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2024年5月の本棚

5月に読んだマンガをまとめていきます。

※以下ネタバレあり
※Amazonリンクはアフィリエイトリンクではありません


【新】レタイトナイト 1 / 香山哲(トゥーヴァージンズ)

『ベルリンうわの空』の香山哲先生が発酵を重ねた新作が遂に単行本化。心待ちにしておりました。

小さな集落・レタイトに住む15歳の少年・カンカンは最近どうも納得がいかない。そんな折、同居していた叔父・マルが新しい仕事を探して旅に出た。

日々のモヤモヤを解消する鍵は自分の知らない外の世界にあるのかもしれない、と思い始めるカンカンは、ゆっくりと自分も旅に出る準備を始める。

架空の世界を旅する小さき者たちのファンタジー。「魔王討伐」といった明確な目的があるわけではなく、ただ、自分にとっての生きる道を探る旅路。かと言って「自分探し」のような高尚なものでもなく、そこにあるのは紛れもない「生活」の繰り返しで、まさに生きるための旅。

香山先生のユルさと堅実さのバランス感覚は、ファンタジー系でも健在。ドラクエとかのRPGの序盤っぽさがあって楽しい旅立ちでした。


【新】室外機室 ちょめ短編集 / ちょめ(双葉社)

即売会で出会った一冊の本が誘う数奇な体験【継ぎ穂】、事故死した少女が悠々自適に空中散歩を楽しむ【21gの冒険】、いつかのどこかの異国のラジオが聴こえ始める【混信】、少女が迷い込んだ地下図書館【地下図書館探検譚】の四篇を収録。

コミティアなどで活躍される新進気鋭の作家・ちょめ先生の初の商業短編集とういうことで。吸い込まれるような世界観と夢から醒めたような曖昧模糊な読後感に浸らせてもらいました。これは今年のベスト短編集かもしれない。

ちょっと前に話題になっていた【パティスリー・ヘクセン】は未収録でした。


【完】放課後ブルーモーメント 3 / 旗谷澄生(講談社)

家族の中での自分の役割に縛られていた清登は、ままならない毎日を過ごす中で自分の都合だけで鈴と関わることは出来ない、と彼女と距離を取ろうとしていた。

「自分は大丈夫だ」と言い聞かせながら騙し騙し生きる清登のリアルな「大丈夫じゃなさ」がとても良かった。大丈夫じゃないけど結果的に何とかなる(何とかなったことにする)ことってありがちだし、気がついた時にはすり減っていたりするもの。そこを鈴の一途な想いが救っていく。

この塩梅がリアル且つ少女漫画チックで、大好きなエンディングでした。きっと二人はもう大丈夫。でも、勉強は頑張ろうな。

ヒーローとヒロインの立場の逆転みたいな構図が個人的にはピッタリとハマった要因だったのかも。少女漫画のトレンドなどには疎いですが、女の子が男の子に手を差し伸べる関係、大好きです。

旗谷先生の次回作にも期待大です!


【新】変声 / はやしわか(小学館)

優等生でクラスの人気者の棚橋は、充実しているかに見える現状に違和感を覚えていた。そんな彼が密かに憧れる存在は、他のクラスメイトたちが気にも留めない目立たない同級生の中川

何かに苛ついたり、誰かを牽制したり憧れたり、思春期の日々の中で「声」と共に変わっていく二人の感情。それは恋愛かもしれないし親愛かもしれない。想い、惑い、向き合っていく少年たちの物語。

過去に出された同名の同人誌のようで、初めて読みましたが良すぎました。存在しない記憶を掘り起こされたような気分。二人の未来に幸多からんことを。


【新】銀のくに 1 / はやしわか(小学館)

新潟の田舎に暮らす高校1年生の五十嵐風花の家に、今まで存在すら知らなかった従兄妹の賢心ゆき枝が居候することになった。二人の父親、つまり風花の叔父は過去に家を出て、今は不治の病に臥せているらしい。

