オランダ渡航記1/3 Almere フロリアード2022編
オランダ渡航(10/1~10)のメモを書いてみました。
1つは備忘録として、
もう1つは、
渡航前の情報収集で、こういう情報が意外に役に立ったなーと思ったブログやHPの感じを真似て、書いてみました。
だいぶ長くなってしまったので、前編・中編・後編と3部に分けてお届けします。
全体テーマは「持続可能な農」ということで、アップサイクルの動きを中心にいろいろと見て回りました。
今回は前編。
ということで、まずはアルメレ(Almere)フロリアード2022編です。
10/1(初日) 関空〜スキポール空港
今回は関空(KIX)を10時に出て、パリ(CDG)経由でオランダ(AMS)入りです。
長時間フライトに備えて、髪などもセットせず、寝間着のような格好(ユニクロのルームウェア)で空港へ。
10:30 関空発
行きは前の広い(足の伸ばせる)座席を予約。
エコノミークラスですが、結構ゆったりしていて快適です。
席に着くと、隣の席の23歳の若い男性が話しかけてきました。
聞くと、アルジェリア出身のフランス人で、大阪大学で4ヶ月間留学していたようです。今から国に帰るのですが、日本が名残惜しいようです。
Paris経由でLyonまで、フランスの中でも遠いところなのだと言います。
帰ったら今日は夜の1時になるとか。
*
機内食はすき焼きっぽい料理です。
肉か魚かを選ぶことができず、隣の彼が肉を食べれない(ビーガン)からとメインを2つ食べることになりました。
代わりに乳製品っぽいケーキをあげました(私は乳糖不耐症といって牛乳を飲むとおなかを壊す性質なので、ちょうど良かったです)。
大阪、京都は知っていても兵庫は知らないと彼。近いんだけどなー。なお、神戸は分かるみたいです。
足元の広い席にはTVがないのだとばかり思っていましたが、他の席と仕様が異なり下の方から出してくると見れます。なあんだ。
(このあたり写真がありません)
機内では、トップガンマーベリックを鑑賞。
見たいと思いながら見損ねていたのでちょうど良かったです。
とても良かった!映画館の大画面・音響で観たら最高だっただろうな。
機内のうしろの方には飲み物(たまにおやつも)を置いてくれていて、食事の時間以外でも自由に飲むことができます。
立ちやすい席だったので、何度か飲み物を取りに行きました。
さすがに後半3時間くらいはお尻や足が痛くなってきました。
*
18:30
定刻どおりパリのシャルド・ゴルール空港に到着。
トランジットまで時間があるとのことで、フランス人の彼が空港を案内してくれることに。ゲートまでの行き方なんかも教えてくれました(親切)。
日本人は親切、優しいと彼。
フランス人は文句ばかり、機内でも聞いてられないほどだったと。
添乗員、よくしゃべってるなと思ったけど、文句が中心だったんだ笑。
日本人にもいろいろいるよ、日本で出会った人たちが良い人ばかりで良かったね、と言っておきました。
もうちょっと案内してもらうつもりがこちらの乗り換え時間が案外ギリギリで、間もなく搭乗受付終了という時間に。最後はバタバタとアムステルダム行きの飛行機に乗ります。
バイバイフランス、バイバイ彼。
美味しいと教えてもらったおすすめのパンは時間がなくて買い損ねました。
帰りに買おう。
*
オランダ行きの飛行機はちょっと雰囲気が変わります。添乗員の制服なんかも変わります。日本—フランスは、言葉の通じる(日本人の)添乗員が機内にいましたが、フランス—オランダはさすがにおりません。
というか誰もマスクしていません。添乗員や売店の売り子でさえも。
Cって終わったの?って感じです。
21:20
オランダのスキポール空港に到着です。
フランス—オランダ間は1時間ちょっと。近いもんですね。
フランスの空港が豪華な印象(Buy Paris!というコーナーがあったり、空港の無料wifiも提供がシャネルだったり)なのに対して、スキポール空港は機能的かつ質素な印象です。発電しながらスマホ充電する席とか、ゴミ箱もリサイクルboxという表記だったりします。
お国柄というやつですかね。
*
ここで最初のトラブル発生。
受取ラインにスーツケースが見当たりません。
余裕こいてトイレ行ったり、写真撮ったりしていたあいだにどっか行ってしまった?実は乗り換えで自動積み替えでなく、パリの空港で一度荷物を受け取らなければいけなかった?などといろいろ不安がよぎります。
