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2023年7月の本棚

7月に読んだマンガをまとめていきます。



【新】氷の城壁 1・2 / 阿賀沢紅茶(集英社)

中学時代の経験から高校では誰ともつるまない氷のような存在として過ごしていた氷川小雪(通称こゆん)、幼なじみでクラスの人気者の美姫、妙にグイグイ来る陽キャ男子・雨宮湊、その友人でのんびり優しい長身男子・日野陽太。4人を軸に学生時代特有の人間関係の綾を丁寧に描いた傑作。

『正反対な君と僕』の阿賀沢紅茶先生伝説の名作(伝説って?)が多分多くの声を受けてフルカラーのまま待望の単行本化。読んでいる(いた)縦読みウェブトゥーン作品が紙で単行本化されること自体が個人的には初めてだったので衝撃的というか、なんだか不思議な体験でした。

全100話以上あるし単行本も10冊以上は出ることになるのかな?かなりの大ボリュームになりそう。


正反対な君と僕 4 / 阿賀沢紅茶(集英社)

修学旅行で京都へ行ったり横浜でデートしたり。もうみんな可愛すぎて何も言葉が出てこない。

今回特に好きだったのは「なるがいいさ俺のいない学校でな」のシーンとホンちゃんが出てくる全てのシーンと宿での風呂上がりのシーンと西さんの誤魔化しが利かなくなるシーンと委員長が鈴木のこと鈴木って呼ぶシーンと東がバスレクに積極的に参加するシーンとUSJ(ウルトラスーパージャンボ)ランドではしゃぐシーンと「あったか〜い」で季節を感じるシーンと横浜でエンカしかけてしまうシーンと鈴木の非日常甘々カノジョモードが解かれるシーンとかです(多い)


【新】ふきよせレジデンス 上・下 / 谷口菜津子(KADOKAWA)

谷口菜津子先生の新作は、とあるアパートとコンビニを舞台に紡がれる「ひとりを生きる」人たちの物語

夢破れ、人間関係をリセットしてしまったフリーターのリク、結婚を考える年齢になり、将来への不安を抱える独身女性のミミ、両親を亡くし、叔父が借りている部屋に居候している女子高生の、それぞれがそれぞれの感情を抱きながら一人でアパート暮らしをしていた。

そんな彼・彼女らの心の隙間を癒してくれるのは、元々弁当屋だったという一風変わった近所のコンビニ「ツルカメコンビニ」の名物店員きらり。明るくみんなを照らしてくれていたそんなきらりだったが、彼女にも秘密があった。

人は皆一人でもがきながら生きている。その一人一人の人生は隣り合わせになっていて、すれ違ったり交わったり、不思議な縁で折り重なっていく。当たり前のことだけど忘れてしまう、日々を生き抜いていく小さなエールを送ってもらえたような作品でした。やわらかく生きていきたい。


月出づる街の人々 2 / 酢豚ゆうき(双葉社)

様々な種族のモンスターたちの日々を描いた超良作オムニバス。失礼ながら2巻は出ないと勝手に思っていた(短編集的なポジションだと認識していた)ので出てくれて一人で小躍りしてしまった。

透明人間の姉を心配するドラキュラの弟。力の強いフランケンの同級生(女子)に憧れる、ミノタウロスの男子。夜の公園で一緒に曲作りをするセイレーンとゴブリンの少年。透明人間の娘を育てるサンドゴーレムの父と(多分)ガーゴイル的な母。透明人間と狼男のクリスマス。優しく心温まるエピソードの数々。

「個性」や「多様性」が下地としてある作品だと思っているけど、そういうのを描いているのに変な堅苦しさや鬱陶しさが全くない。それぞれのモンスターが自分の時間を過ごしながら他者と交わって生活を営んでいる。そういうことなんだよな、って。


【新】スクールバック 1 / 小野寺こころ(小学館)

とある高校で用務員として働く”伏見さん”。時に熱心に、時に程々に仕事に取り組む彼女の周りには、繊細な時期を生きる高校生たちがそれぞれのモヤモヤを抱えながら学生生活を送っている。「先生」でも「親」でもない大人に話を聞いてもらうという経験が彼ら彼女らの人生をほんの少しだけ晴れやかにする。

