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2024年1月の本棚

あけましておめでとうございました。
1月に読んだマンガをまとめていきます。

※以下ネタバレあり
※Amazonリンクはアフィリエイトリンクではありません



ハクメイとミコチ 12 通常版・特装版 / 樫木祐人(KADOKAWA)

2024年最初にして最大の楽しみ。今年も各話の内容と感想を手短に書き記しておきます。

●第90話【キュウリとサンドイッチ】読んでいた随筆に登場したキュウリのサンドイッチをどうしても実際に再現したいハクメイ。試食役としてミコチにも協力してもらい試行錯誤を重ねるが、今一つ完全再現とまではいかない。果たして理想のサンドイッチは完成するのか!?こういう風に本読むの絶対楽しい。●第91話【宿と地のもの】ハクメイの地方出張に同行したいと申し出たミコチ。出張先のセミノは観光地ではなく、至って普通の田舎町といった感じだが、ミコチはあれよあれよと現地の人たちから”地のもの”を入手していき、一人用の宿の部屋で二人仲良く宴と洒落込むのだった。寂れた地方都市とかでしか味わえない旅情は確かにある。●第92話【カワウソ舟と子供たち】水克服に向け、カワウソ舟に乗ると決めたハクメイ。意気揚々と舟場まで来たものの、思っていた以上に過酷で、おまけに学校帰りの子どもたちと相乗りになってしまい大パニック。克服への道は険しい。この世界の教育制度とかってどうなっているんだろうか。寺子屋的な雰囲気?●第93話【お菓子と刃物】山奥で鍛冶屋を営むハルシナが再登場。ミコチとの友人関係は良好なものの、ハクメイとはどうも馬が合わない様子。彼女の面倒臭くも真っ直ぐな職人魂に思わず涙が出てきてしまった。この三角関係かなり尊い。●第94話【お祝いの手料理】シュンカがバーテンダーを勤める「いかさまハルツ」の天井修繕工事竣工を祝したパーティーの持ち寄り料理をセンに頼むコンジュ。慣れない料理に苦戦する二人だったが、センは仕方なくいつもの手料理を手際よく作り始めるのだった。「慣れからくる鈍化」良いフレーズだ。この二人の信頼関係も本当に大好き。●第95話【恥じらいと装い】「可愛い衣装」がドレスコードのお茶会にハクメイを連れていきたいミコチとコハル。服に無頓着なハクメイを着せ替え人形のように服を取っ替え引っ替えしていく中で二人が伝えたかったのは「浮かれ方」の極意だった。「正解よりも素敵な不正解に辿り着くにはちょっとの無茶が必要」素敵な一文だ。●第96話【下駄と昼酒】「小骨」のマスター・マヤの休日の過ごし方。積み木市場全体を庭のように練り歩くマヤは、行く先々で人々と交流していく。昼から飲む酒の旨さは異常。●第97話【憧れの喫茶店】森の奥にひっそりと佇む老舗喫茶店「カフェグリマー」に意を決して入店しようとする少女の姿があった。彼女の名前はウルム。スマートに振る舞いたいけど、自意識が邪魔をしてどうも上手くいかない。行ったことのないお店に足を踏み入れるあの緊張感。もっとドンと構えて入ってしまえばこっちのものなのに難しい。珍しく少し悲しい終わり方をしたので絶対続編が描かれるはず。未成年のキャラクターが新鮮でした。●第98話【内緒の仕事】石貫會以外の大工仕事を受けようとしていた副長のカテンと偶然居合わせたハクメイ。休日返上で大工仕事に勤しむカテンはナライとの子ども時代の話を語り始める。好きなことを仕事にすることの覚悟と誇り。

『ハクメイとミコチ』を読む時は、ある種の緊張状態になる。姿勢を正して、儀式を執り行うような厳かな気持ちで、そのくせ一人でワーワー言いながら、1ページずつ愛でるように捲る。何よりも楽しい。この時に抱く感情は他の漫画ではめったに摂取することはできない。にも関わらず、それは自分にとっての必須栄養素だ。

今月は、12巻目にして初の特装版(描き下ろし万年カレンダー付き)や公式POP UP SHOP、さらに樫木先生のサイン会など、ハクミコ集中月間でした。詳しくは最後の方に書いてます。


【新】カッパ少年紅介 昭和妖怪恋物語 / Ikeda Akuri(KADOKAWA)

舞台は昭和の香り漂う河童たちの町。思春期真っ盛りで恋に憧れる河童の少年・紅介べにすけを中心に描かれる、妖怪たちの種族や性別を超越した、不器用で愛らしい恋模様の数々。

BLメイン(というほど前面に押し出されているわけでもない)ではありますが、割と何でもありな間口の広い沼でした。紅介も一応、心も身体もオスだけど、何とも言えないやらしさがあったりする。

少し値は張りますが、フルカラーで可愛い絵柄で全ページ楽しいです。「1巻」の表記はないですが、最後明らかな引きで終わったので続刊期待してます。


【新】ドッグスレッド 1 / 野田サトル(集英社)

