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「普通」「常識」「当たり前」を、ゆっくり溶かして混ぜていく

数年前、Arif(パートナー)が日本で土木関係の仕事に就いた時、朝8時から夕方5 時まで働いていたにも関わらず、日当は4000円(同じ現場にいる日本人の半分以下)だった。

親方に話をしに言ったら、「途上国から出稼ぎに来て、お金ほしいんだよね?インドネシアでは日当1000円って聞いたよ。それに比べたら4000円もらえたら嬉しいでしょ。イスラム教徒って聞いたし、嫌ならすぐ辞めてよ。うちはいつ辞めてもらっても結構。インドネシア人が土木以外の仕事に就けるとは思えないけどね」とまで言われた。

帰り道Arifは「俺はインドネシア人だから仕方ない。1日4000円でも嬉しいよ」って笑った。

-----自分の誇るべき大好きな国や宗教が「仕方ない」なんて、そんな悲しいことあるか。

先週Kiyana(アメリカ人)と電話した時、弟は「疑われると警察に撃たれるかもしれない」と、コロナよりも警察が怖くて、マスクを着けることができないと話してくれた。

アメリカ黒人男性20代の死因5位は、「警察による殺害」だとも教えてくれた。脳卒中等の病気で亡くなる人より、殺される人の方が多いという現実。

"やっぱり黒人だからね…" と言われて生きてきた。私は同性愛者であることも含め、強いdrawback(ハンデ)を感じる」って 。

黒人であることや、同性が好きなことは、drawbackなんかなわけがない。私が日本人であることや、異性が好きなことと全く同じことだ。

でも、現実として、Kiyana本人がそう思わされてしまう社会がある。

------私はこれまで、アメリカ、カナダ、日本、メキシコ、インドネシアと、いくつかの国で暮らしてきて、それなりの小さな差別はどこの国でもあった。

ちょっとしたことに傷付き、涙したりしてきたわけだけど…、私はKiyanaのように日常生活の中で命の危機を感じてきたわけでも、Arifのように不当な給料&扱いをされてきたわけでも何でもない。

むしろ傷ついてきた1億倍くらい、愛ある人たちに支えられ、助けられ、生きてきた。

何より私だって、自分では気付かないうちに沢山の人を傷つけてきただろうし、これからだって、自分ではどんなに気を付けているつもりでも、誰かに嫌な思いをさせてしまうことは残念ながら必ずあると思う。

そんなことを思う中、最近はシェアハウスのリフォームをちょこちょこしてるんだけど…、

白のペンキで塗り依頼したのに、気付いたら壁すべてを真っ青に塗られてて、「ドラえもんの色にしたよ、いいでしょ!」と誇らしげな事後報告をもらう。

夕方5時まで仕事お願いしてるのに、お昼食べたら帰っちゃう人がいる。(そして仕事してるかと見せかけてた人は昼寝してる)

木材買ってくるよう頼んだ子は「夜ご飯にみんなで食べようかと思って」と、なぜか大量の魚を買ってくる。(え、木材どこいった)

さすがにアリフは頑張ってるかなと探したら見当たらず、貯水タンクと壁の間に挟まって出れなくなっているというまさかの展開…。

おーい、笑!
本当に本気で皆さん正気ですか?な日々ww

けどね、もう「普通に考えて」とか「ありえない」とか「〜して当然なのに」なんて気持ちを感じる時は、もはや「自分の思い込みの呪い」にかかってる証拠だと思った方がいい。

だから、ドラえもんな青い壁も大量の魚も、すべてをありがたく絶賛受け入れ中な毎日です。

(写真で見るとおしゃれに見えなくもないw)

------世界中で #BlackLivesMatter 運動が広がっている。アメリカから報道される情報や映像に胸がぎゅっと苦しくなり、思うことも考えることも山のようにあるわけだけど、

私はまずは、自分の中にある「普通」「常識」「当たり前」といった思い込みの呪いを、毎日ゆっくり溶かし混ぜていこうと思う。

誰かに文句言ったり憎んだりするパワーやエネルギーがあるなら、その力は圧倒的な楽しさと幸せの連鎖を育むことに使って生きていたい。

Do the best you can to spread your LIGHT where you can...Be responsible for the energy you bring into the room.

【おまけ:バリの現状】

インドネシアではコロナ感染者数は今なお右肩上がり。6月10日は過去最多となる新規感染者数1,241人を記録。感染者数は6月11日時点において35,295人で、東南アジアでは最多数。

観光業で成り立ってる島だから、空港も港も閉鎖され、みんな仕事も収入もゼロになって早3ヶ月。COVID-19以来、生活を追いやられている人は増えている。

この3ヶ月でスープキッチン(炊き出し)、フードバンク(食料配布)、病院支援と、小さいながらもNidoからサポートを続けてきた。

でも、どこまで手を差し伸べることが優しさで、どこまでなら本人の尊厳を守れて、本当に必要なサポートなのか、日々葛藤。このままずっとgiveをし続けるのは健全でないと感じることも多く、シェアハウスのリフォームを始めることにした。

土木経験ゼロでも、やる気あれば誰でも受け入れ。日当はもちろん、朝昼晩の食事も、必要ならば住居も提供している。

何人かが「stay at homeとか言われても、家がないしずっと苦しかった」「明日も自分の子どもが食べれるんだと安心して眠れることがどれだけ有り難いか」なんて話してくれる。

人は、誰かの力になれることで、きっと尊厳や自立を感じて生きていくことができるのだと思う。周りとしっかりつながっていくことが、いかに大切か。
一人ひとりの明るい気持ちやエネルギーが、前向きな社会を作っていくんだと強く実感する。

------私のこの幸せな毎日があるのは、バリのみんなはもちろんだけど、バリ島の現状&Nidoの小さな活動を知り、支援してくれる、日本のみんなのお陰でしかありません。

皆々様、本当に本当にありがとう。
Terima kasih banyak!!

明日もたくさん笑ってハッピーな1日になりますように。

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