同じ飛行機に乗っていた同じようにうろうろとカバンを探していた人たちが、乗っていた飛行機の添乗員に聞いています。すがるように後を追うと、受取は別の場所だよ、と。
カバンの受取ラインが少し離れたところに2箇所あり、別の方でずっと探していたのです。
これがロストバゲージ!?と不安になりましたが、もう一つの受取場所に普通にありました。良かったよかった。
*
空港はなんというか平らで見通しがよく、すっきりした印象です。
いろいろ済ますと、現地時間で夜の10時ごろ。今日のホテルは空港近くです。
空港の外に出ると、タバコを吸ってる人が多い印象です。
大麻合法の国というのも関係あるのかな。
*
ホテルまでシャトルバスが出ているようなのですが、乗り口が分かりません。停まっているそれっぽいバスの運転手に聞くと、そこには行かないよと。もう少し先だよ、と。
向かうといくつかの周辺ホテルとを往復するバスが停まる場所がありました。
そこで泊まるホテルを探し時刻表をみると、もうすぐ来るようです。
ここでさらにトラブル発生です。
シャトルバスには無事乗れたのですが、ホテルまでのシャトルバスのドアが閉まらなくなります。
運転手がボタンを押しても閉まらず、何度か開けたり閉めたり、再起動みたいに一度エンジンを切ったりと、挙句サポートに電話で問い合わせまでしています。
たぶん運転手が離れているあいだに来て、無理に閉まったドアを外からこじ開けようとしたおばちゃんたちのせいなんだけど。
そのあいだに「ああ、良かった間に合った」みたいな感じで次々とバスに人が乗り込んでくるのが見ていて面白かったです。
少し遅れるも無事ホテルに到着。結局ドアは閉まらず、中から誰かが引っ張ったまま出発しました。未解決~~。
チェックインを済ませ、眠いのか眠くないのかよく分からないまま明日に備えて就寝します。
10/2(2日目) ホテル〜アルメレ市内
今日はアルメレに向かいます。
早く起きたので、そのまま空港行きのシャトルバスに乗ることに。
30分おきにバスが出ることを確認し、5:30のシャトルバスに乗ろうとチェックアウトを済ませると、満員だよとバスの運転手。
フロント係に言ってくれ、と素っ気ない感じでバスは走り去ります。
ちょっと飲み込めなかったので、近くにいた同じようにバスに乗れなかった団体の1人に確認すると、我々は次のバスとのこと。
朝は結構冷えます。
前のバスに乗れなかった6人用に別に追加のシャトルが出ることに。ところが結局手配されたバスはほぼ30分後で、そのあいだ30分外で待つことに。
こういうこともあるのか、帰国日は早めに起きて行こう。
6:00
*
空港に着くと、寝てる人がいます。宿いらず、金いらず。
空港駅から目的地に向かいます。
OVチップというICOCA(SUICAとも)みたいなプリペイド式のカードがあり、それを買っておくと良いと事前情報で入手。これは本当にあって良かったです。ただでさえきっぷの買い方とか字が読めなくてムズいので、これは持っていたほうが絶対良いと思います。
窓口でいくらチャージする?と聞かれ、どんなもんかなあと悩んでいると、最初は50ユーロにしておいたら、と言われ、言われるがままに50ユーロをチャージ。
ついでにバス、メトロ、電車に乗り放題になるというGVBという期間定期券のようなものも買えるのか聞いてみました(この情報も事前に入手)が、ここでは売っていないのでアムステルダム中央駅へ、とのこと。
どこから何に乗ったら良いのか教えてもらい、アムステルダム中央駅へ。親切な方でした。
6:41
電車は普通に時間どおりに来ます。
並ばず一番乗りに乗り込もうとする人、日本では少ないですが一定いますね。
電車の走る音は静か、まだ夜明け前です。
6:59
アムステルダム中央駅に到着。
アムステルダム中央駅でGVBを買うつもりが買えませんでした。受付っぽいところが空いておらず、まだやってなかったっぽいです。
夜明け前のアムステルダムをパチリ。
運河と明かりで、景色がとてもきれいです。
一方で目立つのは道に落ちている多くのゴミ。
景色がキレイなのと対照的に、道端のゴミが汚いです。
その点、日本とは真逆の印象です。
駅構内に美味しそうなパン屋さんを見つけ、パンとコーヒーを買います。
しめて9ユーロでした。考えてみたら結構いい値段ですね。でも美味しいです!
