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あったのは恐れと悔しさ 目を背けていた感情に向き合うコーヒー時間

昨日は久しぶりに大学院の友達とカフェへ。Noirは学生ご用達、朝から混雑しており粋でハンサムなマスターのおじさんが常連と話し混んでいる地元で人気なお店だ。手作りケーキが美味しくてついついオーダーしてしまう。


午前中なのでケーキの種類が豊富。クランブルやシナモンロールがベルギーではよく見る。
フルーツのチーズケーキとカプチーノ。甘酸っぱくてみずみずしい。

中国出身の友人は昨年夏、順当に卒業しサーチイヤービザを使いながら仕事を探している。ベルギー人の彼とも順調で一緒に住みながら家族ビザへの切り替えも検討しているが、ベルギー人配偶者ビザはベルギー人側がビザサポートをオファーできる最低年収が一般平均よりも高く意外とハードルが高いのだ。実は私のように他EU市民配偶者はこのルールが課されずEU法が優先されるため仕事をしていれば問題ないので簡単にクリアできるという少々皮肉な制度になっている。

実はクラスメイト2人を大学院のホームページで見かけて少し動揺していた。情報通の彼女はさすが詳しい。香港出身の1人はなんと今年の公募Phdに選ばれている。これは人類学部では募集が極少なうえかなりの狭き門。特にEU圏外出身となるとローカル言語を2,3語話す候補者と比べるとかなり厳しい。友人曰く、彼女は一年目から募集が多そうなイミグレーション関連にフォーカスし教授2人と親交を深める、二年目には既にPhd願書を書きはじめフランス語も勉強。最終面接では書類選考を通過した100人近くから選ばれるため、ともかくあらゆる友人と面接対策を英語とフランス語でして見事勝ち取ったそうなのだ。今は勉強のしすぎて腰を悪くし一定期間座ってられなくなったそう。もう一人はアメリカ人で彼女は環境系に興味があり、彼氏がフランス人なこともありフランス語も話せ今は学部のスタッフに就職。他オランダ人クラスメイトはインターンから大学のアドミニストレーションに就職したようだ。みな優秀。とても真似できない。

友人は社会人をへて留学しており元はマーケティングだが今はNGOでボランティアを経験したりしながら就職のためハローワークを通してオランダ語学校に通うらしい。大学院を卒業してもビザがあっても、外国人にとってやりたい職種への就職は狭き門だ。ちなみにそのNGOの正規職員はEUを通してインターンになる必要があり30歳以下、言語面なども含め大人には厳しい。それでもお金のためだけではなくやりたいことを模索する姿に共感と勇気をもらう。わたしも彼女も家や車やステータスがある仕事につきたいわけではなく、自分たちが興味がある内容の仕事につきながら慎ましく生活したい願望が強い。まわりが仕事、家の購入や子どもの日本語教育の話が多いローカルな日本人の友達とはまた違うフラットな視点をもらえる。

「Nozomiはどうなの?大丈夫だよ。You can do it!」
と励ませれてうれしかった。そして実は同じ時期に卒業できなかったことが悔しかったこと、またフルコミットしてまた落ちたらと恐れている自分に気づいた。

社会人になり10年が経ち、やりたいことよりやるべきことをするのが当たり前になった。本が読めなくなり、カフェでのサービスが悪いとイライラしたりどんどん傲慢な人間になっていった。変わりたい。好きを追求する暮らしを取り戻したい。子どもが生まれてから感じた切なる願いだった。嫌いではないけど特に好きではなく疲れる仕事を手放したい。

そしてやりたいことに向き合うには試験や課題をクリアしなければならないのだと今痛烈に感じる。この恐れと試験に何度も落ちた悔しさ。これを忘れないでおこう。若いころのようなフレッシュな気持ちがまた戻ってきたのだ。

素直に励まし叱咤激励をくれる友人は多くない。まだまだ異邦人なわたし達をひとりじゃないと感じさせてくれるコーヒー時間は定期的に持たねばと固く誓いあって帰路についた。


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