しんしんと降り積もる雪のように静かで、実家のような安心感のある暖かい心の交流を描く、とある家族の物語。

雪国だったり港町だったり、住んだことのない場所に対する憧れみたいなものが昔からずっとある気がします(比較的温暖な地域の山育ち)。あと、上記の『変声』も含め、表紙のデザインが素敵でした。


【新】呪文よ世界を覆せ 1 / ニコ・ニコルソン(講談社)

相方だけがブレイクしてしまった芸人・虎屋戸太郎は、同時に家も彼女も失い、人生のドン底にいた。そんな時に出会ったのは、不思議な雰囲気を持つ多悠多たゆたという女性と、彼女が愛してやまないという「短歌」の存在

自分の中にあるやるせない感情たちが、31文字の“呪文”となって溢れ出す瞬間。それは小さくて、誰も気が付かないことかもしれないが、戸太郎にとっては、世界がひっくり返ってしまうような奇跡だった。

短歌を題材にしたコメディー。個人的に最近「短歌」に興味を持っていたのでタイムリーな作品でした。恥ずかしながらここで一首詠んでおきたいと思います。

無力さを 噛みしめ生きて その先で 出会った光  復活の呪文


【新】どくだみの花咲くころ 1 / 城戸志保(講談社)

癇癪持ちでクラスでも浮いている信楽くん。ある日の図工の時間に彼の作る作品に興味を持った優等生の清水くんは、観察対象である信楽くんの独創的で唯一無二なセンスに魅了され、彼の沼にハマっていく——。

鬼才の魅力に狂っていく優等生、はたまた優等生の奇行にたじろぐ鬼才、立場が次第に逆転していく小学生ボーイズのシュールギャグコメディー。どう転んでいくのか展開が読めなくて楽しいです。

雰囲気は最近一つの流派みたいになりつつある和山やま先生に近く、絵柄は自分はさくらももこ大先生のタッチを感じました。コジコジの頃くらいのちょっとニュッとした感じの

キーと叫ぶ信楽くんが可愛い
©城戸志保(講談社)/1巻第1話より


塩田先生と雨井ちゃん 6 / なかとかくみこ(イースト・プレス)

塩田先生と雨井ちゃん、付き合う前の二人のエピソードを収録。

幼い頃に母を亡くし、憔悴していく父と二人でそれでも懸命に背筋を伸ばそうとしてきた雨井ちゃん。一方、過去に救えなかった友人の影をいつまでも背負って毎日を消費してきた塩田先生。そんな二人が出会う。それだけの話。

別に無理に幸せにならなくていい、生きていればそれでいい。二人のように重く悲しい過去があるわけでも、現状の人生に絶望し切っているわけではないけれど、この言葉で胸が軽く、世界が明るくなった気がします。

誦じるように「好き」を伝え続ける雨井ちゃんが可愛くて可愛くて仕方ない。毎回泣けるけど、今回は特に泣けました…

ほぼSoranjiだったと言える


ブランチライン 6 / 池辺葵(祥伝社)

仁衣が珍しく風邪で休んだ日に取引先のブランド「TAKETO」のデザイナーからクレームが入る。山田は一人で彼の元を訪れ、真摯に向き合い、信頼関係を築く。

師事していたブランドから独立し、確固たる理念を胸に歩む孤独なデザイナーは、その長い道中で自分を気にかけてくれる人たちの温かな眼差しを知り、想いは服に宿る。

仁衣と山田、先輩と後輩で、仕事のパートナー同士。お互いに相手を尊敬し合う二人の関係もゆっくりと着実に進んでゆく。本当に微笑ましくて愛おしくて堪らない。表紙と裏表紙の表情がもう、ね。

そしてイチさんの旧友との死別の回。これはもうマンガを超越した何かだった。人生とは、誰から貰った宝物を他の誰かにあげる、その連鎖なんだと本作を読んでいると強く感じます。