『ゴールデンカムイ』野田サトル先生の”原点にして最新作”が始動!!自身の過去作『スピナマラダ!』を自身でリライトするという稀少ケース。

時代は2010年、平成。フィギュアスケート全日本ジュニア決勝で歴代最高得点を出した主人公・白川ロウは、突如キスアンドクライで大暴れし、フィギュアスケート界から追放されてしまう。

一体何が彼にそうさせたのかは分からぬまま、舞台は北海道・苫小牧へ。祖父の住む氷の街で、ロウは氷上の格闘技「アイスホッケー」と出逢う。転入した高校の部活助っ人として出場した試合をきっかけに新しい世界へと足を踏み入れていく。

1巻時点ではほぼ同じ展開ですが、細かい部分で『ゴールデンカムイ』のキャラクター(そっくりさん)が登場したり、終盤の怒涛の流れはまさに『ゴールデンカムイ』のエッセンスを感じました。ここから物語は分岐していくみたいですが果たしてどうなるのか。楽しみ。

実写版も観て来ました。迫力満点で面白かったです。


【完】からかい上手の高木さん 20 特装版 / 山本崇一朗(小学館)

10年近くに及ぶ、からかいの日々が遂に完結。

高木さんに密かに想われ続けきた西片が、自分のやりたいことと出会い、自分の気持ちに気づく。今まで散々「見透かされて悔しい」という思いをしてきた西片が最後に「伝わってほしい」と願う。この心の変容は今まで長い時間をかけて醸成された関係があってこそだった。

終盤は特に高木さんの表情一つ一つに喜びが溢れていてもう、お幸せに!としか言えない(この後結婚して子どもを作ることが確定しているのがまた…)

特装版の卒アルも入手できました。何故か勝手に本当に卒アルだと思い込んでいて、高木さんの下の名前を知れる〜!と意気揚々と開いたら普通の画集だった。高木さんめ。


【新】放課後帰宅びより 1 / 松田舞(双葉社)

『ひかるイン・ザ・ライト!』の松田舞先生の新作。待ってました。

中学時代、サッカーに打ち込んでいた佐藤瞬は、膝の故障が原因でサッカー部はおろか、運動部に入ることすら諦めていた。そんな折に出会った、「帰り道」にロマンを見出す変な先輩・佐藤直樹、通称”直帰ちゃん”

彼女に半ば強引に「ハイパー帰宅部」なる怪しい部活に付き合わされる羽目になった瞬は、先輩と二人で帰宅する日々を送ることに。ゆっくりと、特に何かが起こるでもなく、ただ帰るだけ。こんな青春があっても良いなと思わせてくれる作品でした。

どこかつまらないと感じる学校も、帰るためなら行ける。これは良い視点(「ネクタイは緩めるために締める」みたいな)。だんだんラブに発展していってくれても良いし、今のままでも良い。


バーナード嬢曰く。 7 / 施川ユウキ(一迅社)

怠惰な読書家”バーナード嬢”こと町田さわ子と、ガチの読書家・神林たちによる「読書家あるある」を網羅する傑作、約2年ぶりの新刊。

一つ一つの作品に対する他人同士の感想戦を見るのはどうしたって楽しいし、誰か言ってくれと常々思っているようなことを言ってくれてハッとさせられる。ありがとう。

トーマスの回とジョジョのスピンアウト小説の回があって嬉しかった。幼少期にトーマスを見たり読んだり遊んだり、学生時代に『The book』を読んだことは自分にとって黄金体験だった。

たった半年前に出た本を
今更って言われると
作品が猛スピードで消費されていく
みたいに思えて悲しくなるんだ…

確かに毎日のように
新しい作品が生み出されるけど
本は長い期間をかけて売ったりするモノだから…
100年後も残る作品を
いち早く読んだ側の人間だって自覚を持て!

神林しおり/『バーナード嬢曰く。』7巻 p.60

僕に言わせれば
あわゆる本を面白がるとか
つまらない態度だよ

なんていうか信用できない

遠藤/『バーナード嬢曰く。』7巻 p.90


【新・完】偶発的ルネッサンス少女 / さわぐちけいすけ(朝日新聞出版)

奇跡的な偶然が重なり、同級生の地味女子・入江エミの姿が「有名絵画」のように見えてしまう、クラスの人気者男子・夢リクト。この胸のときめきは、自身の高すぎる美意識故か、入江さんの潜在的な魅力故か。日常で出会う「絵になる瞬間」に目を向ける芸術青春コメディー。

『妻は他人』のさわぐちけいすけ先生の新作。エッセイマンガを描くイメージだったけどこういうのも描けるのか、と感心しました。(上から目線)

基本的に「いや、そうはならんやろ」のオンパレードなコメディーではあるんですが、「あ、なんか良い」と思う日常の風景って、確かに偶発的なものである必要があったりするのかもしれない。読んだ後、世界の美しさに気が付くような、そんな作品でした。


