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凍える寒さから気遣いを学ぶ

冬に入ったニュージーランドの朝はかなり寒い。

朝9時に入った木造ブレハブのクラスルームは、暖房がガンガンにたかれているものの、まだ全然温まっていない。みんなコートを着たまま凍えていた。

今日は初めての実技テスト。

緊張に加えて、体も強張るこの寒さでの実施は、かなり嫌かもしれない。


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テストはいつもと違うパートナーと組んで、片方が施術者、もう片方がお客役となって、1時間のマッサージ(+ベットの準備と施術前・施術後のセッション)を交代で行う。


テストは30分遅れで、部屋が十分温まるのを待ってから、開始となった。


僕は先に「お客役」だった。


施術前セッションをやったあと、別室で服を脱いで下着になり、腰にバスタオルを巻いた姿で、クラスに戻る。

裸になった上半身はまだめちゃくちゃ寒い。

急いでマッサージ台に飛び乗り、体をカバーしてもらいった。

1時間のマッサージを受けるあいだ、「ちっとも暖まりきらない暖房だ・・」と感じている僕とは裏腹に、施術する彼女は、途中からTシャツになっていた。

この寒さでTシャツとは・・

やはりNZ人は体が違う。


彼女の実技テストが終わり、僕の番になった。

今度は彼女がお客役。

やはり別室で服を脱ぎ、腰にバスタオルを巻いて戻ってきた彼女は、「えーこんなに寒いの!!」と言い、僕と同じように慌ててマッサージ台に飛び乗った。

え、さっきまでTシャツだったじゃん。

意外だった。

さっきまでTシャツ姿で普通に暑がってた彼女が、さっきよりも陽も上がって暖かいはずの部屋で、こんなに寒がるとは。

逆に僕の方はもう寒くはなく、マッサージを開始するとさらに暖かくなって、やはり途中からTシャツになった。

あれだけ寒かった部屋はむしろ暑い。上半身裸でも問題ないかもしれない。

しかし彼女は寒そうだ。

「体感温度ってこんなにも変わるのか・・」

頭ではわかっているけど、ここまで急激な変化を体で味わったのは初めてかもしれない。

誰かと暮らしているとエアコンで喧嘩になることがあるが、文句言う前によく考えた方がいい。


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体感温度もあるが、今回は相手の彼女から大いに学ばせてもらった。

それは彼女の気遣いが素晴らしかったこと。

彼女は施術中、大丈夫と言いながら実は寒がっている僕に気づき、バスタオルとブランケットを2重で掛けた。テスト中なので僕は何もリクエストしていない。

それをただ羽織るだけじゃなく、足先などはくるっと包んで、他の隙間もなくなるように埋めた。

さらに、施術する部位以外を徹底してカバーした。

上半身・下半身をカバーしたり、施術しない方の片足をカバーするのは普通だけど、右肩をやる時に、右肩エリア以外全部カバーという感じで。これまで習ったスキルの範囲では、これはやりにくい。

僕が先だったら、間違いなくそこまで気は回らなかったと思う。おかげで、僕はだいぶ暖かかくて助かった。

しっかり相手の立場で考える意識。

彼女にならって僕も自分の番ではいろいろ意識が回った。


もともと僕は気遣いが得意とは言えない。

観光業やって昔よりは成長したと思っていたけど、いまになって思い返すと「あの時の俺、全然だったなあ・・」と恥ずかしくなることもある。

今日もまだまだな自分に気づかされる
そんな実技試験だったように思う。

今日のクラスメイトはナリー。
ナリーありがとう。

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