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「あのー、髪の毛触ってもいいですか?」


近所の公園で長女と次女を遊ばせていたときのこと。

隣のブロックに住んでいて長女と最近仲良しになった6歳の女の子、ルミちゃん(仮名)は、

我が家の破壊児Konaと遊んでくれていた。

子供達の後ろを追いながら私とルミちゃんのママは歩いていた。

「Keiちゃんのママ、」とルミちゃんが私のところに駆け寄ってきた。


「あのー、Konaちゃんの髪の毛触ってもいいですか?」

とルミちゃん。

「うん、うん、うんうん!全然いいよー」とすかさず私。

ルミちゃんは、嬉しそうな顔で

「きゃーかーわーいいーー」

1歳児の髪の毛をくるくる指に巻いて触っていた。


私には「衝撃」だった。

もちろん、黒人が髪の毛を勝手に触られるのを嫌がることは知っている。

頭をぽんぽんとされるのも、髪の毛を勝手に触られるのも、嫌がる。

理由は、動物を触っているように、自分が見下されていると感じるらしい。現代人にも奴隷時代の感覚は刻まれているから。

だから、もしチリチリ頭の人がバスの席の前に座っていて

「うおー触りたい。」

という衝動に駆られても、ぜったい触らない方があなたの為です。

けれど、日本人であり、日本で育ち、大体ともだちは日本人、の私はあまり深く考えたことがなくて、ゴリンにしてきた野球部の坊主頭のともだちに、

「おーたわしみたいで気持ちい!」

なんてジョリジョリ触っていたような自分だから、長女や次女のカーリーヘアをみんなが

「まあ可愛いねー」

と触ってくれることに全く抵抗はなく、多分日本人のおとなからも

「赤ちゃんの髪の毛触ってもいい?」なんて言われた事は、記憶にないほど少ない・・。


けれど、このルミちゃんは、たった6歳にして、

「くるくるヘアーの髪の毛を勝手に触ってはいけない」を知っていたということ。

それって、それって、それって、ものすごく、すごいこと。


思えば、ルミちゃんは、Keiとこんなに仲良くなる前から、英語と日本語、両方でKeiにお手紙を書いてくれたことがあった。

きっと、

「Keiちゃんは日本語はわからないかもしれないから、英語も書いておこう」

と考えてくれて、

もしKeiから英語でおへんじがきたら、きっとルミちゃんはママに聞きながら英語でお返事をまたくれたんだろうな、と想像ができる。


子を持つ親として、私は自分が恥ずかしくなった。

ルミちゃんのママはどうやってルミちゃんに話したのだろう。

「外国の人は髪の毛を勝手に触ったら嫌がるから勝手にさわっちゃダメだよ」

ってルミちゃんに話してたいたのだろうか。

でも、外国人との付き合い方で髪の毛のことまで話す親ってどのくらいいるんだろうか。

恥ずかしいことに、自分はそこまで子供たちに話していない。

そして、それをちゃんと身につけているルミちゃんは本当に素晴らしい。

ルミちゃんは、間違いなく、すでに「自分と人との違い」を理解して、受け入れている。

きっとこれから、ルミちゃんは、

障害があって話ができない子、手足がない子、スカートを履いている男の子

に出会っても、どうやったらこの子達と仲良くなれるだろう?ってママと話しながら理解を深めて「相手を受け入れ」、相手の心を「ひらける子供」になっていくのだろう。


「差別」という感情は残念ながら人は生まれながらにして本能的に持っているらしい。そうでないと自分の身が守れないから。

だからこそ、放っておけば、「差別主義」になるのは必然で、親や周りの人たちが気づかせることをしなければ「多様性」など身に付くはずがないのだ。

私は、しっかり多様性について話しているだろうか、十分だろうか。

ルミちゃんを見ていて強くおもった。

こどもに理解してもらうには親がまず実践し、子どもに「対話」しなければ伝わらない。

がっこうはそこまで子どもに教えてはくれない。

今までどこかで「ハーフの親」として、受け身だった自分。

いやはや、母としてもっともっと精進しなくては。

ルミちゃん、Keiの心を開いてくれて、本当にありがとう。

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