【新・完】レオナ・ロイヤル・ロード / 杉谷庄吾・プロダクショングッドブック(KADOKAWA)

『ポンポさん』シリーズじゃない方の新刊。ゲームクリエイターになりたいという夢を持つ不登校の少女・汰糸たいとの前に、ある日、ゲームの世界から異世界転生してきたレオナという王女が現れる。自分の殻に閉じ籠った少女が夢を追う王道ロイヤル・ロード物語。

タイトルの通り、自分を導いてくれる存在が突如現れ、あれよあれよと道を歩んでゆく”王道”展開だったけど、オチも含めて実に気持ち良いストーリーだった。こういう異世界転生なら好き。


【完】下北沢バックヤードストーリー 1~3 / 西尾雄太(KADOKAWA)

完結したので一気読み。古着屋を営む35歳の主人公・椹木錕さわらぎこんが同棲中の彼女・西蔦珉にしつたみんに出ていかれるところから物語は始まる。

彼女への未練はあるものの、肝心の彼女が取り合ってくれないというもどかしさを抱えたまま、いまいち伸びない古着屋の経営、バイトたちとの付き合い方を考えながら錕は過去に関係を持った女性たちとひょうんなことから再会していく。その再会を通して、自分自身の認識や考えの甘さに否応なく向き合わされていくという成熟譚

同時多発的なハーレムではなく、順番に女性が出てくる構成がエンタメ的に面白く(『モテキ』的な)、錕だけでなく、珉や元カノたちも人間として真の意味で成熟し切っていないという、壮年期の心の葛藤や人間模様の描写が恥ずかしくなるほどに秀逸で面白かった。古着知識はちょっと何言ってるか分からなかった笑


【新】恋をしたのに世界は滅びる気配もない 1 / 東雲(講談社)

主人公・天城は、町の小さな図書館に勤める司書。コミュ力向上を目指して奮闘していたある日、美しい女性が訪れ「亡くなった夫が遺したメモに当てはまる本を探してほしい」と頼まれる。

男子高校生×未亡人官能小説家歳上お姉さんという設定的に少し暗めな雰囲気なのかと思ったら、かなりほんわか。キャラのデフォルメ描写も多くて可愛い感じでした。


【新】クソ女に幸あれ 1 / 岸川瑞樹(集英社)

4股された挙句、こっぴどくフられた元カノと再会したと思ったら何故か身体が入れ替わってしまった、というお話。

加えて、今気になっている一つ歳上の先輩が実は件の元カノとルームシェアしていて、元カノも実はまだ主人公のことが好きで、先輩は中身が元カノの状態の主人公のことを気になり始めて、主人公は都合良く鈍感で、ともう全部盛りみたいな入れ替わり三角形ラブコメ。清々しい。


【新】おとなりリトルウィッチ 1 / イトカツ(双葉社)

『銀のニーナ』などのイトカツ先生の新作。

おせっかい好きな真面目な女子大生・さくらの家にいつの間にかいた8歳の少女・ペネロペ、通称ロペ。どこか不思議な雰囲気を持つ彼女は、実はイギリスからやってきた魔法使いだったということが本人の口からぬるっと明かされる。

見た目や言動は完全に少女なものの、魔法の実力はかなりのもののようで、認識阻害や記憶改竄の魔法から、精霊の力を借りた補助呪文や攻撃呪文もお手のもの(ものもの言いすぎ)日本にやってきた理由も魔法学校の宿題として、魔法猫を探してのことだったらしい。

平凡な女子大生と小さな魔法使いのほのぼのかわいい同居譚。かなり好き。


【新】東大の三姉妹 1 / 磯谷友紀(小学館)

世間一般的に優秀と言われる東大卒・東大在学中の3人の姉を持つ末っ子で長男の一理いちりは、東大受験の合格発表日、自分は不合格となってしまうも、内心ホッとしていた。

東大が当たり前の姉たちと距離を起きたい一理だったが、その実、姉弟仲は良好で、外資系企業勤めのお堅い長女・世利子、テレビ局の若手プロデューサーでバリバリ働く次女・比成子、現役東大生でリケジョな三女・実地子と一緒に仲良く暮らしていた。

そんな完璧な人生を歩んでいるように見える姉たちも、東大卒という学歴から周囲にやっかまれたり、優秀すぎて周囲に理解されなかったり、と東大卒なりに悩みながら生きていて…。

1巻では、長女が初恋を拗らせて精子バンクで妊娠したり、次女が俳優のスキャンダルで担当の番組がめちゃくちゃになりかけたり、人生いろいろ、といった感じでした。


【新】竜送りのイサギ 1 / 星野真(小学館)

竜が棲む世界の流刑地の島で、斬った相手の記憶を走馬灯のように感じ取れる少年・イサギはある日、稀代の名将・タツナミと出会う。

タツナミに剣の教えを叩き込まれるイサギだったが、後に首打人としてタツナミの首を斬るという使命を果たすことに。その時にタツナミの記憶を見たイサギは彼の犯した竜殺しの罪を見る。

