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「時代/中島みゆき」の歌詞を考察する

1975年発売のシングル「時代」

私が生まれる遥か前の曲。
亡くなった親はもう生まれていた。

色々な人がカバーもしている。
名曲中の名曲だ。

サビはどこかで聞いていて知っていたけれど、
フルで聞いてかなり感銘を受けたので、
noteで初めて歌詞の考察をしてみる。

この曲の考察は、
調べてみると数多の人が行っていた。
もちろん、私はそれらの人の考察は読んでいない。

読むとその考えに染まってしまい、
私自身が感じた事を忘れてしまうから。

それほどの人気曲であり、
また歌詞がとても深いと思われているからこそ、
なのだろう。

なお、私の考察は、あくまでも私が曲を通して感じた事であり、これはまったく正解の解釈では無い、ということはご承知おきを。



まずは、歌詞を全て舐めてみる。

◆曲の入り~


今はこんなに悲しくて
涙もかれ果てて
もう二度と笑顔には なれそうもないけど

曲の入りから悲壮感が漂っている。
ここだけを見れば、
完全にメンタルがやられている。

誰か愛する人との別れか、
亡くなったのだろうか。

しかしよく見てほしい。
「なれそうもない『けど』」

『けど』というのは接続詞。
主には、前の文を否定したり、
対立する内容を述べる。

『けど』から先の歌詞が、
この後に続く。


◆一番メロ~


そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから 今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう

前の歌詞と正反対の感情となっている。
つまり『けど』が、前の歌詞との対立となっている。

「悲しい、もう二度と立ち直れない」
↓『けど
「くよくよしないで、今日起こることに身を任せる」

私がこの曲で一番感銘を受けたのは、
実はこの部分。

今日の風に吹かれましょう
この曲の「キー」となっている言葉。

この記事の最後にお伝えする。



◆一番サビ~


まわるまわるよ 時代はまわる
喜び悲しみくり返し

有名なサビに突入。

私でさえ知っていたのだから、
このサビを知らない人はほとんどいないのでは、
と感じる。

この2行で人生の全てを表している
と言っても過言ではない。

そして「まわる」というのは、
この後の歌詞にも掛かってくる。

*****

今日は別れた恋人たちも
生まれ変わって めぐりあうよ

「生まれ変わって」
つまり輪廻転生ということ。

「輪廻」と「まわる」
が掛かっている。

私は「輪廻転生の歌だ」
と、1回聞いたときはそう感じた。

しかし、これを考察するにあたり全体を何回か聞いてみると、仏教的な考えは根底にあるけれど「輪廻転生」そのものには踏み込んでいないということを、ひしひしと感じた。

では2番へ続く。


◆2番メロ~


旅を続ける人々は
いつか故郷に出会う日を
たとえ今夜は倒れても
きっと信じてドアを出る
たとえ今日は果てしもなく
冷たい雨が降っていても

旅=人生
これはよくある表現の一つ。

故郷というのは、
温かさ温もり=幸せと感じた。

ここの歌詞は、
たとえ辛く苦しくても、
どこかで幸せを感じられる
それを信じ、人生を続けていく
という比喩。


◆2番サビ〜


めぐるめぐるよ 時代はめぐる
別れと出会いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ

2番のサビへ突入。
「まわる」から「めぐる」
となっている。

1番のサビ終わりに
生まれ変わって 『めぐり』あうよ
と言っている。

つまり、1番と2番の意味合いが、
切り離されていない。

めぐる」というのは、
1番の「恋人たち」のほかに、
2番のサビで「旅人たち」にも掛かっている。

「まわる」と同等の意味に思えるが、
「めぐる」の方がより観念的であり思想的だ。

この「めぐる」という言葉が出てきて「観念的」と言う仏教的な意味合いが少し顔を覗かせる。

別れと出会い」と言うのは
生と死」の意味もある。

今日は倒れた旅人たち」というのは、
今日は倒れた=人生が終了
旅人たち=人間たち

つまり亡くなってしまった人
と捉えることが出来る。

*****
1番は、人生の喜びや悲しみ
2番は、人は生まれ、そしてみな死ぬ
という事を綴った歌詞と感じる。


◆ラストサビ


まわるまわるよ 時代はまわる
別れと出逢いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ

今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ

ラストサビ+2行の歌詞
で締めている。


◆歌詞出現回数


・歌詞の出現回数
恋人:1回
旅人:3回+旅1回
時代:5回

上記の出現回数でも分かるように、
旅=人生
旅人=人間
であるからして
人間の人生
がメインテーマの曲である。

恋人が1回だけ出現したが、「めぐりあう恋人」というような、誰にでも分かりやすい表現で使われただけの用法と思われる。
決して「恋愛がどうのこうの」という歌詞ではない。


◆「悲しさ」がテーマの曲では無い


曲の入りがとても悲しい。
そして曲調も「もの悲しい」

今夜は倒れても、冷たい雨、倒れた旅人たち
など、その部分だけ切り取ると悲しい表現はある

しかし、その後には
今日亡くなってもまた生まれ変わるよ
というような、輪廻の歌詞へと続いている。

ここは「輪廻転生をする」と言うことを大真面目に言っているのではなく、現世の辛さや苦しみの解放表現の一つとして「来世もあるさ」というような、ポジティブに少し軽く言っているだけだと感じる。

*****
この曲は決して
「悲しさ」をテーマにした曲ではない

これは「時代」の中の「人生」がテーマの曲であり、これを俯瞰して観念的に見ていると言うことは、ある程度人生を進めたものにしかわからない境地とも言える。

つまり、この境地に至るまでに、生まれてからだいぶ経っており、人生をここまで総括できる表現は、違う角度から見ると死が近いことの暗示とも言える。

人生を総括=人生を後から振り返ると言うのは、終わりが近いと同義なので、やはりそこは悲しい気持ちとなる。

それがこの曲の
もの悲しさ」に繋がっている。

しかし、そこは先述の通り「来世もあるさ」と言うようなポジティブさで表現し「もの悲しさ」を打ち消している。

では、曲全体を俯瞰し、
この曲はいったいどういう曲なのか


◆歌詞全体の流れ


もう二度と笑顔には なれそうもない
『けど』
今、辛いことも過去になる
笑って話せるようになるから
今日の風に吹かれましょう

時代はずっとまわり続ける。
人生は喜びや悲しみを繰り返していく。

たとえ途中で死んでしまっても、
また回りまわって生まれ変わるでしょう。


◆歌詞のまとめ


人生はまあ細かく見れば
人それぞれ色々あるけれど、
喜びや悲しみを繰り返しながら、
人が死に、また新たな命が生まれる。
その繰り返し。

なのだから
「今日は今日の風に吹かれるのが大事」

という解釈とした。

この歌詞は、輪廻転生そのものには踏み込んでおらず、とても観念的であり人生そのものを表している歌詞と感じた。

Q.
おい、「時代」という言葉はどうなんだ?

A.
喜びや悲しみを繰り返しながら、
人が死に、また新たな命が生まれる。
これを「時代」と呼んでいる


*****
人生とはそういうものなのだから
今日の風に吹かれましょう」
この1行が人生のテーマでもある気がする。


歌詞の考察なんて全く書いたことないし、他の人の考察も読んだ事ないから、これで良いのかどうか全く分からないけれど。

機会があればまた書こうと思う。



つづく。


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