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考えも新た、見直される子育てと教育

「心の教育・いのちの教育」

佐世保で起きた事件の影響は教育界だけでなく、広く家庭内にも広がっています。今まで起こった青少年犯罪から得た教訓は生かされず、かつて「不良」と呼ばれた青少年が引き起こす事件よりも、陰湿で凶悪化しているように感じます。温和しい子、まじめな子、成績優秀者等、今まで犯罪とは無縁であると思われていた子ども達が、大人の想像を絶する事件を引き起こしています。改めて、世間では「心の教育」「いのちの教育」の必要性が叫ばれています。目は、単純に子ども達への教育再編に目が向きがちですが、その手前で、私達大人が見直す点の方が多々あるように思います。

 「いのちの教育」ですが、胎教から始まると思います。「いのちの誕生」から、既に子どもの人としての運命が決められているのかも知れません。一見、平等に誕生しているように見える小さな命に「望まれて生まれる命」と「望まれず生まれた命」があります。命の誕生はまさにドラマです。命は、たった一つの卵子と、3億以上の中から選ばれたたった一つの精子の結びつきから始まります。この選ばれた命には、数え切れない人達の命が関わっています。20代前まで遡ると、何と1,048,576人の人達がいます。そして、次の命へとバトンタッチされていきます。このような生命誕生の話は、これから父や母になる人達、そして、子ども達に伝えられるべき話しです。「選ばれた命」として我が命のことを自覚し、また、両親として、授かった「選ばれし命」を育む心の準備をする胎教はとても重要な意味を持ちます。

 「心の教育」は、まず両親から「ことば」を譲り受けることから始まります。母国語を持ち、母国語で考えるようになります。母国語は、生まれた国の気候風土や自然、物事の考え方を表します。ことばの獲得は心の下地を作ります。心はことばによって作られると言って良いでしょう。そして、この心をより成長させて行くのが、音楽・絵画・運動等です。情操教育とよく言われますが、人の心をより豊かにさせてくれます。ただ、芸術家を育てる教育とは少し違うでしょう。あくまでも音を楽しんだり、描くことや見る事、身体を動かすことを楽しく行う事を指しています。お母さんは、お子さんに沢山歌を歌ってあげて下さい。童謡・唱歌、心に残る歌は良い物です。赤ちゃんに添い寝をしているときなどに歌う子守歌、その時、赤ちゃんに触れ、優しく手で気持ちの良いリズムを与える。また、赤ちゃんのおむつを取り替えるとき、身体を優しくさする、こうしたスキンシップが子どもに安心感を与えます。子どもは、思春期にいたる時期でも心に不安を抱えています。その不安を取り除いてあげるのが「親」です。今回、佐世保の事件は、父親は我が子を見捨てたのだと私は思っています。一人暮らしさせる、あの加害者である女子高生は、より不安定な状況に追い込まれていったと考えています。

 年に、数回、世の中の情報を一切遮断して、親子で語り合う時間を設けるのも「心の教育」の一つかも知れません。震災のあった3月11日の夜は、ろうそくの光だけで過ごす。食事も、保存食を食べる。また、形骸化された修学旅行を廃し、中学生以上の子ども達には、テレビやスマホなどから離れ、情報のない中で過ごすことも考えて良いのではないでしょうか。機械など無く、通信手段もない、人の原点に戻り、本来の姿であることばで意思の確認を行う。ぶつかることもあるでしょう。しかし、そのままでは気まずい思いをします。だから、本音で向き合うことができる。情報化社会だから敢えて情報を遮断する。そして、生の情報のやり取りを行う。どうも、私達は、当たり前の事が次第にできなくなって来ているようです。

今、問題となっている「LINEいじめ」ですが、人の感情は、直接相手と向き合い、ことばを交わさなければわかりません。文字だけのことばの恐ろしさを知るべきでしょう。体験不足が目立つ社会です。大人も子どもも共に体験すべきなのでしょう。

 便利さの選択だけでは、どこか人間には無理が生じるようです。もう一度、教育も根本から考え直す時期なのでしょう。

2014/8/4


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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