ネットの一部界隈で「中日ドラゴンズっぽい」と話題になったドラゴンスレイヤー物語が遂にコミックス化。辰年の2024年に相応しい作品が始まりました。中日ドラゴンズの運命や如何に(違


【新】魔女のエデン 1・2 / ゆめじ(KADOKAWA)

草木の声が聞ける存在である魔女が人間に迫害される世界で、師であり家族である老魔女・トゥラと暮らす少女・ピリー。

ある日、病に倒れたトゥラを助けるために町におりたピリーだったが、自分の軽率な行動が原因で人間たちに住処が見つかり、トゥラは命を落とす。

絶望の中で、トゥラに託された不思議な種から現れた大狼・オークと出会い、選ばれし魔女が辿り着けるという聖地「エデン」を目指すことに。

フランスの出版社・Ki-oon発のダークファンタジー。自然から見放された世界で、希望を目指す一人と一匹の旅路が繊細な線で描かれる。引き込まれるような世界観で2冊をあっという間に読んでしまった。


【新・完】九井諒子ラクガキ本 デイドリーム・アワー / 九井諒子(KADOKAWA)

『ダンジョン飯』の九井諒子先生が過去に描き溜めたラクガキを収録した、まさに”神の自由帳”。ハルタ付録の小冊子や個人サイトに掲載された珠玉のラクガキの数々。基本的には『ダンジョン飯』関連のオフショットで、どれも湧き上がる空想の結晶と言える、恐ろしいほどにハイクオリティで唸りました。

自分は創作活動をしているわけではないですが、各ページを眺めながら感動すると共に、狂気すら感じました。脳内に湧き上がる創作衝動を自分の手で表現することで昇華していく、これがどれだけ尊く、凄まじいことか。人間の表現の境地のような、そんな一冊でした。是非紙で手に取ってみてください。


【新】ニセモノの錬金術師 1 / 杉浦次郎・うめ丸(KADOKAWA)

『僕の妻は感情がない』の杉浦次郎先生のラフ版の商業連載版。異世界転生してチートスキルを手にした主人公が奴隷の女の子と契約して、いろいろ頑張ったり、いろいろ出しちゃう話(意訳)

自分が異世界転生アレルギー持ちなので、正直1巻を読んだだけではかなりしんどかった。治療のためにも2巻以降も買おうとは思うので、作り込まれた世界観にどんどん引き摺り込んでいってほしいです。どうやら『HUNTER×HUNTER』みたいになるとかなんとか。

ラフ版はKindleで全部読めそうです。


【新】ぼっち・ざ・ろっく!外伝 廣井きくりの深酒日記 1 / はまじあき・くみちょう(芳文社)

『ぼっち・ざ・ろっく!』に登場する酒カス凄腕ベーシスト・廣井きくりを主人公に据えた公式スピンオフ。担当は『たぬきときつねと里暮らし』が記憶に新しいくみちょう先生。

1巻時点では結束バンドの面々は虹夏ちゃん以外ほとんど直接登場せず、きくりと彼女が所属する人気インディーズバンド「SICK HACK」のメンバーが中心。イライザちゃん好きなので色んな姿を見られて嬉しい。それにしても酒クズすぎるぜきくりさん…


【完】幼馴染のお姫様 4 / 9℃(秋田書店)

完結巻。主人公にもう一歩踏み込んでほしい感じはあったけど、ヒロインが二人とも可愛かったのでヨシとしたい。ヒロインが可愛ければラブコメは成立する。


【完】夜の名前を呼んで 5 / 三星たま(KADOKAWA)

夜を完全に克服できたわけではなくとも、今のミラは、夜と一緒に生きていける。明るい世界を一歩ずつ歩いていける。それはレイ先生やこれまで出会った友人たちの存在はもちろん、彼女自身の努力の賜物。不安になることもあるけれど、”私には、私がついてる”。ミラの勇気と成長に精一杯の祝福を…!!

最後まで優しくて暖かくて前向きで、素敵な作品でした。4巻まで黒背景だった表紙が最終巻で白になっているのもまた良い演出。

本屋さんにミラ一人で行く回と最終回はもう涙腺が弛みまくってダメだった。巻末には登場人物たちの”その後”についても言及されていて嬉しかったです。連載お疲れ様でした。

こわいです とっても
でも悲しい思い出よりも
楽しい思い出のほうが勝っちゃったので

ミラ・ハウリー/『夜の名前を呼んで』5巻 p.178


【完】神さまがまちガえる 4 / 仲谷鳰(KADOKAWA)

バグという存在そのものが世界から無くなるというバグが発生。バグから生まれた存在である紺は、自分の出自について気にしなくてもよくなるとはいえ、それだと自分の本当のことを大切な人たちに伝えられないと葛藤する。