1話完結で、基本毎回何かが劇的に解決されるわけではないスタイルですが、そこがかえって良い空気感を作り出していました。あくまで伏見さんは聞き役で脇役という立ち位置。人は一人で勝手に助かるだけなのです。


【新】ギャルがシルバニアファミリーを溺愛したら。#ギャルバニア / 岡野く仔(講談社)

Twitter改めXで話題となった『ギャルバニア』が遂に単行本化。隣の席のギャルが授業中にシルバニアで遊んでるという状況から始まった女の子二人の友情と、好きなものへの惜しみない愛についての物語。

「好きなもの」があるってとてつもなく幸せなことだと改めて思う。好きなものを好きでいると、好きなものを好きでいられる自分のことも好きになって、好きなものを好きでいる自分のことを好きで居てくれる隣にいる人も好きになれる。そういう優しい「好き」の循環の一片を覗けるような作品です。

この作品がキッカケではないですが、最近、シルバニアの赤ちゃんシリーズを買おうかと思っては心の中のもう一人の自分に止められるという生活を密かに送っています。


【新】ペンションライフ・ヴァンパイア 1 / 田口囁一(集英社)

『ふたりエスケープ』の田口囁一先生の新作。怪物カタラレたちと戦う使命を持つ改定官リライターという職業の少女エリは、来るべき戦いの時に向けて日々訓練に勤しんでいた。が、あっさりと終戦。突如として普通の女子高生として生きることに。そんな中、彼女が出会ったのは古びたペンションを営む吸血鬼の少女・ニカだった、というお話。

『ふたりエスケープ』の雰囲気をそのまま移植したような「なんてことない感じ」が心地良かった。肩肘張らず気楽読めるユルさが大好きです。


【完】九龍城でもう一度 3 / 藤田三司(小学館)

先代大家の登場を機に、涼真の過去と今の気持ちが描かれていく。今の自分を形作ってくれたかつて目の前にいた人に抱く好意と、そんな自分を好きになってくれる今隣にいる人に抱く好意。どちらも本物だからこそ苦しい。

その両方と向き合い、自分の意思で前に進むことを選択した涼真と、強く優しく真っ直ぐな心で涼真を愛した梅枝メイチー。最後までもう大満足の内容でした。終わってしまったことは悲しいけど、終わってしまったからこそ感じる思いもある。連載お疲れ様でした。


生き残った6人によると 5 / 山本和音(KADOKAWA)

水上、ビースト、入江、渚の4人になったモールに、大学教授のトモコ・アンダーソンが新たに加わる。知識と経験を駆使し、対ゾンビ秘策「スニーキング」を皆に伝授する教授だったが、ソンビたちもまた、進化を続けその脅威はさらに増していた。戦闘激化の第5巻!

アクションが冴え渡り、緊張感も格段に上がってめちゃくちゃ面白かった。今まで一番面白かった気がする。やっぱり「ラブ」より「サバイバル」の側面をもっと強調してくれた方がこの作品の場合はノれる。とは言え、それが際立つのも「ラブ」があるからなわけで。バランスの良い相互作用で唯一無二の面白さを確立していってる感じ。次回、遂にモール脱出ーー!?


【新】エロチカの星 1 / 前野温泉(講談社)

売れない中年漫画家の遠藤は、突如現れた謎の美少女・蘭川よすが「自分と組んでエロ漫画を描いてほしい」と頼まれる。突拍子もない頼みにたじろぎながらも、彼女の熱意に絆され、二人で日本一のエロ漫画家を目指すことに。遠藤が作画でよすがが原作、凸凹(意味深)コンビの飽くなきエロ漫画道が、今、始まる。

いわゆるエロ漫画版『バクマン。』的作品。エロ漫画がエロ漫画たる唯一にして絶対の条件は”エロいこと”。単純で、そしてどこまでも奥が深い、そんな全てのエロ漫画に敬意を払いながら、楽しんでイきたいです。


【新】東東京区区ひがしとうきょうまちまち 1 / かつしかけいた(トゥーヴァージンズ)

路草連載の東京の東部(1巻では葛飾区、墨田区、江戸川区、江東区、荒川区)所謂「東京の下町」を描いた散策漫画。インドネシア人の父と日本人の母を持つ大学生のサラ、エチオアピア人の両親を持つ小学生のセラム、亀有生まれの不登校がちの中学生の春太区々まちまちな3人が歩いて、見て、知る、地元の魅力。