【完】三拍子の娘 3 / 町田メロメ(イーブックイニシアティブジャパン)

母を亡くしたすみ、とら、ふじの三姉妹の前に、姿を消していた父が大物指揮者となって帰って来た…という”夢”みたいな結末。いや、実際夢だったのかもしれない。

一定のテンポで繰り返されるような毎日はいつまでも続かない。それでも彼女たちの足取りは軽やかなまま、ワルツを踊るようにそれぞれの方向に進んでいく。

ebookjapanにて一ヶ月先行配信。大好きな作品を完結まで見届けられて嬉しいです。何というか、人生には”リズム感”が大切だな、と折原三姉妹を見ていて思いました。




【新】いとこのこ 1 / いぬちく(KADOKAWA)

夏休みの間、おじさんの家で過ごすこととなった望(中2)。そこには従妹の爽ちゃん(小6)がいて、彼女の距離がとにかく近い…!という近親ラブコメ(そんなジャンルあるのか)

最初、望が爽ちゃんを男だと勘違いするシーンはありますが、基本的には男の娘要素はないです。爽ちゃん自身は男女の差とかをあまり意識していないだけの田舎の褐色元気っ娘って感じ。

だからこそ危うい。非常に危うい。これは良くないですよ、本当に。大丈夫?一般誌連載で?本当に?まぁ2巻も読みますが…


【新】やがて、ひとつの音になれ 1 / 草原うみ(小学館)

かつて天才ピアニストとして将来を約束されていた主人公・奏は、15歳の時に突然「局所性ジストニア」という病によって弾けない身体になってしまう。22歳となった今はフリーターとして工場で勤務する毎日。

そんな中、アパートの隣に引っ越してきた親子との出会いをきっかけに、有名ピアニストへと成長したかつての友と再会し、もう一度ピアノと向き合っていくという、挫折と再生の物語。

オーソドックスな展開ですが、絵も綺麗で読みやすかったです。動かない右手と動く左手。失ったものでなく残ったもの、新たに手にしたもので奏でられる音が、きっとある


【新】恋は忍耐 1 / 川西ヒロノブ(集英社)

共学化した男子校・英凛高校。記念すべき初年度の女子生徒は5名。その内の1人・一渡瀬七日ひととせなのかとお近づきになりたい数多の男子生徒たちに対して、彼女は言う。——「失礼じゃないですか?」

恋は「気配り」、恋は「押せ押せ」、恋は「寄り道」、恋は「感傷」、恋は……


【新】春場ねぎ短編集 未等分 / 春場ねぎ(講談社)

『五等分の花嫁』『戦隊大失格』の春場ねぎ先生の過去作を収録した短編集。アニメも放送中の『戦隊大失格』は序盤で脱落してしまったけど、『五等分の花嫁』は終わらないコンテンツになりましたねぇ。


【完】淡島百景 5 / 志村貴子(太田出版)

現実の宝塚歌劇団の件と重なっての完結巻。このタイミングでラストエピソードは描くことに大変な勇気が必要だったことは想像に難くありません。奇妙な巡り合わせのようで、人間のどうしようもない性みたいな部分なのかもしれない。

アニメ化も決まり、現実に更なる波紋を起こすことになるのかもしれませんが、それでも楽しみ。TVアニメより劇場アニメ化だと嬉しいです。


【完】クジマ歌えば、家ほろろ 5 / 紺野アキラ(小学館)

まず、兄貴、大学合格おめでとう。家の中のピリついた空気が和らぐのと同時に季節も春へ。クジマがロシアへと渡る時期がやって来てしまいました

まぁまた秋冬になればこっちへやってくるそうで、今生の別れエンドとかでなくて良かったです。

そしてまさかすぎるアニメ化決定。おめでとうございます。しかし大丈夫だろうか… クジマには荷が重い気もしますが楽しみに待ちましょう。…クジマ、お前本当に大丈夫か?