世界が”正しい”か否かの基準は何なのか。紺とかさねにとってはバグが起こる世界こそが正しい世界で、それを観測できるのは二人だけだったけど、大多数の人間にとってはバグが起こらない世界の方が正しいし…と哲学的な方向に勝手に考えてしまって頭が痛くなった。

それでもやっぱり世界はちょっと狂っているくらいでいいかな。物語自体はハッピーエンドで完結。お疲れ様でした。


【完】生きてるうちに推してくれ 4 / 丹羽庭(小学館)

ミサキが所属するアイドルグループ「FRIEND SHIP」が崩壊に危機に。リーダーのルリの暴走には厄介な霊が関わっているようで…!?霊が視える崖っぷちアイドルと霊を退治できる煩悩まみれ坊主のお祓いコメディー完結巻。

怒涛の300ページで描き切っての完結。結局、生きてる人間の方が霊より何倍も厄介で面倒くさいって存在ということですね。知らんけど。

「FRIEND SHIP」→「船」→「ブラスト(船底の錘)」と、ミサキの役割を船に喩えるシーンは良かった(けどそれで良いのかミサキは)けど、やっぱり坊主のキャラが最後までどうしても苦手だったのでキツかったかな〜という印象でした。連載お疲れ様でした。


氷の城壁 8 / 阿賀沢紅茶(集英社)

細かく丁寧に描かれているだけに拗れていってしまうと余計に辛い。栗木さんも自分一番で行動しているだけで悪人ではないし、寧ろそれくらい自己中心的に動けた方が後腐れなくて良い気さえする。


半人前の恋人 2 / 川田大智(集英社)

美大受験を目指す美術系男子と家業の太鼓作りを継ぐ職人系女子のラブコメ。二人とも芯が強くて気持ちいい。お互い、まず相手のものづくりに対する姿勢へのリスペクトがあって、その向こう側に恋心がある。この順番が良い。

そして展開が早い。次の巻で大学卒業してしまいそうな勢い。いいぞいいぞ。


恋人以上友人未満 5 / yatoyato(集英社)

あまりにも関係が進展しない元AV俳優同士のラブコメ。「そもそも既に身体の関係にはなっているんだよねアハハ」という要素が一人歩きしているというか、「で、結局どうなりたいの?」の状態でずっと足踏みしている感じ。

なんかもっと頑張ってほしいとは思いつつ、まぁ愛でる分にはこのくらいほのぼの可愛いのが丁度良いんだよね、に落ち着く。


ダンダダン 13 / 龍幸伸(集英社)

どうした2ヵ月連続刊行。バモラちゃんの壮絶な運命がこの時代の地球に住むオカルンやモモたちと交わって凄まじい戦闘を繰り広げているわけだけど、もう是が非でもここで断ち切るしかねぇよねぁ!!!という勢い。勝つしかないじゃんよ。


弱虫ペダル 87 / 渡辺航(秋田書店)

合宿編続き。段竹vs杉元。バイクサイズが適応した段竹は伸び伸びとした走りで杉元に徹底的に仕掛けていく。も、杉元も粘る。3年生として最後のインターハイへ懸ける想いは人一倍大きいが、勝負の行方は果たして。

これ、3年生と2年生で枠を争うより、1年生の六代くんたちと争う方が自然な気がするのは気のせいか。(そもそも枠を争うとかの考えで走っていないというのはある。全員に勝つくらいの覚悟でないといけない。)


弱虫ペダル SPARE BIKE 13 / 渡辺航(秋田書店)

オリジナルと合わせて100巻目の大台到達。実にめでたいけど、ここから3年生インターハイ編じゃなんじゃで150冊くらいは普通にいってしまいそうだからまだまだ道は長い。下手したら坂道大学生編もやるだろうしな。終わらないコンテンツ。


ブルーアーカイブ 便利屋68業務日誌 2 / 野際かえで・ブルーアーカイブ(ブシロードクリエイティブ)

ブルアカ便利屋コミカライズの2巻。オフの回が一番良かったな。オフの回だけやっていてほしいというのが本音だったりします。

とりあえず、2024年の「ブルーアーカイブ」にも期待大。リリース3周年もおめでとうございます!

水あさと先生によるゲーム開発部のコミカライズも始まっています。丸くて可愛い。


今日から始める幼なじみ 9 / 帯屋ミドリ(新潮社)

楓がずっと「付き合っていると思われる」より「実は幼なじみなだということがバレる」の方が恥ずかしさが上なのが面白い。

確かに後者の方がだいぶ頭おかしい関係だからその思考は間違っていない気もするけど、実際は付き合ってもいなければ幼なじみでもない二人。


おひとりさまホテル 3 / まろ・マキヒロチ(新潮社)

テーマ的に当たり前なんだけど、登場人物たちがみんな一人でホテルに行くから終始独り言を言い続けていて、改めて読むと異様すぎて笑えてしまった。いやこいつらめっちゃ喋るやん、って。テンション上がると饒舌になるのは全然分かるけども。

