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デジタルマーケティングで新規顧客を生み出す方法

マーケティングにおける「インサイト」は、直訳すると、「洞察、見通し」という意味を持つ。重要性が言われていて、誰もが口にする言葉だが、実際に理解して運用しているデジタルマーケターは少ない。

デジタルマーケティングで新規顧客を生み出すには、この「インサイト」という、人を動かす見えない心理をどうあぶり出すかが重要になる。「欲しいと思っている人」にアプローチするだけでなく、「今は欲しいと思っていない人」を「欲しいと思っている人」に変えるための方法や施策を考える必要がある。

これからデジタルマーケティングで新規顧客を生み出したいと考えている方に有益な、インサイトについての活用方法を解説する。

デジタルマーケティングにおけるインサイトとは?

デジタルマーケティングにおけるインサイトとは、人を動かす見えない心理のことを指す。対比するのは、デモグラ(デモグラフィック)という性別や年齢、居住エリア、職業、所得、家族構成などの属性を指す概念がある。

近年のマーケティングは、この人口統計学的データである、デモグラを中心に使用されてきた。かつてはデータが今のように手軽に取れず、アンケートなどでわかりやすい属性をベースに利用されてきた、いわゆるペルソナマーケティングが主流であった。

もちろん、今でも使用するデータのひとつだが、この人口統計学的データの属性も近年、生活様式の変化、生き方の多様化が見られ、価値観も変化した。以前はユーザーも女子高校生はこう、サラリーマンはこう、という属性設定がわかりやすかったのに対し、デジタル化が進むにつれて、一括りにデモグラでは表せない世の中になってきている。

そのため、人を動かす見えない心理であるインサイトを取り入れたデジタルマーケティング、今は欲しくなくても、将来の欲しくなるであろう人の見えない心理を紐解くことが重要となっている。

デジタルマーケティングでのインサイトは、人の内面、価値観や人生観などを紐解き、その人の心に刺さるコンテンツを見つけるために活用される。

デジタルの時代になり、データが容易に大量に取れるようになってきたからこそ、人の隠れた心理も読みやすい状況になっている。それによって、このインサイトを活用してのマーケティングができるようになってきた。

今までのように「欲しいと思っている人」だけを狙うのではなく、今は「欲しいと思っていない人」を「欲しいと思う人」になる一歩手前で、人を動かす見えない心理(インサイト)を利用して新規顧客に出来るかがキーポイントになっている。

ユーザーのインサイトを知るメリット

ビジネス上、ユーザーのインサイトを知るメリットは様々ある。顧客のニーズを把握でき満足度を上げる。心理を理解することでライバルと差別化を図るなどである。それは、新規顧客の獲得や売上に直結するマーケティングを策定しやすくなることに繋がる。見込み客に早くから接触して、将来の顧客リストを確保することもできる。また、顧客を属性としてセグメントすることで、様々な改善活動に利用できるメリットもある。

ユーザーのインサイトの始め方

デジタル広告のターゲティングで一般的なのがキーワードによるものだ。例えば、KOBUSHI BEERの場合、「渋谷 クラフトビール」というキーワードでターゲットを決めて広告をするわけだが、この際にリーチできるのは、渋谷でクラフトビールが飲めるお店を探しているユーザーで、かなり具体的にニーズが顕在化している顧客になる。

しかし、そこからインサイトを深堀していくと、より多様なニーズが推測できる。一般的にはクラフトビールが好きで美味しいクラフトビールが飲みたいということになるだろうが、人によっては、「デートをしていて、女の子と落ち着いて飲めるおしゃれな場所を探している」ということもある。美味しいクラフトビールが飲みたいわけでなくとも、例えば、「おしゃれでかっこいい、今、話題のクラフトビールが飲めるお店を知っていると思われたい」ということがあるかもしれない。

このようなインサイトをターゲットだと考えると、「渋谷で知る人ぞ知るかっこいいバーで今、話題のクラフトビールを彼女と飲んだらかっこよくないですか」というような訴求が有効になるのである。

クラフトビール好きというターゲットから、より広い層に訴求を広げるためにインサイトによる仮説は有効になる。

この仮説が正しいかどうかテストをして、取得できたデータから検証をして、PDCAを回してくということでどのインサイトにアプローチするべきかがわかるというのがデジタルマーケティングの面白いところなのだ。

そうすることで、キーワードも広がっていく。「渋谷、デート」や「合コン、二次会」、「ナンパスポット」など仮説を立て検証することで、クラフトビールが好きでない人も早くからアプローチをすることができる。ニーズが顕在化する前から顧客にタッチして、ユーザー層を増やして新規顧客にしていくという発想だ。

他にも様々な仮説を立てて検証してきているが、中には「お酒の名前」で検索をしているケースもある。そういうキーワードを盛り込んだ広告や記事というのも有効的な手段でもある。お酒の名前で調べているということは、お酒好きである可能性も高いので、クラフトビールバーはニーズが高いのでは、というような仮説を元にしている。

ユーザーのインサイトはどのように得られるのか?