【完】ミモザイズム 3 / 松尾あき(小学館)

みもざの京都での個展を前に、実の父親と再会した福沢。金にもならないくだらない「芸術」に縋り付いて来た父の姿を見て育ったが故に「稼ぐこと」に執着するようになった福沢。売れなくても芸術、売れてこその芸術。正解はない。

その内みもざの父親が出てくるのかな〜と思ったら福沢の父親が出てそのまま終わり。打ち切り悲しい。


【完】無田のある生活 4 / 朝比奈リョウ(小学館)

全編を通してクソ彼氏とクソ親父にスポットライトが当たることが多くてこの上なく不快だったけど、ゆかりと無田はなんかええ感じになって終了。

お互いが向き合っていったというより、それぞれが抱えていたゴミを捨てられてスッキリした、みたいな終わり方だったかな。ゆかりの元カレは本当にゴミだった。




かわいすぎる人よ! 2 / 綿野マイコ(KADOKAWA)

叔父さんと姪っ子のハートフル同居譚の2巻。メイちゃんが周りの人たちを愛し、周りの人たちに愛されていて、幸せが循環しているのがとても心地良い。

他人の良いところを見つけられる人ってどんどん周囲に受け入れられていくよなぁ、と。メイちゃんが学校に地味にモテていて微笑ましい。


COSMOS 3 / 田村隆平(小学館)

超面白い。宇宙人向けの特殊な保険会社の話で唯一無二の面白さがある。個人的に「次に来るマンガ」最有力候補です。

淡々と心を揺さぶってくる静かで熱いSFドラマ。ギャルの新キャラも出て来て最高。


8月31日のロングサマー 4 / 伊藤一角(講談社)

繰り返す8月31日の中で二人で温泉旅行に行くことになった鈴木くんと高木さん。

高木さんは鈴木くんへの想いを自覚しつつあり、鈴木くんもこの旅行がループから脱却するきっかけになるかもしれないと期待する。しかし同時に自覚する。目の前の女の子に釣り合わない自分の幼稚さを。

二人の関係、特に「高木→鈴木」が丁寧に描かれていっただけに、最後のループが切ない。もうそろそろ終わりそうな雰囲気です。


その着せ替え人形ビスク・ドールは恋をする 13 / 福田晋一(スクウェア・エニックス)

五条くんが心血注いで作り上げた『天命』の衣装を身に纏い、冬コミに参加する北川さん。圧倒的な存在感を放つその姿に会場の参加者はもちろん、SNSを通して世界中の人々が魅了されてゆく。それは『天命』の作者の元へも届き…。

二人で始めたコス活動が、あっけなく、そして盛大に世界に見つかってしまった。お互い望んでもいなかった形で冬コミは幕を閉じ、すれ違いが生まれたまま次巻へと続く。仲直りしろ!


氷の城壁 11 / 阿賀沢紅茶(集英社)

表紙の栗木さんの表情が切ない11巻。ミナトも栗木さんも「自分のために他人を利用した」のかもしれないけど、二人とも決して悪者ではないというのが人間関係のアヤみたいなもので難しい。ミナトに助言する海斗(ミナト兄)、栗木さんと直接対決するこゆん、読み応えのあるマッチアップも多かった。

こゆんも自分の気持ちに折り合いをつけては、その都度三角関係が変化するので毎回大変だ。


あかね噺 11 / 末永裕樹・馬上鷹将(集英社)

兄貴分・今昔亭朝がおの二ツ目披露の開口一番(前座)を任された朱音の前に思いがけず舞い込んできた「二ツ目昇進」の好機。かつて破門された父親の因縁も絡みながら、自分らしさ全開の高座が幕を開ける。

朱音の昇進を阻もうとする明確な悪が登場してちょっと興奮した。その後、親父も登場してもっと興奮した。熱い展開が続きます。


秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか? 2 / 春野ユキト(講談社)

