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【エッセイ】夏の一番の思い出。

いよいよ今年も夏が始まった。

夏と言えば海、花火、スイカ割り、浴衣
そのどれもが楽しい思い出となる。

そして「虫捕り」も、
夏の風物詩の一つだ。

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私は、小学生の頃、
よく夏に「虫捕り」をしていた。

家から10分ほど歩いた場所に、
やや小さめの公園があった。

アスレチックやブランコなどがあり、
木々やちょっとした「はらっぱ」もあった。

私が公園に行くときは、
帽子をかぶり半袖半ズボン。
靴はピンクのサンダル。

「日焼け止めクリームをつけなさい」
と母は言う。

塗るのが面倒くさかったけれど、
夏はいつもササッと塗って出かける。

その「日焼け止めクリーム」のおかげで、
今の私は「白い脚」となっている。
母にはとても感謝している。

私はその公園で、
いろいろな虫を捕った。

トンボからセミ、バッタ、チョウチョ
ただし「毛虫」だけはどうしても無理だった。

--
私が行っていた小学校では、
少しの間「エアガン」が流行った。

その事が先生の耳に入ると、
それを使わないよう、クラスで周知された。
もちろん、人に向かって撃つと危ないからだ。

「エアガン」は、主に公園で使用されていた。

男子が持ってきていて、悪ふざけで同じクラスの男子に向かって撃ったり、カラスに向かって撃ったり、木に向かって撃ったりしていた。

幸いにも怪我人は出ずに、
短い「エアガン」ブームは過ぎ去った。

そして「エアガン」を繋つと「弾」が出る。
プラスチック製の「BB弾」と呼ばれるものだ。

--
夏休みの日曜日。
昼の15時過ぎ。

その日は「虫捕り」に公園へ行っていた。
私は、一人で公園に行っていたと記憶している。

まだまだ暑かったが、
ギラついた太陽も落ち始め、
夕日が出る一歩手前だった。

公園に着くと、
さまざまな色の「BB弾」が落ちていた。

「キレイだな〜」と思い手で拾い上げ、
持っていたビニール袋に「BB弾」を入れた。

1時間弱、汗を垂らしながら公園内を歩き、
「BB弾」を拾い集めた。

その数はおそらく50個ほど、
ビニール袋に入れた。

「エアガン」が流行っていた頃、
たくさん「BB弾」が落ちていたのだ。

「虫捕り」をする事はすっかり忘れ、
その「BB弾」を拾った事に満足し、
ビニール袋片手にそのまま帰宅した。

--
公園から帰宅すると、
母が夕飯を作っていた。

「ジューッ」という魚を焼く音を聞きながら、
私はおでこから滴る汗をタオルで拭い、
クーラーの下で涼んでいた。

そして、カラフルな「BB弾」が入っているビニール袋を、しばらく眺めた。

その時、ビニール袋の中で
「何か」が動いた気がした。

それをじっと見ると、
明らかに「BB弾」が動いている。

1個だけではない。
7、8個「もぞもぞ」と動いているのだ。

いくつか動いていた「BB弾」は、
黒色と灰色だった。

魚を焼き終えた母がこちらに来て、
ビニール袋をチラリとみた。

「キャッ」と母が声を上げた。

当たり前だが「BB弾」は、丸い。
その丸は形を変えて、
少し長くなっていた。

何本もの小さな足が見えた。

それは、明らかに「BB弾」ではなく
「ダンゴムシ」

『ひっくりかえって無数の小さい足をバタバタ動かしている者』
『丸くなって長くなってまた丸くなる者』
『長くなってから微動だにしない者』

そこには、あらゆる姿の
「ダンゴムシ」がいた。

「すぐ捨ててきなさい」と母は言った。

私もさすがに気持ち悪くなったので、
近くの草むらにビニール袋を開け、
BB弾とダンゴムシを全て捨てた。

--
夏になると毎年思いだす。

あのダンゴムシの
「擬態」について。

ダンゴムシ
昆虫ではなく
甲殼類

つまりこれは「虫捕り」ではない。

つづく。


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