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「宿題って何?」

フランスの大統領が次のような演説をされました。以下、時事通信による内容です。

「学校は宿題出すな=仏大統領時事通信 10月10日 12時7分配信
【パリAFP=時事】フランスのオランド大統領は9日、パリ市内で演説し、学校の宿題を廃止すべきだと訴えた。家庭で勉強を見てもらえない子どもがいることを踏まえ、教育の平等を推進するための配慮が必要と語った。大統領は演説で、新たな教育プログラムを発表し、学業は「家庭ではなく学校で行うべきだ」と強調。ただ、現在フランスの学校の大半で採用されている週休3日の「週4日制」から、以前の「週4日半制」に戻すべきだとして授業時間増も訴え、将来の有権者である子どもの心をつかめるかは微妙だ。」

宿題廃止、我が国では賛否両論出てくる事は必死です。では、そもそも宿題とは何なのでしょうか。「宿題」という言葉は、一般社会でも普通に使われています。「それは今日の宿題としよう」等、会議終了時に使われたりします。本来宿題は、家庭での学習課題というのが正しい用い方だと思います。多くの保護者の方々は、「宿題でも出して貰わないと家では何もしないから」というのが本音だと思います。ただ、先の記事では将来の選挙をにらんでの演説という見方ですから、真剣に子ども達や、保護者の事を考えた発言ではないのかも知れません。

今年度、新指導要領の全面移行から教科書も変わり、ページ数も大幅に増えました。それに比例し授業時間数も増えたのですが、教科書を全てこなすには、家庭学習に任せるしか方法がないと言うのが現状だと思います。更に、この間のゆとり教育が招いたと言われる学力低下が、宿題をする子ども達を苦しめています。単元の理解が十分でない子どもは自力で問題を解くことは出来ないでしょう。それは、当然ながら保護者側の「負担」となります。この保護者側の「負担」という気持ちが子どもの心に更なる重圧を掛けてしまいます。今の状況で、全てを現場教師の責任にするのは問題があります。

全ての子ども達を平等に同じレベルまで上げることは先ず不可能に近いことです。何故なら、既に、小学1年生の時点で決定的な能力差が生まれているからです。それが月齢差です。6歳になって一斉に義務教育がスタートします。この時期の1年間は大きく学習能力に影響します。小学生から文字や数を学ぶという学習スタートにも間違った見方がされる場合があります。教科書は全て文字で表記され説明が行われています。1年生から、文字の読みをならっていては授業すら受けられないのです。ですから、保護者は、小学校入学前に、最低限文字を読めるようにしておかなければなりません。

現状から見ると、子ども達に出される宿題には、2通りの意味が存在しているように思います。一つが、言い方は良くないのですが、教科書消化の為です。もう一つが、学習の定着を考えた子どものための努力目標とした宿題です。中には、宿題を出さない主義の先生もいます。また、頻繁に、プリントまで製作して宿題にする先生もいます。子ども時代の私にとって「宿題」とは、正直、実に迷惑なものでした。ところが、親になると「宿題」のイメージに変化が現れます。遊びに夢中になる子どもを机に縛り付けるには、宿題という切り札が必要になるのです。無理矢理結論づけるとすると、子どもの状況に合わせた量と内容の宿題が理想なのでしょう。

ただ、幼児教室から通ってきた小学生は、意外にも宿題を嫌がらないと言う傾向があるのをご存じですか。それどころか、宿題をせがむことさえあります。幼くても学ぶ事の楽しさを知っているからかも知れません。実際、子どもは未知なるモノを学ぶ事に飢えています。知的好奇心一杯の子ども達こそ、実のある宿題が必要なのでしょう。

2012/10/12


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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