あとどうでもいいけど、一人で車運転しながら赤福を食べるのは多分不可能だ。


かさねと昴 3 / 山田金鉄(講談社)

ボーイッシュで直球気質な彼女・かさねとちょっと女々しい女装彼氏・昴。お付き合いを始めたものの、同じ職場でかさねの仕事ぶりを目の当たりにした昴は応援したいのに少しジェラシーを感じて気持ちが不安定に。

かさねちゃんがクライアントに対する愚痴を昴くんに吐き出すシーンは良かった。二人とも仕事やお互い対するモヤモヤへの対処が迅速かつ的確で1巻の中で気持ちが上向きになって終わるのが嬉しい。


R15+じゃダメですか? 5 / 谷口轟・裏谷なぎ(講談社)

冬峰くん、夏凪さん、秋音ちゃん、おまけに先輩も加わった四角(?)角関係が続いたまま、文化祭本番の日を迎える。映画メシ喫茶に映研の存続を託す面々だったが、梅木が制作した映画が予想を上回る好評で大ピンチ。逆転の手はあるのか!?あるのか…?


黄泉のツガイ 6 特装版 / 荒川弘(スクウェア・エニックス)

アスマに捕獲されたユルだったが、アスマは現状敵ではなかった。左右様はイワンと交戦中で、影森家の屋敷ではアキオがアサの命を狙う裏切り者が発覚して戦闘勃発。思惑入り乱れるツガイバトル、抗争激化の第6巻!

敵か味方か不明の各勢力が入り混じり、さらにキャラ一人一人に微妙に異なった意志の元動いているので、物語がかなり多重構造化してきている感じ。間違いなく面白いんんだけど、まだ1割も作品の真髄に辿り着けていなさそう。強すぎるジジイ(影森ゴンゾウ)が出てきてくれたのは素直に嬉しい。


君は冥土様。 7 / しょたん(小学館)

久しぶりの新刊かと思ったらまさかのアニメ化決定!妹・アンナと仲直りするために、自らの過去と対峙する覚悟を決めた雪。紐解かれる姉妹の物語とアンナの目的とは。

1冊丸々過去編とアクションだったので次巻は人好とのイチャラブが見たいぜ!アニメ化おめでとうございます!


花とくちづけ 8 / 七都サマコ(講談社)

月岡流の次期家元としての覚悟を現家元の実父に伝えた咲人さん。これで家柄問題はクリア。

咲人さんの従兄弟でかすみの同級生・柊真の生け花やめる宣言も無事引き留め、春休みにパリへ一緒に行くことに〜。婚前旅行みたいな感じか〜。


舞妓さんちのまかないさん 25 / 小山愛子(小学館)

キヨ、すみれ、健太の何度目かの里帰り。故郷で健太が知る「誰かのために料理を作る」気持ちと新たに芽生える「自分の店を持つ」という夢。

三人一緒のようで、それぞれが少しずつ、本当に少しずつ変わっていっているのを感じる巻でした。

みんな帰省した後、屋形でイチャつく百子さん姉さんとあずささんおかあさんが眼福。


無田のある生活 3 / 朝比奈リョウ(小学館)

無田さんとゆかりはお互いいまいち手を組み切らない、でも微かに影響し合う関係で、同居している意味が若干薄いまま物語は続く。

無田さんの父親、ゆかりの元カレ、とそれぞれの関係者も「悪」すぎて先行きが不安だ…。ゆかりの家に元カレが居座り続けているのがやっぱりどう考えておかしすぎて、まずそこから話をつけるべきでは…という思いが拭えない。


冥天レストラン 2 / 鈴野スケ(小学館)

不慮の事故で死んでしまったガ太郎はあの世で死者に最後の晩餐を提供する「冥天レストラン」で働きながら生き返りを目指す。

ガ太郎を轢き殺してしまった張本人の霊やどうしてもベニテングダケを食べたい霊、寿司職人の握った寿司を食べたい霊、可愛い死神の後輩を放って置けない霊などなど、人(だった霊)の数だけドラマがあるのです。

なんかヤバいライバルレストランも出てきたり!?次巻も楽しみ。


ミモザイズム 2 / 松尾あき(小学館)

邪魔が入りながらも初の”花屋敷みもざの個展”を成功させた福沢。個展の中で説明された「ミモザイズム」の定義に、素人なりにひどく納得してしまい、それがこの作品全体の完成度を底上げする要因にもなったと思う。