東東京の魅力はもちろん、自分の住む地域を実際に歩いて回ることそのものの魅力も詰まった作品でした。実際に東東京にお住まいの方ならもっともっと本作を楽しめるはず。


【新】ころぶところがる  / 黒田硫黄(小学館)

スポーツ自転車雑誌『cycle sports(サイスポ)』にて連載されていた黒田硫黄先生の自転車にまつわる短編集。このnoteであまり大々的に書いてはいませんが、自転車大好き(乗るのはもちろん、もう概念的に大好き)なのでサイスポも読んだりもしますが、マンガが連載されていたなんて知りませんでした()

黒田硫黄先生の自転車題材作品と言えば『アンダルシアの夏』がとりわけ有名ですが、あれも原作とアニメとではだいぶとっつきやすさが違います。

今作も自転車ラヴァ―に向けた作品が多くある印象だったので、万人におすすめできるものでは決してないですが、個人的には自分の愛するものを肯定してくれるような存在で、他にない読み味でした。自転車の「自」は自由の「自」!最高だ…


【新】放課後メタバース 1 / 秋★枝(KADOKAWA)

コミュ力の高い1軍女子・荻野目さんとコミュ障の陰キャ男子・二宮くん。接点のない二人は図書員の当番で週2で放課後の時間を一緒に過ごす。

脳内でめちゃくちゃ喋る二宮くんと普通にめちゃくちゃ喋る荻野目さんの会話劇が、これぞ「秋★枝先生節」と言う感じでした。鉄板の構図でもちゃんと作家性が出ているのって面白いな~


【新】冥冥冥色聖域 1 / セキアユム(講談社)

深夜の街中にネオンを光らせひっそりと佇むメイドリフレ「彗星蟲(コメットバグ)」を舞台に、新人メイドの女子大生・ペロが、現代社会で色々ある闇深いご主人様に束の間のひとときを提供する、というまたちょっと変わった作品。

エロとかの要素は全くなく、闇深客の人生相談を受けるでもなく、ただただ安らぎを与える感じ。幼なじみにメイドリフレのバイトをしていることがバレてしまって大変〜、みたいな展開にはなりそうだけど、まだちょっとよくわからない。ペロちゃんが可愛い。


【新】発達障害なわたしたち 1 / 町田粥(祥伝社)

大人になってからADHDと診断された漫画家・町田粥先生とその担当編集のK成さんが、ご自身の経験なども交えつつ、発達障害の当事者へインタビューをするレポマンガエッセイ(?)

「発達障害とはなんぞや」という入門書的な作品で、「発達障害ってだいぶ曖昧な物差しだよな〜」という元々の持論がどうなるかと読んでみたけど「発達障害ってやっぱり曖昧な物差しだよな〜」という結論に自分の中で落ち着きました。なんかこう、特有の「イキり」みたいなノリを随所に感じられて読むのがちょっとキツかった、かも(エッセイって大体そう)

先生によって診断されるかどうか変わったりするのもどうなんだろう。まだまだ色々整備段階なものなのかな。何にせよ、自分について知ることは大切。


【完】おとなりに銀河 6 / 雨隠ギド(講談社)

”島のしがらみ”から解放された五色さん。久我くんと一緒に籍を入れ、結婚式を挙げ、子供を作り、家を建て…となんかもう「エピローグ全部」を描いてくれた感じで感謝しかありません。

最後まで五色さんの「異種族設定」がイマイチ入ってこないままだったけど、皆が幸せそうなのでOKです。これからもうどうぞお幸せに!


【完】あかねさす柘榴の都 3 / 福浪優子(KADOKAWA)

両親を亡くし、スペイン人の叔母・アルバとともに暮らすため、古都・グラナダに引っ越し生活を送る夏樹。ヨーロッパ屈指の観光地・アルハンブラ宮殿を訪れたり、日本と違うクリスマスやお正月を体験したり。異国で暮らす日々のなかで、夏樹は、家族のこと、故郷のこと、そして将来のことに思いを馳せる。

「色んなことが多分 大丈夫になるよ」のシーンが綺麗だったな〜。日本の外側から日本を見たり、自分と向き合ったり、10代でそれを経験するってとてつもなく贅沢な経験だと思う。


【完】GLITCH -グリッチ- 4 / シマ・シンヤ(KADOKAWA)

