、実際に経験しているのとしていないのでは大きく違うと思います。
全体を通して、「目が疲れた!」「自分の気持ちを伝えるのに時間がかかった!」「実際にやってみてよかった!」などの声も聞かれました。透明文字盤や意思伝達装置を使用するに当たり患者様も同じように感じると思います。コミュニケーション手段は様々な方法がありますので、患者様の声を聴き、患者様中心にコミュニケーション手段を検討していただきたいと思います。

山本直史
吉野内科・神経内科医院/言語聴覚士



相談ブース

当事者スタッフや専門職スタッフ、講師がご相談内容に合わせてお話を伺いました。

講師:森脇繫登さんより
待望のリアル講座、刺激的でした!!
当日は相談ブースの受付や相談対応に従事させて頂きました。
相談件数も多かったため、相談に来て頂いた参加者の皆様には、十分にお時間をとることができずに申し訳ありませんでした。相談受付にいると、ブースに入られる皆様の表情がとても真剣で、熱い思いを感じることができ、私自身大変良い刺激を頂きました。そして、それぞれの個別相談が終わるころ「ありがとうございました、やってみます!」「できそうです!」と笑顔で帰っていかれる姿が何よりも嬉しかったです。
個別性の高い支援における悩みは、今回のように時間をかけて、じっくり相談する時間が大切だなぁと、改めて感じました。今回の研修会を通して、得られたヒントの中から「出来そうと感じたこと」「やってみたいと思ったこと」を、いま関わっておられる方だけでなく、これから関わる方にも、ぜひ実践されてください!
お困りごとあれば、生活力向上講座2024でもお待ちしています!

森脇繫登
島根大学医学部附属病院/作業療法士

特別講師:本間武蔵さん・板垣繫基さんより
コロナがあまりに長くて、かつてどうだったのか思い出せない中、とにかくにぎやかな研修会という印象です。岡部さんのリアルを見た思いです。
一昔前は「横のつながり」を心がけていました。実際のつながりを絶たれたコロナの経験を経て、これからは「心のつながり」をテーマにしていきたいと感じました。
メッセージというほどではありませんが、自分にとっての心の色は何色だろう、と振り返り、何か好きな「もの」や「こと」で自分を染めていくことへの視点をみなで一緒に考え、大切にしていきたいです。

いろどり本間工房について 】
私が今までしてきた仕事のなかに、モノを使うことで工夫する工務店的な要素がたくさんありそれを自分の人生として続けていきたいと思っていました。
そんな折に、私の身近なところに私自身と一緒に動いてくださるヘルパー板垣さんがいました。「一緒に全国をまわろう」と言ってくださり背中を押された思いでいろどり本間工房を立ち上げました。
工房は一般社団法人ましろに所属し、困った!を抱える人を支援者さんと力を合わせて試行錯誤のお手伝いをしたいと思っています。
たまにホームページをみてください。ぜひよろしくお願いいたします。

本間武蔵(作業療法士)・板垣繫基(介助者)
いろどり本間工房


感想

「充実した時間が過ごせました♪」
「カフアシストが大変だった。普段体験できないことができてすごく良い時間が過ごせました。」
「ぜひ私たちの地域に来てやってもらいたい!」

今回は、若手の医療職に“サポート講師”として多く参加していただきました。

サポート講師:石田修平さんより
このたび、初めて生活力向上講座2024にサポートメンバーとして参加させていただきました。療法士だけでなく、当事者の方やその介護者の方も参加されるとのことで、始まる前はどういう会になるのかと期待と緊張が入り混じっていましたが、終始和やかな雰囲気で楽しみながら時間を過ごすことが出来ました。
当日に最も印象に残ったことは、参加される全ての方が前向きに、何かを吸収しようという雰囲気です。それは、関わったすべての方が生活をより良いものにしていこうという思いがあったからこそだと感じますし、多くの立場にある人が参加するこの会だからこそという気がします。私が主に関わった排痰補助装置の研修の時間でも、参加者同士で普段の工夫や行い方などについてディスカッションが始まるなど、あまり経験したことがない良い時間でした。
参加して改めてこのようなさまざまな立場の方がいる会は非常に重要に思います。そして、何より私自身が本当に楽しく充実した時間を過ごさせていただきました。この度はありがとうございました。

石田修平
島根大学医学部附属病院/理学療法士

サポート講師:安部尚斗さんより
コミュニケーションツール体験のサポートとして参加させていただきました。これまで講習会というと「聴く」側での参加が多く、当日までは不安と緊張、楽しみの入り混じった気持ちでした。
当日になり講座が始まると、当事者の方や介助者の方、そして講師陣もとても熱心で前のめりに参加される姿を目の当たりにし感動しました。そして、参加された皆様とお話をしていると、私自身いつの間にか不安と緊張よりも「楽しい」「面白い」が大きく勝っており、気付けばあっという間に過ぎた本当に有意義で充実した時間となりました。
当事者の方、介助者の方問わず、「できる」に気付けると関わりが変わり、試行錯誤を繰り返しながら新しい活動が生まれます。そしてそれは周囲を巻き込み、生活力向上の機会に繋がると考えております。この生活力向上講座はまさにそれをリアルに感じ多くを学ぶことができました。
講習会といっても、当事者や介助者と様々な立場の方が参加されるものはとても貴重に思います。今回参加された皆様だけではなく、これから先に参加される皆様にもお会いできることをとても楽しみにしています。この度は貴重な機会をいただきありがとうございました。

安部尚斗
国立病院機構仙台西多賀病院/作業療法士


みなさま本当にありがとうございました!

おわりに

ご参加の皆様におかれましては、生活力向上講座初めての試みであるリアル講座へのご受講をいただきありがとうございました。
お忙しい中お時間を割いていただき、事務局・講師陣一同大変感謝しております。
当日は会場の設備や通信トラブルなどにより、皆様にご迷惑をおかけしてしまったことをお詫び申し上げます。
一方で、ご参加いただいた皆様の熱心な学びの姿勢に、事務局・講師陣一同感動しました。
今後の開催をお願いしたいというお声掛けもいただき、皆様のご協力のもと大変有意義な講座となったことと感じています!
この度の経験をもとに皆様に満足していただけるような講座へと改善を続けてまいりますので今後とも何卒よろしくお願いいたします。

会場を提供していただき、ボランティアスタッフとしてお手伝いもいただきました、日本福祉教育専門学校の皆様にも感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。


お問い合わせ

▶info@sakaiwokeote.jp

境を越えては、身体がどんなに不自由でも、その人らしく地域で暮らせるしくみ作りを目指す、障がい当事者と介助者が中心となって活動するNPO法人です。
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