コーヒーは加圧抽出です。
とりあえずホームで探せたのがアルメレ中央駅行きだったので、アルメレの中央駅に向かいます。
7:38
アルメレヘ向かう車内で夜が明けました。
車窓からクラインガルテンっぽいのを発見。
気づくと一気に農風景、酪農地帯です。
写真は電車が速くて撮れず。。
アルメレセントラル着。
ここからホテルまでの行き方が分かりません。
と思ったらフロリアードの案内があります。ラッキー。
バスはこちら 船はあちら
もちろん船でといきたいところだけど、ここはバスで。
8:15
わりと調子良く会場までは着きそうです。
荷物を先にホテルに預けるか、迷います。
8:20
会場に到着します。
開園は10時なので荷物を預けに30分ほどホテルまで歩くことにします。
湖畔沿いに風が気持ちいいです。
そして鳥が多いです。種類も数も。
朝の時間帯ですが優雅に犬連れて散歩する人たちがちらほら。
余裕がありそうな感じです。
(あとで調べた情報によると、人口対策で新たに増設された新しいまちのようです)
ホテルに到着。
遠目にも分かる印象的な外観です。
ホテルに荷物を預け、自転車を借ります。
自転車でアルメレの街なかを走り周ります。
控えめに言って最高です!
自転車気持ち良すぎ。
晴れなら明日も借りよう。
*
そして10時すぎにフロリアード会場に到着(ふたたび)。
ここでフロリアードについて簡単に。
<解説>
フロリアード(Floriade)とは、10年に一度オランダで開かれる国際園芸博覧会で、世界中から40ヵ国近くがブースを出展し、施設内には数多くのパビリオン、アートワーク、庭園などが設けられています。
会場敷地面積はディズニーランドと同じくらいあるので、一日で回りきれないほど。2日あればじっくり1つ1つの展示を見ることができるかなという感じです。
中に入ると当日申し込み可能なガイドツアーがあるということで、さっそく申し込みます。
白い牛のところで待ち合わせ、10:30からガイド開始とのこと。
楽しみです。
ガイドは英語での解説とドイツ語での解説を交互にしてもらうことに。
ガイド役は大変そう。
フロリアードを観覧する上での一押しスポット、コンセプトなど、要点を教えてくれるのでとても助かります。
この橋も含めて園内の橋はほとんどすべての部材がセカンドマテリアル(二次利用材)だと言います。
すごい!
せっかくの機会なので、気になったことを質問してみます。
Q.強度は大丈夫なのか?