完結。街に出来た別世界との繋がる場所について調べていく、というストーリーを通して、マイノリティと扱われる人々へのフラットな目線や、目の前の事象に対する好奇心や探究心を持つことなど、メッセージ性に富んだ作品だった。

劇的な幕切れとかでないのもかえって味があって良かった。日々は続いていくものだから。次回作も早速指導しているみたいなので楽しみです。


【完】ゴゴゴゴーゴーゴースト 5 / 蛭塚都(KADOKAWA)

諸悪の根源のゆー先輩への復讐を果たし、ウシロ本人もめでたく地獄に堕ちる。そういえばもう死んでたんだったこの人。すっかり忘れいていた。

復讐から始まった「正子との友情」は、地獄に行っても仲良く続いていくようで何より。こういう終わり方の作品があってもいいな〜、と思えるハッピーなバッドエンドでした。


【完】ジェンダーレス男子に愛されています 5 / ためこう(祥伝社)

ユニコーンボーイズとして活動する内にやりたいことが明確になっためぐる。「メイクされる側よりメイクする側に回りたい」と人気急上昇中のユニボの解散を申し出、自分の道へ進んでいく。一方のわこは、ユニボの解散に涙を流しながらも編集者としての道を着実に歩んでいき…晴れて結婚してハッピーエンド!完!

ラブラブでハッピーなのは結構なことなんだけど「ジェンダーレス」ってなんだっけ?そもそも「ジェンダー」ってなんだっけ?とちょっとモヤッとしたりしました。


ショーハショーテン! 5 / 浅倉秋成・小畑健(集英社)

笑甲の前哨戦的大会「檜山杯」と大会事前特番に乗り込む。檜山杯【柴犬世界一周】【ガラスの靴が割れた】と個性的なライバルとの漫才対決、事前特番では【ライジン】【絶唱サンドバッグ】と大喜利対決。

【絶唱サンドバッグ】はだいぶヒールっぽく描かれててどうなっていくのかな。1軍陽キャのお笑いとか、この作品の読者層的にも明らかに嫌われそう。


テラ麺 1~2 / 白井慶太(ヒーローズ)

メン・イン・ブラック的なゆる〜いラーメンSFマンガ。


ババンババンバンバンパイア 5 / 奥嶋ひろまさ(秋田書店)

夜の学校で童貞狩りをする美少年は、森さん(蘭丸)の史実上の兄・長可ながよしだった。平穏を望む蘭丸vs吸血鬼殲滅を目論む長可の吸血鬼兄弟対決が勃発。

ちゃんとバトルしていて面白かったけど、兄の戦闘服をHOT LIMITにするな笑「童貞たちが胸を刺激する」じゃないんだよ笑


幼馴染のお姫様 2 / 9℃(秋田書店)

聖花への恋を自覚した駿介は、彼女のことをもっと知りたいと一歩踏み出す。そんな駿介のことを面白く思えないひなき。駿介ではなく駿介とひなきの関係に興味がある聖花。二人のお姫様(ヒロイン)の間で揺れ動く三角形。

改めて、最近だとこういう「どっちを選ぶんだい」系ラブコメも新鮮な気がする。普通は幼馴染が負けるので必然的に幼馴染の方を応援してしまう。


ニューヨークで考え中 4 / 近藤聡乃(亜紀書房)

近藤聡乃先生のニューヨークライフエッセイ。コロナ禍の始まりと終わり、家のリフォーム、猫たちとの出会い。明日が今日になり、今日が昨日になっていく。この繰り返しの日々の中で、思考を重ねて生きていく。タイトルがやっぱりとても好きだなと改めて思った。


ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット 4 / ホークマン・メカルーツ(マッグガーデン)

相変わらずどこか気の抜けるニャンデミック漫画。人間側につく猫(表紙のデボンレックス)も登場したりして、ここからまだまだ先が長そう。というかいくらでもおふざけ展開を用意できるので、若干気疲れしてきた感。


東くんの恋猫 2 / 菅原亮きん(小学館)

学校の先生・要に恋をしてしまった高校生の大和。そんな大和のことが大好きな仔猫の來瞳を差し置いて、少しずつ関係を深めていく要と大和の前に、姿を消していた要の”特別な人”武蔵が現れる。生徒と恩師(?)の間で揺れ動く要の気持ちの現在地

