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子どもの絵、大人の絵

「もう一つの教育:美術教育」

私は、小学校の頃から絵を描くのがとても好きでした。たぶん、少年雑誌に出てくる漫画の影響だったのでしょう。飛行機、特にゼロ戦や紫電改(しでんかい)、そして飛燕(ひえん)を描いて言いました。たぶん、皆さんはゼロ戦以外は聞いたこともない飛行機の名前だと思います。戦車も数多く描きました。今、思い出して描いても、当時どこから描いていたかその順序を思い出すほどです。5年生の時、美術の時間、果物の絵を写生しました。これが区の展覧会に出されました。この間、絵について誰からも批評は受けず、両親からは「好きなんだね」「上手に描けてるね」と言われていたことを思い出します。

先生として、子ども達と接するようになると、子ども達は、特に低年齢の子ども達が夢中で絵を描いている場面によく遭遇します。そして、ある児童心理学の方とお話しをする機会に恵まれました。すると、「子どもの描いた絵は、子ども自身の人格を表しているのです。」と言われました。子どもが描いた絵を否定することは子ども自身を否定することに繋がるのだと。私自身、絵を見るのも、描くのも好きなのは、大人の目から見た、大人の感覚で批評をされていなかったことなのだと解りました。子どもの絵は、年齢と共に変化します。顔から直ぐに手足が出ていたり、大人から見ると奇妙に見える絵を描きます。そこで、大人は、大人の絵を教えようとします。幼児は日々成長します。物の見方も、感じ方も、表現の仕方も成長と共に変化します。すると、こうした美術教育は、大人の感覚で大人の絵を教えることではないのでは、という疑問が生じてきます。美術教育とは、子どもの発達に応じ、子どもの絵の変化を発見し、子どもの絵を育てることではないかと思うようになりました。

子どもは、絵を教えなくても描き始めます。それが殴り書きと呼ばれる絵です。最初は左右を行ったり来たりするような線描きが中心です。それから、手首や肘が回り出し円形の線が描けるようになります。円が描けるようになると、様々な形を描き始め、次第に顔など、人の絵を描くようになります。勿論、動物や乗り物も描くようになります。

ここまでの過程で、大人の指導は何一つ入っていません。大人が指導すると、略画から始まります。魚の絵やチューリップ等です。すると、子どもは絵を描くようにねだってきます。自分で描くより、描いて貰うようになります。子どもには、大人の感覚で絵を教えるより、殴り書きから始まり、子ども自身の感覚で絵をかかせることが良いのではないでしょうか。子どもの絵と、大人の絵は大きな違いがあります。子どもは目から様々な情報を受け取ります。情報は脳で処理されます。見るというのは、目で見るというより、脳で見ると言った方が適切なのかも知れません。子どもの発達により絵が変化してくるという意味が良く解ります。

大人の感覚で教えてしまいがちな絵の指導、皆さんはどのようにお考えですか。美術教育は絵画指導とはまた違ったものなのかも知れません。今後の課題です。

2014/7/8


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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