SNSを通じて自殺志願者を見つけ出し、その手助け(自殺幇助ほうじょ)を繰り返していた鶴子さん。そのサポートをお願いされたいかるは、もちろんそれが犯罪だと認識しながらも、彼女との唯一の繋がりを絶やさいようにと手を貸していく。

静かに、坦々と、いとも容易く行われるえげつない行為を目の当たりにしながら、鶴子さんの優しく、そして冷たい眼差しの切っ先が背中に当てられているような感覚。怖ぇ~


君と宇宙を歩くために 2 / 泥ノ田犬彦(講談社)

祝マンガ大賞2024受賞!勉強もバイトも”上手くできない”高校生の小林くんが、少し変わった転校生の宇野くんに触発されながら自分の”できない”と向き合っていく物語。

自分はなんでこんなこともできないんだろう、って経験、自分にもあるけど、その時どうやって乗り越えたのかってあまり記憶にない。多分徐々に距離を取りながら無かったことにしたりしたんだろう。小林くんも宇野くんも山田さんもかっこいいよ。


天狗の台所 4 / 田中相(講談社)

オンの身体にも天狗の羽の兆候が現れる中、梅雨が過ぎ、夏が訪れ、天狗まつりの季節がやって来た。京都の愛宕家で過ごす、暑く厳しい夏。

季節の移ろいと共に食が移ろい、生活が移ろいでいく。日々を”営む”豊かな時間の流れが目に見えて楽しい。オンの末っ子ぶりがかわいい。


弱虫ペダル 89 / 渡辺航(秋田書店)

高校ロード界の超新星・雉弓射きじきゅういが目印の第89巻は、坂道たちの最後のインターハイ開幕に向け、九州の地へ続々と集結する各校の動きにフォーカス。

段竹の背中を押す青八木さんが偉大すぎるし、さらなる進化を遂げた御堂筋の走りにも期待。六代と扉間の雑Tシャツも好き。

そして何と言っても雉弓射。個人的には彼が3年目の主役と言っても過言ではないと思ってます。


クソ女に幸あれ 2 / 岸川瑞樹(集英社)

入れ替わり三角関係ラブコメの2巻。直の友人の鈴鹿がクソ女こと檸檬(中身は直)に惚れちゃってさらに拗れかけるけど、そこは事情説明で取り込んでいく。これ、普通に先輩にも事情説明すればいいんじゃないんですかね。


ヤニねこ 4 / にゃんにゃんファクトリー(講談社)

キャラクターが増えてきて誰が誰だかイマイチ把握できていないけど、それでも変わらない、というかそんなことはどうでもいい安定の底辺クオリティー(誉め言葉)。すぐ勃起する大家さんが好きです。


恋をしたのに世界は滅びる気配もない 2 / 東雲(講談社)

司書の天城くんが恋をしたのは未亡人の官能小説家・桃園さん。そんな天城くんのことが好きな幼馴染の空岡さん。初心な人たちの三角関係。

桃園さんがやわやわな雰囲気と時折見せる影すべて魅力的。ちょっと強引で健気な空岡さんも負けじと魅力的。殻を破っていく天城くんもいいぞ!独特な雰囲気を持ったラブコメで楽しいです。


かさねと昴 4 / 山田金鉄(講談社)

パリッとした元気女子とちょっと女々しい女装男子のラブコメ4巻。

付き合うことにはなったものの、夜の営みについて抵抗感を抱いていたかさね。昴も彼女の意思を汲んでゆっくりでいいと言うが…。一方、女装友達マサムネの誘いでイベントに出演することになった昴。仕事として女装する貴重な体験となるはずが、同僚の と鉢合わせてしまい…!?