A.建築基準を満たすように技術を駆使して頑張った、とのことでした。
植物の繊維を干したものだけで部材が構成されているらしいです。
そう聞くと若干こわい気もしますが、強度設計は十分。言われなければ気づきにくいことなので、ガイドは有難いです。
ガイドツアーで回ったみどころをいくつか。
アルメレ市は埋め立て地にまったく新たに街を作っていっている(歴史も40年ほど)ので、オランダの建築家集団が市内の建物とあわせてまち全体を設計したそうです。
フロリアードの開催期間が終わると、一部の展示は移設するが、この建物などはそのまま残り、居住区になるそうです。
周辺の庭はそのまま、ということで、フロリアードが終わったら誰が管理していくのかが気になり聞いてみると、
近隣に管理を担うコミュニティがあるので、その人たち(ボランティアのようなかたち?)と住民で管理を継続していくとのことでした。
結構広大だけど、全部面倒見れるのかなー、管理費を積み立てるとかで継続可能にするスキームとかあるのかなーなど、気になることもありましたが、さすがに多くは聞けず。今後の運営がどうなるか、気になる事例地の1つです。
近くでみると、ハチのかたちの模型から構成されています。
公式HPによると、人と自然の共生がテーマ(主題)で、ハチはそのバランスにおいて重要な役割を担ういわばシンボルであり、
そのハチがいま気候変動により脅かされている、と。
(花や植物の受粉はハチの働きによるところが大きく、生態系評価においても重要な指標種の1つです)
Beehold:
ハチ(=bee)とbehold(=注目せよ)を文字ったモニュメント。
このモニュメントからも、今回の博覧会において気候変動(Climate change)対応が重要なトピックとしてあることが窺えます。
フードシステムや食文化、持続可能性ビジネスについて学べるようです。
後方に写るのがすべて再生素材からできているというオランダブース肝入りの建物”The Voice of Urban Nature”。あとでちゃんとみよう。
英語解説は半分くらいしか正確には聞きとれないけど、だいたい意味は分かった(と思います)。
12:30
ガイド終了。
そこからエクストラで続きをしてくれることに。13時くらいまで少人数で続き(3~4人)を。ラッキー!
さらに詳しく見どころなどを教えてもらいました。
大きな目のオブジェ。
よくみると、デッドストック(余った服など)でできています。
中もこんな感じでキレイです。
植物やクマのぬいぐるみなど、さまざまなものを水の中に入れ、溶けだした色水を展示してあります。
太陽光に照らされ、キレイなディスプレイです。
こちらは使わなくなったコンテナを利用したオフィス空間の提案(ディスプレイ)。このあたりもアップサイクルですね。
園内は建物や橋も含めて、循環型を強く意識した構造物と展示が散りばめられており、オランダや開催地であるアルメレ市の意向が強く反映されているようにも思えます。
2日目 昼 フロリアード散策
ひととおり回ったあとは園内でお昼です。
男の子がハイハイで席のところへやってきます。
どうした?なんかあった?ってわからんか。。
その子のお母さんも来て、今で11ヶ月とのこと。
だいぶしっかりしてるな。
うちの子も同じくらいですよーって。
外での食事は気持ち良い。
心なしか、花柄の服を着た人が多い印象。
外で食べているとやたらハチが来ます。
というかスープの中で一匹死なれました。
まわりを見ると、手で払いながら食べている人多め。
場所が場所だけにみんな受け入れている感じですが、
改めて人と自然の共生って難しいですね。
*
午後はガイドツアーで行っていない&屋外の展示を中心に散策。
ガイドの人に教えてもらったアグロフォレストリーのエリアは行かないと。
ここに来ても大豆。
いろいろな豆類が紹介されているエリアです。
たんぱく質の豊富な植物として世界的に重要と期待が高まっている、といった感じでしょうか。
大豆のポテンシャルの高さに世界が気づいています。
15:30
休憩 結構歩き疲れたな。
子どもたちがはしゃいでます。
クルクル回ったり。どこの国でも子どもは元気だ。
