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メルヘン「クラスペディア」⑧

何故入口駅なのか。
入り口までが通常終点で、そこからは単線で電車で本数が少ない。単線の町への入り口か、複線の街への入り口か。

中渡り廊下を渡ってきてしまったので、元病院の入口とは、どこかなのかをなんとなく探してみたくなった。
最近、心の余裕ができたのかなぁ。
外階段を下りると、
病院の門があったであろう場所では警備員が車の整理をしていた。
その騒音の中に花壇があり、黄色い花が咲いていた。
あの花壇が病院の名残りだ。
少し歩幅が広くなり近づいてみた。
高さ50cmはある茎。長い葉っぱ。まんまんるボールのような花。
頭の中で目と口を書いてみて、ニコっと心の中で微笑んでみた。

散歩がてらショッピングセンターをぐるっと周った。
まだ汗ばむが、蝉が鳴く音量は大きく夏の終わりが近づいている事はわかった。

ショッピングセンターの正面に来た。花屋があった。ガラスの向こうから黒猫の置物がこちらを向いていた。店の置くの方に目をやると、さっきと同じ黄色いまん丸の花を見つけた。
思わず店に誘われて入った。
花の名はクラスぺディア。
初めて花を買った。
2本。
中学生お小遣いではお財布は空っぽになった。

つづく
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熟成下書き

ごめんなさい。詩に夢も憧れもありません。できる事をしよう。書き出すしかない。書き出す努力してる。結構苦しい。でも、一生書き出す覚悟はできた。最期までお付き合いいただけますか?