センシティブなエピソードが続くけど、金鉄先生の画とストーリーは誠実で読みやすくて好きです。結局二人のことは二人にしか解決できんからね。女装バレも多分きっと大丈夫でしょう。


私の胎の中の化け物 5 / 中村すすむ(講談社)

千夏にとって身近な友人だった紗絵と暁良までもが、彼女の化け物的破壊衝動の餌食になっていく。一方、青砥事件以降、千夏に対して懐疑的な眼を向ける刑事の存在も物語に大きく絡んできた

この刑事が千夏の友人の一人・紗絵の父親でもうよくない。崩壊していく友情と警察サイドの視点が絡む親子関係。天使の皮を被った悪魔の暴走はどこまで行くのか——。

なんかデスノートっぽくなってきて面白い。


今日から始める幼なじみ 10 / 帯屋ミドリ(新潮社)

幼なじみごっこラブコメ、記念すべき10巻目。正直10巻も続くと思っていなかった!(失礼)

「勇気を出す勇気をくれてありがとう」素敵なセリフ。2年生も終わり、いよいよ中学最後の一年が始まろうとしています。


スクールバック 3 / 小野寺こころ(小学館)

用務員・伏見さんが見る高校生たちの楽しいだけではない等身大の日常。教師への不信感や未来への不安感、何かに怯えながら生きていくのはどうしても辛そう。それでも自分なりにやっていくしかないんです。

直接的な感想ではありませんが、今の時代に自分が中高生じゃなくて本当に良かったな、と常々思います。

昔は昔で悩みも苦労もあったし、根本的な学生像は今も昔もさして変わらないとは思いますが、SNSやYouTubeの発達した現代で学生やっていくの、あまりにも怖すぎる。


舞妓さんちのまかないさん 26 / 小山愛子(小学館)

健太の帰省と、めがねさん姉さん(つる駒)と理子(駒えみ)の回。

健太とバッテリーを組んでいた成田と、「誰かのために作る」喜びを知った健太、二人の約束が果たされる日が来るのが楽しみ。成田がニンニク農家目指す決意をするくだりでなんか笑ってしまった(笑うな)

一方、”舞妓”と”芸妓”の間で葛藤するめがねさん姉さん。いつまでも舞妓のままではいられない、人生の中のほんの一瞬をみんなで肩を寄せ合って生活していると思うとなんだか儚い。


冥天レストラン 3 / 鈴野スケ(小学館)

冥天レストランの隣にできた怨霊が支配する”昇天レストラン”に墓村が囚われてしまったり、姉妹店”冥霊レストラン”が抜き打ち視察に来たり、ガ太郎が地獄に堕ちたり、今日も今回もドタバタでした。

やっぱりキャラクターのデザインはピカイチだと思う。


ソアラと魔物の家 4 / 山地ひでのり(小学館)

魔物の家を建てながらキリクの師匠を探す旅を続けるソアラたちの前に突如、禍々しいキメラが現れる。どうやらキリクらドワーフを狙っていたようだが、ソアラの活躍もあり一時撃退。そして明かされるキリクの過去、ある王子との出会い、戦いの記憶。

過去編に出て来たキメラ=現在のキメラってことなのかな…?見た目全然違うけど。


黄泉のツガイ 7 / 荒川弘(スクウェア・エニックス)

ユルとアサの両親はイワンの手によって殺されたと、イワンの口より告げられた。しかしこの世は偽りだらけ。自分の目で見たものだけを信じたい。揺らぐアサの手を取るユルの確固たる信念を感じた。

それにしてもイワンの最強感が良いですね。魅力的な敵キャラは名作の条件の一つ。キャラクターたちの相関関係については2割も把握できていない気がします。


ギャルがシルバニアファミリーを溺愛したら。#ギャルバニア 3 / 岡野く仔(講談社)

撮る専の新キャラ・大野くんが読者目線的に完全に「百合の間にはさまる男」で死ねばいいと思ってしまった(百合はさ読者並感)

ちょっとツッコミ不在のギャグ漫画みが強くなってきて読みづらさを感じてしまう。バニア狂いしかいなくて疲れるというか… いやいいんですけど。


百合にはさまる男は死ねばいい!? 5 / 蓬餅(LINE Digital Frontier)