当たり前だけど、來瞳が完全に蚊帳の外なのがちょっと悲しい。これから見せ場があるといいな。


ばらかもん 19日々 / ヨシノサツキ(スクウェア・エニックス)

2018年に完結した『ばらかもん』が実写ドラマスタートに合わせてまさかの復活刊行。今作は個人的に近年の自分漫画アニメ史における結構大きな存在だったので、もう感無量でした。まさか続きを読める日がまた来るなんて…

興奮気味にページを捲ると、そこには変わらない五島での半田先生やなるの日々が今もずっと続いていて、あの頃がフラッシュバックしてくるような、そんな素敵漫画体験ができました。ありがとう、ありがとう。


トリリオンゲーム 7 / 稲垣理一郎・池上遼一(小学館)

瓦テレビと手を組み、トリリオンTVを開局したハルガク。「報道」の力で金を生み出していくトリリオンゲームを潰すべく、桐姫は自社の動画配信サービスの1年間完全無料という手を打ち出す。”全部欲しい”ハルvs”全部欲しい”桐姫の勝負は、まさかのプロポーズ!?

ドラマも放送されて原作同様ノリに乗っている感があって楽しい。ジェットコースターみたいなマンガです。

「今から始めるのは、」のとこだけ何回も見ちゃう。目黒蓮さんピッタリ。


ソアラと魔物の家 3 / 山地ひでのり(小学館)

キリクの師匠・華俵を追って、迷いの森に足を踏み入れたソアラ一行。ケット・シー兄弟のレンガ式レストランやコロッポックル族の移動式ゴーレムハウスと、今回も個性的なアイデア物件が登場。魔物の特性やニーズに合わせた物件なので、どれも「そうなるべくしてなっている」仕様なのがやっぱり良い。家解説ページのワクワク感は今回も健在です。

キリクたちとソアラの絆も深まったと思ったら闇の魔物も登場して不穏な引き。次巻も楽しみ。


映像研には手を出すな! 8 / 大童澄瞳(小学館)

今、まさに闘っている。表現をめぐって―― ついに世に放たれた『マチェット』完全版。映像研が魂を込めた仕事は大反響を呼び、コンテスト優勝確実!! ……に、待ったがかかる!? 問題視されたのは、過激な血の表現。「なぜ映像研は血を描くのか?」 その確固たる信念から目を背け 覚悟無き日和見の規制を強いる“大人たち”に―― 映像研は、いかなる道を示すのか!?


花とくちづけ 7 / 七都サマコ(講談社)

咲人さんの実家で行われる月岡流の新年会に行くことになったかすみ。 柊真から聞いた「咲人が月岡流をやめる」という噂に動揺しながらも、自分の見てきた咲人さんを信じようとするかすみだったが、新年会での咲人さんのいけばなから彼の決意を感じとってしまう。

色んな意味で甘々すぎるけど、ストーリーも普通に面白いので最高です。


ゆびさきと恋々 9 / 森下suu(講談社)

アニメ化決定おめでとうございます!両親の許可も得て、部屋探しも無事に終わり、いよいよ二人の同棲生活が始まる…!(この巻ではまだ始まらない)


病める惑星より愛をこめて 3 / 本田(秋田書店)

「もふもふ」に関する過去のお話。双方いがみあい憎みあう一族に生まれたデュコクとキキウの物語。1巻、2巻、3巻とそれぞれ全然別の作品を読んでいるような気持ちになってしまった。オムニバスだしこれでいいんだけど。


スーパーベイビー 5 / 丸顔めめ(芳文社)

同棲を始めたらくぴと玉緒の元に一本の電話が。それは熊本で暮らす玉尾のおばあちゃんが倒れたという知らせだった。いち早く熊本に向かった玉緒から無事に電話をもらい自分も熊本へ向かったらくぴはそこで彼女が生きてきた土地を知る。

らくぴが二人でおばあちゃんの近くで暮らそうって提案したのも良かったし、それを玉緒が断ったのも良かった。「生きる場所と帰る場所が必ずしも同じである必要なんてない」素敵な台詞だ〜


宇宙の音楽 2 / 山本誠志(講談社)

持病が原因で吹奏楽から離れようとしていた主人公の零は、先輩に誘われ「指揮者」として再び吹奏楽の世界に飛び込む。しかし問題山積みな吹奏楽部で指揮者として部員たちをまとめるのに一苦労。

