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絵で読む『源氏物語』これはどんな場面?

『源氏物語』の絵を 本文とともに読む

 平安時代後期に制作された「国宝 源氏物語絵巻」の東屋あづまや巻の絵*に、『源氏物語』「宇治十帖」のヒロイン、浮舟が、女房が読みあげる詞書を聴きながら、物語の絵を見ている場面が描かれています。昔から、こんな風に物語を楽しんでいたみたい。

*徳川美術館ホームページ>おもな収蔵品>国宝【源氏物語絵巻】>国宝 源氏物語絵巻場面解説>第五十帖 東屋 一
**絵巻が描かれた当時の色彩を科学的に調査し、再現した「復元模写 東屋(一)」もあります。絵が鮮明に再現されています。
徳川美術館ホームページ>名品コレクション展示室>第6展示室 王朝の華ー源氏物語絵巻ー>復元模写 東屋(一)

 ということは、現代でも、平安時代の姫君のように、絵を見ながら『源氏物語』の本文を読むと楽しいのではないかな。「源氏絵」(源氏物語の場面を描いた絵)をまとめた本はたくさん出版されているけど、『源氏物語』の本文が軽んじられているような気がする。絵の場面に対応する本文を読めば、絵と本文の相乗効果でおもしろいと思うのですよ。

本文は読みやすくして 提供

 『源氏物語』を原文で読もうとすると、高校時代の古文の授業がよみがえり、品詞分解をしなくちゃ、助動詞の活用は、となって、やめてしまう人がたくさんいそうな気がします。

 たとえばの話(ちょっと脱線)、鯛がまるごと手に入ったとして、自分で料理するのは大変。鱗を取らなきゃ、あと、三枚おろしにして、あ、うまく切れない、包丁のせい?だって刺身包丁持ってないよ、あー、身がぐちゃぐちゃになった。鯛なんてもらうんじゃなかった、もう鯛はいらない、となってしまったら、おいしい鯛なのにすごく残念、さぞかし鯛も無念だろう。

 鯛(古典)のおいしさを知るまえに、鱗を取り(単語を調べ)三枚おろしにして(品詞分解をして)、でも、どこで切ればよいのかわからない、刺身包丁がない(辞書の使い方がよくわからない)となってしまって、もう鯛(古典)はいらないとなってしまっているのではないかと、つねづね想像しております。

 先ず、鯛(古典)のおいしさを味わっていただきましょう。料理の練習はそのあと。おいしさを知って、料理を極めるうちに、船に乗って魚を釣りにいく(伝本調査にでかける)人もあらわれるかも。期待しすぎ?

 というわけで、『源氏物語』の本文を’お刺身’(素材を活かしたオリジナルの現代語訳)と原文のダブルで紹介します。現代語訳で興味をもったら、ぜひ原文も読んでみてください。

画像の著作権、所有権

 ブログで画像を引用するとき、著作権や所有権の決まりがあって、無断引用になる可能性がとても高いのでご注意。ネットで検索すると、いろいろな画像が見つかるけれど、それをそのままコピペして、自分のブログで安易に公開するのは危険です。
 美術品の保存や施設の維持にすごーくお金がかかるので、それはいたし方のないこと。各地の博物館、美術館が、所蔵品をデジタルで公開していることに感謝して、そのURLを貼り付け、所蔵館のホームページへ飛んで、画像をみてもらいます。「国宝 源氏物語絵巻」のようにね。

 そんな中、朗報が二つ。

ColBase

ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システム

ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。

ColBase 国立文化財機構所蔵品統合検索システムについて

このシステムで検索して表示される画像は、基本的に著作権フリーで使用できます。

 安心して画像を引用できるということで、本ブログでは、ColBaseから京都国立博物館に所蔵されている源氏物語絵色紙帖をとりあげます。源氏物語絵色紙帖の一覧はこちら

○源氏物語絵色紙帖 note掲載リスト(算用数字は巻順)

・01桐壺巻 2023/02/23初出
・02帚木巻 2023/02/19初出
鋭意執筆中!

平家物語について、ColBaseの「源平合戦図屏風」の絵をつかってnoteを書いています

ニューヨーク公立図書館 デジタルコレクション

THE NEW YORK PUBLIC LIBRARY  DIGTAL COLLECTIONS

ニューヨーク公立図書館 デジタルコレクションの画像も、著作権フリーで使用することができます。 

 なぜ、ニューヨーク公立図書館に日本の美術品が? 簡単に言うと、明治維新のどさくさに、日本の貴重な美術品が大量に売りに出されて海外に流出しました。ニューヨーク公立図書館の「スペンサーコレクション」は、ウィリアム・オーガスタス・スペンサーという人が蒐集したコレクションで、日本の絵巻や絵本もたくさん含まれています。ニューヨーク公立図書館の開館は1911年、その翌年の1912年にスペンサーはあのタイタニック号の事故で亡くなります。1927年に妻によって、ニューヨーク公立図書館にコレクションが寄付されました。EMAKI(英小文字でも可)で検索すると、日本の絵巻がたくさん出てきます。

 「盛安本源氏物語絵巻」と呼ばれている絵巻のうち、末摘花巻の中巻と下巻、帚木巻の穐巻がコレクションに含まれています。「穐(秋)」巻ということは、帚木巻はもともとは春・夏・穐(秋)・冬の全四巻だったと推測できます。残りの三巻は未発見です。

スペンサーコレクションの盛安本源氏物語絵巻はほかの作品とともに出版もされています。末摘花巻の中巻と下巻のツレとなる、石山寺が所蔵する上巻も所載されていますが、残念なことに上巻だけが白黒写真です。

○盛安本源氏物語絵巻 note掲載リスト

・帚木巻 第一図 2023/02/24初出。
・帚木巻 第二図 2023/03/03初出

和泉市久保惣記念美術館 デジタルミュージアム

和泉市久保惣記念美術館 デジタルミュージアム  2023/02/27追記

 ColBaseから紹介する、京都国立博物館所蔵の源氏物語絵色紙帖は土佐光吉の工房で製作されています。同じく土佐光吉工房製作の源氏物語手鑑が和泉市久保惣記念美術館に所蔵されていて、デジタルミュージアムで見ることができます。

1、デジタルミュージアムの画像利用について
当ホームページ「デジタルミュージアム」内で公開している作品画像(100KB 程度)を利用する場合については、当館への申請および連絡の必要はありません。ただし、利用の際には必ず「和泉市久保惣記念美術館デジタルミュージアムからの引用」である旨と、作品名、所蔵館名(和泉市久保惣記念美術館蔵)をお書き添えください。

和泉市久保惣記念美術館 所蔵作品画像の利用について

 デジタルミュージアムの画像は、出典を明記すれば利用できるみたいです。うれしい! そこで、主に京都国立博物館蔵源氏物語絵色紙帖には含まれていない場面を、和泉市久保惣記念美術館デジタルミュージアムの画像とともに紹介します。





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