18分の3 ~5月編~

4月が終わったと思ったら5月。長い糸の上を歩いているようだった。
ゴールデンウィークを挟んだこともあり、学校をやるための計画作成は止まることは無かった。
そして5月には初めての中間試験が控えている。ということは、教育面談も。私は憂鬱でたまらなかった。
入学式から約1ヶ月が経ち、少しずつこの学校にも慣れてきた気もする。そして、部活動が始まったことにより、1人で登校するようになった。気づいたら車が目の前にあることが増えた。

4月の頃は来ていた中学時代の友達からのLINEは来なくなっていた。
何となく苦しい毎日からは抜けられず、何となく不安で何となく怖い不安定な感じが続いていた。

クラスで気になっていた子がいた。重度の貧血らしい。体育は基本見学してるし、移動教室で階段登ることも苦しそう。歩いてるだけで倒れそうだし、休み時間は常に寝てる。だけど、私には関係なかった。

そんな日常を送っていると、担任との教育面談が始まった。

「失礼します。」
「卯月さんだよね。今年1年間よろしくね。」
「こちらこそお願いします。」
「いきなりだけど、高校入ってどう?慣れてきた?」
中学の時と変わらないような普通の質問が続いた。
「進路のことなんだけど、この学校に行くなら勉強頑張らないといけないよ。それでも大丈夫?」
「はい。大丈夫です。」
少しでも早くこの場から出たかった私は、適当な返事を返した。
「最後に、何か困ってることとか、言っておきたいこととかある?」
無理に作った笑顔で大丈夫ですと答えた。無意識に左腕を握りながら。

今までも教育面談は何度もあったが、困ってることなんて言ったことない。そんなこと言われたって、きっと先生も困るだろう。

テストが近づき、初めての中間試験に戸惑いながらも何とかテスト週間、本番ともに乗り越えた。
結果は可もなく不可もなく。
テスト直しの課題が面倒臭いなと思いつつも、期限が短い訳でも無くそれなりにやって提出した。
帰りにスーパーでお菓子を買って、録画したドラマを見ながら食べた。

5月もは半ばを過ぎれば、学祭の準備が始まる。高校は文化祭と体育祭をまとめて学祭とするらしく、準備や係決めに大きな時間を要した。
私の担当は団旗を作ること。布にペンキで色を塗っていけばいいだけの仕事だ。4人グループだったのにも関わらず、3人から無視をされているという状況は早々にして不思議だったが、作業自体は進んでいった。汚れるからと半袖で作業していたクラスメイトがの中で私だけ上下とも長袖ジャージでやっていたのは、周りから見れば不思議な光景だっただろう。
準備は着々と進み、団旗も完成していた。お世辞にも綺麗と言えるものでは無かったが。

気づいたら教育実習生も来ていて、徐々に学校全体の雰囲気が変わっていった。

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