この主張を確固たるものにすべく、次なる展示の開催に向けて一向は「ミモザ派」として新たに動き出す。

楽観主義オプティミズム” 哲学上では「最善説」とも言われていて 今の世界は存在し得る世界の中で最も良いとする考え方です。対義である”悲観主義ペシミズム”は世紀末芸術などにその影響が見られ 芸術史に深く関わっていることが窺えます。一方で 楽観主義はというと芸術史に影響を与えた例は極端に少ない。これはアートが既成概念の否定や社会や政治に対する批評の側面が強いことに起因していると考えます。楽観主義的な肯定が デュシャンやウォーホルのようなアートの転換点を生み出すことなかったという感じですね。しかし花屋敷みもざという作家はこの楽観主義的発想を肯定的の捉えアートへのアプローチを試みます。…というよりもそうすることしかできない。なぜなら彼女は 花屋敷千雄の娘だから。個人としても絵描きとしても 環境にも人にも恵まれ何ひとつ不自由がなかった。彼女は知らない。自分にとって最善である世界のこと以外は何も。このアプローチで描くしかない。知らない価値観では描けないから。…そして だからこそ彼女は渇望している。知らない他者の世界を理解することに飢えている。彼女にとって相互理解とは最善な世界を他者と共有し共生するための基幹であり 絵を描く目的です。相互理解に対するこの認識をきれい事だと否定する人もいるでしょう。しかし彼女はそんな声さえも丸ごと包み込んで肯定してしまう。この力強さが魅力であり思考や信仰に捉われない自由な描線がそれをよく表している。また否定的な意見に対する純真な肯定は 彼女なりのある種の社会批評であり、ともすれば 現代アートとしてまっとうに成立していると言えるのです。天才の娘という特殊な環境下で育ってきた花屋敷みもざだから持ち得る。他者による否定を肯定する事で否定してしまう楽観主義。言うなればそう”ミモザ主義イズム”。

福沢栄一/『ミモザイズム』2巻 p.94-102 


推しが武道館いってくれたら死ぬ 10 / 平尾アウリ(徳間書店)

チャムの不動のセンター・れおの卒業。そう、アイドルって卒業するんだよな…。どれだけ愛しても、どれだけ貢いでも別れの時が来る。そんな女性アイドルの宿命とも言える「残酷な卒業」を、ファンの目線から「推しの卒業」として描いたのはこの作品ならではで素晴らしかったです。

リアルのアイドルを推した経験がないけど、れおやメンバーはもちろん、くまささんの心境を思うと寂しい。アイドルは卒業するものなんだよな…強く生きてほしい。登場人物たちに最大級のエールを!


エロチカの星 3 / 前野温泉(講談社)

夏のイベントで新刊を完売させ、編集の柏尾さんにも一目置かれるようになった「えんえんら」の二人。来たるエロ漫画賞「ももいろコミックグランプリ」大賞受賞を目指し、更なる制作に燃える中、よすがの中に隠し切れない遠藤への恋心がハッキリと芽生え始める。

よすがのこの自覚が「えんえんら」の大きな個性として作品に現れるも、よすが本人はドギマギに苦しめられるという諸刃の剣なのが面白い。

連載完結してしまったのは寂しいけど間違いなく名作です。次巻も楽しみ。


純猥談 5 / 田川とまた・純猥談編集部(講談社)

学生時代に恋した先生のことを忘れられない女性、自分より売れている俳優に彼女を寝取られた男性、恋人がいるサークルの後輩と関係をもってしまった女性、高校時代の淡い恋愛をふと思い出す女性、の4編を収録。

今回はどれも微妙に後味悪い感じだった。まぁ、イチャラブを見せられても嫌ですが(嫉妬ではない)


マリッジグレー 5 / 轍平(集英社)

マリッジブルーならぬマリッジグレー、というかもはやマリッジレッドだよ(意味不明な感想)。憙乃がとにかく強すぎる…


大丈夫倶楽部 6 / 井上まい(レベルファイブ)

今回もぬるっと出た「大丈夫」を目指すヒーリングマンガ第6巻。(電子のみの発売なので発売日を見落としがち)

今回は作品のサブテーマとも言える「宇宙」の比重も少し多め。新キャラのロリ、エマは単なる「宇宙開発関連企業CEOの孫の賢い女の子」なのか。このまま「大丈夫」を突き詰めていくことでどんどん話が宇宙規模になってもおかしくない。

マンガ5での連載は146話で完結を迎えたそうです。あと2巻分くらいか。


百合にはさまる男は死ねばいい!? 4 / 蓬餅(LINE Digital Frontier)

駒井・犬飼カップルの甘々な絡みと揺るがない覚悟が描かれた後、県大会。ここまで部内の関係や実力についての描写は為されていたので当然ゴールド金賞で全国大会行き決定。

聴くまでもなく確信していた相川姉の視線が良かった。片桐の「ね 怖くない」もナウシカみたいでグッと来た。1stをかけた際オーディションの結末も気になるところ。

PEOPLE1「ハートブレイク・ダンスミュージック」を聴きながら読むとなんか泣けます。


スーパーの裏でヤニ吸うふたり 4/ 地主(スクウェア・エニックス)

誰かのための嘘や思いやりの我慢にはなかなか終わりがない。佐々木さんと山田(田山)さんの関係はそういう優しさの上で成り立っているものなので、実はかなりタチが悪い。もう本当にどうしようもない。割と修羅の道な気がする。幸せになるのか。