同じアルメレ市にあるアップサイクルセンターは日曜休み。
ということで今日はフロリアードを中心に回ろう。
*
休憩後は世界各国の庭を順番に。
インド庭園はスピリチュアルな要素が強め。
タイは水草多めで、水運国家オランダとも相性が良さそう。
ベルギーはエディブルガーデンといった感じで、ハーブなどが多く展示されており、紹介サインもかわいらしいです。
中でも気になったのはカタールとアラブ(UAE)。
カタールは展示が大きく3点。
まず目につくのがこの建物。
ピジョンタワーと呼ばれるハトのための家。
突き出た棒はハトがとまれるように、穴はハトの体が入る大きさです。
なぜこんなものがというと、1つは都市部でのハトのフンによる公害への対策として、そしてもう1つはハトの糞を集めて肥料として農業に利用するためです。
砂漠地帯のカタールでは、食料生産にとって有機物は貴重な資源。化学肥料を使った生産が主流になるまではハトの糞も肥料として大事に使ってきました。
こうしたタワーを作って、ハトも食用で育てるようですが、年に数回集まったフンを肥料として使うようです。
そしてピジョンタワーに見立てた塔の内部では2分ほどの映像が。
環境との調和や持続可能な社会の実現が求められる中で、ピジョンタワーは生産条件の厳しい砂漠地帯での食料生産を可能にする一つの伝統的な技術だが、化学肥料を使った近代農業の持続可能性に疑問が生じ、気候変動への対応が農業にもますます求められるようになる中で、これからの持続可能な技術として再評価できるし、今後さらに伝統と革新を組み合わせた環境に優しい農業や開発を目指します、といった感じの内容でした。
上の穴からは自然光が差し込み、メッセージもさることながら展示表現としても素晴らしいと思いました。
その横にはこの施設。
水の希少な砂漠地帯では、水平方向に面的に広がりをもった農地での栽培は難しく、縦に広がる(=垂直)農業への期待が高まっている、というもの。
続いてアラブ(UAE)。
一見、分かりにくいですが海水(ソルト)がテーマです。
奥にある建物の中に入ると、サリコルニア(Salicornia)という海水でも育つ植物の展示があります。
この地に自生していたものではないらしいですが、砂漠と海水が大半を占める国土で食料生産をするために有益な品種として紹介されていました。
ほかにも、海藻による二酸化炭素吸着を調査する研究の紹介や、砂漠・海水という食料生産に不利な厳しい土地条件下で発展してきた生産技術と研究開発が、環境負荷の少ない農業として、あるいは他の地域にも適用可能な技術として発展してきていることを伝えており、面白いです。
「地表のほとんどは海水なのだから」といったメッセージが印象的な展示です。
翻って日本はというと、里山(Satoyama)を題する展示だったので期待したのですが、
(日本ブースのテーマは”SATOYAMA Farm Garden”)
中身はフラワーアレンジメントやフラワーデザイン、園芸品種の育種の品評会での受賞歴(こんなに大きくてキレイな色の花ができました!みたいな)などが中心で、
あまり環境との調和や人と自然の共生、また気候変動に対応した農法や見直される伝統的な農業形態に関するような展示は見られず、残念でした。
いかにも近代農業における園芸技術の延長といった感じで、10年前ならこれで良かったのかもしれませんが。。
椎葉村の焼畑農業とか(日本版アグロフォレストリーの事例ともいえると思います)、藍染めとか、世界に紹介すべき農業や農法はほかにもっとあったのではないかと、このあたりに物足りなさを感じました。
(日本にある循環型農業のしくみや良さをいかに展示や演出で表現するかは、今後私たちが取組むべき課題となりました)
続いて中国。
竹をテーマに、庭づくりが展示されています。
よく見ると、通路内の赤い飾りはすべて中国国旗で、このあたりいかにも中国、といった感じです。
中はチャイニーズガーデンといった感じ。
ここまでなら「ふーん」といった感じなのですが、
これは良いなと思いました。
今では日本国内でも厄介者扱いをされることが多い竹ですが、成長は早いし、中は空洞だし、しなる強さがあるし、素材としてこれからの時代にとってポテンシャルありますよ、といった紹介の仕方をしています。