県大会を突破し、東関東大会に進む南陵吹奏楽部。一生懸命な人たちが報われる世界であってほしい。吉田が天パでかわいい。


いつか死ぬなら絵を売ってから 3 / ぱらり(秋田書店)

企画展への出展が決まった一希。自分の出せるものを全て見せたい、と意気込むが、一希の作品は順路から外れた場所に展示されてしまう。絵を売るとか市場価値がどうとかは置いておいて、一希にとっては「誰も見てくれない」ことが怖かった。

絵を描く人がいて、売る人がいて、買う人がいる。多角的な視点で「アート」を題材に描く、興味深く、今後も要注目な作品です。


サンダー3 6 / 池田祐輝(講談社)

中身がものすごーーく薄ーーく薄ーーく引き延ばされていて、マンガというよりイラスト集みたいな雰囲気で読んでいます。

なんかめっちゃ宇宙船集まってきたけど一網打尽にするんだろうか。とりあえず早く妹ちゃんと再会させてあげてくれ。可哀想なので。


DOGA 2 / 武田登竜門(双葉社)

飛行船の墜落により砂漠を歩きながら海を目指すこととなったドガヨーテ。ドガが結構有能で前途多難なりにスムーズな旅が続いていて良い。集落の住人が良い人たちで一安心。ここからヨーテを追う刺客が続々登場してくるのかな。


スタジオカバナ 6 / 馬あぐり(KADOKAWA)

春雪との決別をした優助。物語的にもこれで一つの区切りだそうで、あとはもうゆかりちゃんとイチャイチャするだけやぞ!と言いたいところだけど、当人は何かkん違いしてそうです(めんどうくさい)


わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~ 5 / 瀧波ユカリ(講談社)

DV編が終了。結局「男」とか「女」とかの枠に嵌めて自分も相手も締め付けていくと関係は破綻するということ。正解のない課題にお互い歩み寄りながら最適解を見つけていくしかないんだろう。

DV夫の方がが改心しつつも、やっぱりどこかモヤッとしてしまうシーンが描かれていて良かった。どうしても変えられない部分ってあるし、そこに折り合いをつけていくことが結婚なのかなと思う。

後半は過去に星屑男子こと千歳ちとせに浮気された女性・朝里と星屑男子の弟・永遠とわの関係が掘り下げられつつ、主人公のみなみにスポットライトが当たっていく。主人公が個人的に一番キツいので心して読もう。


まちの本屋の御書山さん 2 / いずみせら(KADOKAWA)

御書山さんの元で働くこととなった不破くんの本屋が舞台のお仕事マンガ。出版社の営業とのやりとりや御書山さんとのデート回(?)、そして悲しいことに本屋には付き物な万引き問題まで。万引き犯死すべし。

自分は本屋で働いたことはありませんが、お仕事マンガとしての解像度が高い気がして、読んでいて勉強になります。


竜送りのイサギ 2 / 星野真(小学館)

読んでいてめちゃくちゃ眠くなってしまったた。すみません。どこかで再読します。


雑記(断捨離)

以上、5月に読んだマンガまとめでした。

今月は新作が特に豊作で、『レタイトナイト』は冒険の書っぽく何度もぱらぱらと読むのが楽しいのでおすすめです。

贔屓目を抜きに一番おすすめしやすいのは『どくだみの花咲くころ』とかでしょうか。

完結した『放課後ブルーモーメント』『三拍子の娘』も傑作です。

それから、今月はまた少し断捨離をしました。

マンガは大好きだけど、当然全ての作品を等しく愛せはしない。読みたいものを読みたいだけ読むようにしなくちゃな、と常々思っています。

あと、しつこいですが、Amazonのリンクカードがまた少し変わりましたね(元の状態に戻った)。あんまりコロコロ変えないでいただきたい(小言)

そんなことより来月もまたマンガを読みましょう。ぼちぼち梅雨入りかな。


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