人間の心理(エモーション)というのはデータで読み取ることはできないが、人間の行動(アトリビューション)は可能だ。デジタルマーケティングでは、この行動パターンを数値化して、心理を推測する。

ただ、人間の行動をデータで取得したとしても、それを有効活用できるデジタルマーケターは、まだまだ少ない。行動パターンを数値化して人の心理を読み解くには、常に取得したデータから仮説を立てて、人がその後どのような行動を起こすのかを考えないといけないわけだが、それには想像力や経験、発想力が必要になるからだ。

デジタルマーケターにとって、仮説を立てることができるかどうかというのは、とても重要で、これができていないマーケターは非常に多い。数値を見るだけではわからないことが実に多いのがマーケティングの世界なのだ。

ユーザーのインサイトの参考となる数値は、自社サイトやブログ記事などからGoogleアナリティクスを活用して集めることができる。または、ヒートマップという、ウェブサイト上でのユーザーの行動をマウスのクリックの動きによって色の濃淡で可視化して分析する方法で得られる。ただし、これらの数値も仮説無しでは、何の根拠にもならないデータとなってしまう。

インタビューやアンケートでの収集なども同じで、予め仮説に基づいてこちらからある程度選択肢を与えなければ情報を取りづらい。設問により回答は変わるし、自由記述だと傾向分析がしにくかったり、そもそも回答が取得できないということもよくある。

インサイトに訴求するコンテンツ手法

ターゲットがまだ絞り込めていない状況の中、インサイトの仮説を立てて訴求していかなくてはならない。俗に言う、「宣伝しないコンテンツ」を使う。

宣伝しないコンテンツというのは、世界観であったり、価値観、人生観を反映させる。例えば、KOBUSHI BEERでは、宣伝しないYouTubeチャンネルを運営している。YouTubeチャンネルでは、KOBUSHI BEERの世界観であったり、どんなお客さんが集まっているかにフォーカスを当てている。
KOBUSHI BEER YOUTUBE CHANNEL

宣伝しないコンテンツを配信することで、直接的なキーワードでは拾いきれない見込み客に早くから接触できる可能性が出てくる。新規顧客を獲得する準備を早い段階から実施できる。

また、店舗の世界観などを伝えることができれば、他店との差別化も図れるので一石二鳥だ。

デジタルマーケティングでのインサイトの活用方法

若者や働き盛り、高齢者とデモグラでは分けきれない、それぞれでのインサイトがある。若者でも、将来の夢に向かって計画的に活動している人間もいれば、その日が楽しければいいと思う人間もいる。働き盛りの年代でも、子供のいる世帯といない世帯でも、かなり価値観や人生感に違いがあるはずだ。今は、結婚しない独身のひとも多い。高齢者でも、子供がいるのかいないのか、ひとりで生きているのかなどでも価値観や生活感に違いがある。

価値観や生き方には多様性があり尊重すべきで、その上で、仮説を立てて、インサイトを活用していくべきだ。インサイトで情報収集をするのであれば、年齢や性別などでわかるようなデモグラ的な分け方ではなく、価値観や生き方をテーマにして見込み客の細分化をして新規顧客を増やしていこう。

インサイトを活用して新規顧客を獲得する

デジタルマーケティングでインサイトを活用して新規顧客を獲得するには、人間の価値観や生き方に注目をして仮説を立てて、その仮説をもとに情報収集をして幅広い見込み客を獲得することから始めることが大切だ。「人間の内面を見に行く」ことで、新規顧客獲得の突破口をこじ開けることができる。

インサイトを活用することで、新しい価値観や世界観を提供して、まだ見ぬ将来の見込み客を惹きつけることが大切だ。そうすることで、必然的に見込み客は増えていき、新規顧客も増えて行くことだろう。


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