己の不安も仲間の焦りも、全てをたばねて風といっしょにどこかへ吹き去ってしまえるような清々しいほどの青春吹奏楽マンガで大変良いです。


よふかしのうた 17 / コトヤマ(小学館)

長かった北海道もとい星見キク編完結。マヒルとキクが選んだ結末はやっぱりちょっと寂しいものだったけど、これが二人にとっての最適解だったということ。沈む気持ちはお寿司に救われました。お寿司食べたい。次はやっとコウとナズナの話に戻るかな。


朱月事変 3/ 壱原ちぐさ(小学館)

「特上級神獣討伐作戦」の混乱に乗じて望月を殺す事で、分家から本家に成り上がり、幽閉されている初月と結婚することで家の主導権を握ろうとする玉兎という男の卑劣な行いの数々。

望月がだいぶキマっててヒエッてなっちゃった。主人公が静かにブチ切れるのも最近よく見る気がする。


ホリミヤ 17 A piece of memories / HERO・萩原ダイスケ(スクウェア・エニックス)

完結した16巻のボーナストラック的な17巻。描き下ろしや最終回の堀さん視点ver.などを収録。もう高校生が可愛くて可愛くてしゃーない年代になってしまったな、としみじみしてしまった。レミちゃんの水着が拝めただけでも大満足よ…(そういえば学外でのシーンが全然ない作品だったな、と改めて思った)


ダイヤモンドの功罪 2 / 平井大橋(集英社)

所属していたバンビーズを自分のせいで崩壊させてしまったという罪の意識から代表チームのチームメイト・雛桃吾巴円に反発してしまった綾瀬川。そんな中で迎えた全国優勝常連の中学生チームとの強化試合。

先発投手としてノーノー(ノーヒットノーラン)を続ける綾瀬川は、相手チームを配慮して捕手の雛に「打たせてあげようよ」と言う。そんな綾瀬川とカス呼ばわりする雛。周りと協調しならがらも、自分が綾瀬川と同世代であることに心の中で静かに絶望する巴。挫折と成長を望むコーチの「打たれてしまえ」という投げやりな気持ち。ダイヤモンドの中でそれぞれの感情が交差する。

人間離れした身体能力の綾瀬川は、人間離れした経験を積み、人間離れした感情を抱き、その結果、人間が離れていき、自身も人間から離れていく。この残酷でどうしようもない流れが恐ろしい。


【推しの子】 12 / 赤坂アカ・横槍メンゴ(集英社)

復讐の映画編始動。みんなどんどんギラギラしてきていて緊張感も漂っていて良いですね。そして映画を作るってやっぱり大変だ。

アニメが爆発的ヒットを記録して、良かったような、どこか置いて行かれたような気持ちのまま発売日を迎えた12巻。アニメのヒットに便乗して紙で集めていた11巻までを売ったのでこかれからは電子版です。


カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義 5 / 甲斐谷忍・夏原武(集英社)

高齢者をカモにする搾取ビジネスの実態を調査する加茂教授。悪徳業者たちの「老人相手だと罪悪感が少なくて済む」という主張、極悪だとは承知の上でほんのちょっとだけ共感もしてしまった。なんかそういう気持ちが自分の中に多少なりともあるんだな〜、って。

今回はだいぶ業者側に穴があったな、という印象。所詮は人間がやることだし。にしても加茂教授、知識や行動力も凄いけど、何より財力が圧倒的すぎる。お金パワーを駆使して力づくで解決してる部分もあって相手が可哀想になる時もある。


花は咲く、修羅の如く 4 / 武田綾乃・むっしゅ(集英社)

Nコンの予選を目前にして瑞希先輩のお家事情で波乱の展開。実はめちゃくちゃお嬢様だったという瑞希先輩をなんとか家から連れ出すために瑞希の兄を頼る花奈たち。

まぁ無事一件落着で終わって良かった。合宿後に良子先輩が花奈にかけた「覚悟について」の言葉がとても良かったのでまた折を見て読み返そう。


ブルーピリオド 14 / 山口つばさ(講談社)

夏休みに広島で制作合宿を行う八虎たち。八雲が語る過去がメイン。家庭の事情、藝大を目指したキッカケ、鉢呂や桃代との出会い、真田という天才の存在。八虎を通して描かれるより、もっとずっと身近でグロい美の世界が描かれているように感じた。