伝統的な竹細工の技術や竹とともにある生活文化とあわせて、こうした視点で竹そのものをみせていて、実際に竹が園内の展示什器としても使われていました。
写真がややわかりづらいですが、正面からはこんな感じ。
強度の問題でこの本数竹が必要なのか、たくさん使った方が良いからこういう構成なのかまでは分かりませんが、キャップのようなかたちで竹を脚として(ツーバイフォー材を突っ張って木の柱を作るアイテムのように)取り付けていて、竹活用の1つの可能性を示すディスプレイとして有効と思いました。
そのほかイタリアブースは施設内に段ボールいすやアート融合など、
ドイツは音楽舞台や食事処とあわせて会場を盛り上げていました。
なんとなく卒がない印象のフランス。飲食提供とあわせてのブースです。
ただ、インドやスーダンなどもそうでしたが、ここで展示すべき、紹介されるべきものは実際にはあるはずなのですが、園芸博覧会ということなので、ある種「スベらされた」というか、むしろ全体テーマが今回はだいぶSDGs的な内容に寄ってしまったので、いわゆるこれまでの園芸・造園展示の延長でやっているブースが浮いてしまっているというようにも感じられました。
*
先に国ごとのブースを紹介してきましたが、まだまだ見どころ満載なのがフロリアード。
*
園内でUtopia Island(ユートピア島)と名付けられたエリアへ。
子どもたちが何やらワークショップをしています。
このゾーンは、近隣の小学校と連携して利用していくスペースになるようです。
このあたりもかなりアップサイクル的。
そしてここからアグロフォレストリーの展示です。
アグロフォレストリーについて簡単に。
<解説>
アグロフォレストリー(Agroforestry)とは、森林農法のことで、Agriculture(農業)とForestry(森林)を掛け合わせた言葉です。
「森を育てる農業」とも表現され、収穫時期や期間、背丈の異なる植物や苗木を組み合わせて、毎年さまざまな農産物を収穫しながら森をつくっていきます。
コーヒーやカカオなどに代表されるプランテーションによる単一栽培が、環境負荷や生態系破壊、また中長期的な農業経営の点で持続可能性に疑問符が付く中で、さまざまな生産物を同時につくるため病気などにより一斉に収穫が見込めなくなるようなリスクを軽減できるという経営の安定性に加えて、生態系も豊かになるということで注目が高まっています。
アグロフォレストリーという呼び名は比較的新しいですが、農法自体は伝統的な農法であることが多く、復活させるかたちで取組む事例もありますが、昔からのやり方を継承している地域もあります。
森の中で収穫作業をするようなやり方になるため、プランテーションと比べて一般的に収量は下がります。
さて、このアグロフォレストリー、どんな方法で展示されているのだろうと非常に興味津々だったわけですが、実際に見てみて、いやあ知っていればなんとなく意味は分かるけど、知らずにこの展示だけ見て面白さや魅力を感じ取るのは難しいよなーと。
写真のとおり、一畝だけ再現したような感じなので、なおさら雰囲気もつかみづらく。。どう展示で表現したら伝わるか、ちょっと悩んでみたいと思いました。
これまでみてきたように、フロリアードが園芸博という名前から想起されるような花と緑の祭典でもなく、これからの都市の暮らしを提案するようなメッセージ性が各種展示からも色濃く感じられる中で、このエリアは中でも未来志向の内容に感じられました。
キーワードは、循環とコミュニティ、ですかね。
*
園内にはアート作品もちらほら。
*
戻ってきて、気になっていた再生素材や植物由来の素材だけで作ったというブースです。
ここはガイド役が何人か配置されており、来た人に細やかに解説をしていて力が入っていました。
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ケーブルカーにも無事に乗れました。
上空から園内を見渡せます。
同席した家族が「この中で、もし火事になったらどうする?」と話題を振ってきます。
「うーん、上の方の隙間から逃げ出しますかね」と答えると、「でもすきま狭いよ?」とおばちゃん。
「じゃあ、勢いよく押し上げたら天井があくかも」と続けると「そうは思わないけどな」とおばちゃん。いや正解ないだろ、この会話。
その後も旦那さんを笑いものにしながら、「イノベーションとか園芸技術とか言ってるのに、この人食べもののことしか興味ないの」と愉快なおばちゃんです。
*
上から眺めて、まだ行けていなかったところへ向かいます。
中に入ると、気持ち悪いのがいました。
さらに奥では3作上映。
ちょっとピンと来なかったんですが、アート表現による近代的な農業を続けていくことへの警鐘、といった感じでしょうか。
*
あと見れてなかったのがこのあたり。
未来の食というブースです。
上映される内容は、野菜はすべて工場で生産され、受粉も搾乳も機械でオートメーションでできます、こうした技術があれば食の未来は安心です、といった感じの、かなりディストピアな映像でした。
(さっきのアート作品よりよっぽど気分が悪くなりました)
上映が終わり外に出ると、クラッカーの上におそらくここで紹介された野菜やチーズ等を乗せたおやつが準備されています。
自己紹介な感じがまだ続きそうだったので、クラッカーは諦めて退出します。
あわせてハウスの中を改めてじっくりと。
ハウス内はハイテク農業と花卉栽培の展示が中心です。
実際に食べれたりするのはやっぱり満足度高いですよねー。
ディスプレイはさすがといった感じ。
キレイだしひと目で魅力が伝わります。
*
おみやげを買おうと売店へ。
あれ?あんまりほしいのがないな。。
ここにあるのは売れ残りか…
空いたスペースに花柄ミッフィーとかいかにも人気そうなおみやげのタグだけ残っていたりします。
残り期間が少ないので在庫処分のような状況なのでしょうか。
プリントトレーナーとかキーホルダーがマシに思えてくるくらい、買いたいと思うものがありません。
そんな中でエコバッグがあり、店員さんに「これもうないの?」と聞くと、
「ない、これ(ディスプレイ)が最後」とのこと。
ディスプレイしかないのかー、セロテープとか付いてるしなー大してほしいわけでもないしなーと悩んでいると、
横でやりとりを聞いていたアジア系のおばちゃんが「それほしいんでしょ、ラストラスト、買え買え」って店員さんのところに持っていき、良いことした感出して去っていきます。勝手に話進めるな。
一瞬買いかけて我に返ります。いや、要りません。
結局おみやげは1つも買えず、はて困った。
*
改めて今回、全体として感じたことは、大きく2つの潮流が混在している、ということでした。
1つの園の中でも、いわゆる近代農業の延長にある流れ(ハイテク農業や高投入高収益型の農業)と、環境配慮型(アグロフォレストリーや循環型農業)の2つが混在していて、この2つの潮流は相容れないながらも、どちらも共存していくのだろうと感じました。
(便宜上これからの農業と表現していますが、これまでがこれからに完全に取って代わるのではなく、2つが並列で存在していく、という意味です)
そして、展示技術や演出については、これからの農業はこれまでの農業ほど、洗練されていないという印象も受けました。
これは「これから」だからまだ洗練されていないのか、そもそも内容的に展示や演出に不向きなのか、このあたりは今後の検証課題です。
*
まだまだすべてを紹介しきれていないのですが、「フロリアード編」はここまでです。
いろいろと長く書きましたが、私にとって非常に学びが多く、大変実りの多い機会となったことを、ここに重ねて付記しておきます。
(今回フロリアードは1日目は終日、2日目は午後に2日間かけて回ったのですが、本記事はやや内容ごとに、時系列も多少前後しながらまとめています)
さてさて、次回はアルメレ(アップサイクルセンターなど)~ロッテルダム編 ということで、続きます。
(このペースで書いてて全3回で終わるのだろうか…)
以上、「オランダ渡航記1/3 Almere フロリアード2022編」でした!
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