嘘の子供 2 / 川村拓(スクウェア・エニックス)

化けアニマルを保護するための「嘘の子供制度」。だけどそれは、残された人が生きていくための心の”よすが”でもあって。人とたぬきの奇妙な関係は、心の澱をゆっくりと、溶かしていく。

狸が本当に善意も悪意も持っていない存在で周囲の人間が勝手に干渉に浸ってしまっているのがなんだか面白いし、ちょっと泣けたりする。ちゃんと名前もつけてもらい、亡くなった子供の代わりではなく、一人の家族として受け入れられていくのかな。


好きな子がめがねを忘れた 11 特装版 / 藤近小梅(スクウェア・エニックス)

晴れて付き合うことになった三重さんと小村くん。高校は別々になってしまうけど、かけがえのない今をそれはもう甘々々々に過ごす二人。小村くんラブの三重さんが可愛すぎる。三重さんの誕生日会に男子単騎で乗り込む小村くんもすごい。初日の出を前にして、三重家両親にお付き合いの報告をして今回はおしまい。そして次巻完結(!?)

アニメはちょっと色々見ていられなかったので1話の途中であっけなく脱落してしまいました… 完結寂しいな…


スーパーの裏でヤニ吸うふたり 3 特装版 / 地主(スクウェア・エニックス)

スーパーの他の従業員たちも増えてきて賑やかになってきたけど、山田(田山)さんろ佐々木さんがいつも通りの距離感で今日もヤニを吸っている。

佐々木さんはもう”にぶす木”すぎて手の施しようがないけど、山田は現状で満足しててええんか?「田山さん」を使ってちゃ、関係も一向に進まんぞマジで。まぁそれがまた心地良かったりするけれど。

今回もエピソードに重ねた楽曲が紹介されていて良かった。


この復讐にギャルはいらない 2 / まの瀬(白泉社)

1巻がバチバチに琴線に触れた「殺し屋×ギャル」の小ネタ満載最高ラブコメ2巻。帯コメントは阿賀沢紅茶先生。

元殺し屋の橿原は、組織からの刺客・市来崎さんからの「セックスしたい」の言葉のナイフを投げ続けられ、しつこく付き纏わられた結果、彼女が男だという結論に至る。一方、ギャルの新宮さんは、橿原と映画デートに行ったりすることに。

誰も何もわからない三角関係の中心でコナンと小田和正がパラパラを踊っているような、なんかそんなマンガです(伝わらない)


生きてるうちに推してくれ 3 / 丹羽庭(小学館)

霊が視えるアイドルと霊は視えないけど祓うことはできる坊主の除霊コメディ。霊が視えることが人生においてマイナスにしか働いてこなかったミサキは流石にちょっと不憫で可哀想ではあった。

ミサキの所属するアイドルグループのギクシャク問題も、坊主の寺の跡取り問題も、お前ら他人の除霊しとる場合かってくらいイザコザして来ている。坊主の行動原理がいまだにイマイチはっきり描かれなくて何とも言えない感じ。


アイドルマスターシンデレラガールズU149 15 / 廾之・バンダイナムコエンターテインメント(小学館)

サマーライブも大成功で幕を閉じ、晴れやかな第三芸能課のメンバーたち。そして遂に正式にデビューも決定。これから仕事もどんどん増えてさらに大きく成長していくんだろう。作品としてはぶっちゃけもうここで終わっても綺麗なきはするけどどうやらまだまだ続くようです。

アニメも最高でした。




総括・雑記

そんなこんなな7月でした。今月もあっという間でしたね。そしてもう外が暑すぎる。マンガは屋内で涼みながら楽しめるので最高です。

今月は阿賀沢紅茶先生の2作品から始まり、既刊新刊共に目白押しな月でした。当社比で1.2倍くらい読んだ気がする。

今月のMVP的作品は『ふきよせレジデンス』『月出づる街の人々』の2作です。もう沁み渡るような読み味で最高でした。

上半期の振り返りとかもやりたかったけど結局できなかった。自分の性根的に振り返れるのはやっぱり1ヶ月くらいまでですね。年末は頑張って1年を振り返ったりしますが。

まだまだ暑さは続くけどマンガ読んで元気出していきましょう~

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