ぷにるはかわいいスライム 5 通常版・特装版 / まえだくん(小学館)

まさかのアニメ化決定!遂にここまで来たか、という感じ。

ぷにるのかけらを注入されたことで、自我が芽生えたルンルは、自分がホビーなのか何なのかを迷い、決断をする。アリスがどんどん良いキャラになっていて嬉しい。

そして真戸先生が生み出した人工スライム生命体「GELEEジュレ」が登場して新展開。コタローに好意を持ち、「かわいい人間の女の子」としてぷにるとの差を見せつけていくジュレを含めた三角関係で、いよいよ始まったラブコメ展開(?)。

ぷにるの揺るがない信念に不覚にも震えてしまった。でもある意味、人間とは永遠に分かり合えない場所に、ぷにるは立っているのかもしれない。

ぼくがなりたいのは「かわいいぼく」です!
ぼくはホビー!!
女の子でも人間でもありません!
誰もがうらやむホビーに生まれたのに
どうして不自由な人間を目指さないといけないんですか?

河合井ぷにる/『ぷにるはかわいいスライム』5巻p.93


偽りのマリィゴールド 2 / サスケ(KADOKAWA)

兄に成りすまして、盲目のお嬢様・りりと親交を深めていく華。自分の中に確かに芽生えていく想いは、果たして誰のものなのか。りりのお家事情も絡みながら物語は破滅へと進む。

表紙の構図、かなり好き。


ニャリウッド! 2 映画大好きアランくん / 杉谷庄吾・プロダクショングッドブック(KADOKAWA)

劇場版からの逆輸入で銀行員のアランが登場。ジーンとの絡みはなく、アランが勤めるニュリウッド銀行が、独立したカリスマ女優・ミスティアの撮る映画の融資をするという流れ。

アランよりも元子役でスタイリストのコレットの再起の物語という色が強かった。それにしても映画本当に良かったな〜。もはや懐かしい。

ポンポさんシリーズもこんなに増えました。


この復讐にギャルはいらない 3 / まの瀬(白泉社)

市来崎さんが組織からの刺客だと判明し、新宮さんがただの心優しいギャルだったことが明るみに。橿原の置かれた状況を理解した上で協力を申し出てきた新宮さんは果たしてこの復讐にどう関わってくるのか。だいぶ有能そうな予感。

勝手に小学館刊だと思っていた(某名探偵ネタのせい)けど、白泉社刊だった。そりゃ上から釘を刺されますわ。


いつか死ぬなら絵を売ってから 1~2 / ぱらり(秋田書店)

ネカフェ難民の清掃員・一希の唯一の趣味は小さなメモ帳に絵を描くこと。ある日、単なる自己満足で描き殴っていたその絵がアートコレクターで資産家の青年・透の目に止まり、一希の人生は大きく変わっていく。

絵に”価値”が生まれるとはどういうことなのか。絵を”売る”とはどういうことなのか。単なる「お仕事もの」「芸術もの」では括れないような、面白い視点の作品でした。


まちの本屋の御書山さん 1 / いずみせら(KADOKAWA)

杓子定規な大学生・不破は、その真面目すぎる性格が災いし、家庭教師のバイトをクビになってしまう。

その後、教え子のマンガを弁償するためにたまたま訪れた書店で不思議な雰囲気の美人店員にスカウトされて、という本屋お仕事マンガ。

御書山さんの頼れる姉御感も魅力的だったけど、やっぱり不破くんのキャラクターが良い。ここからラブに進展していくのかどうかは現状謎ですが、なんかあまりそうなってほしくないと思えるほど1巻が完成されていたな、と思いました。


かしこい男は恋しかしない 1 / おう沢みなみ(集英社)

名門男子進学校に通う主人公たちが「恋」について語り続ける学歴厨ラブコメ

学力と行動力は高いが、人間性が残念すぎる主人公・大沢正直まさなおを中心に、学歴厨どころか読者(別冊マーガレット連載)にもブッ刺さるボケを連射してくる快作。別マにこんなオモロマンガが連載されていたとは…!

正直がちゃんと女の子に接しようと動いている姿勢がまず好印象。その上で失敗してどんどん卑屈になるかと思いきや、すぐ次に行くという強靭な精神力も持ち合わせており、そんな彼のことが気になる女の子もいたり、と隙がない。今後も楽しみです。

ジャンプラに出張連載されていたのが面白かったです。内容的にはジャンプラ(というかネット)連載向きかもしれない。


制服ぬすまれた / 衿沢世衣子(小学館)

『ウチのクラスの女子がヤバい』などの 衿沢先生の過去の短編集。今更読みましたがとても良かったです。

表題作は、制服を盗まれた女子高校生が、同じく学生時代に制服を盗まれた女性警官と犯人を探す、という話。彼女らが盗まれたのは果たして制服”だけ”だったのか。

他の収録作もどれも短編推理小説のようなざわっとくる読後感で非常に読み応えがありました。


午后ごごのあくび 1~3  / コマツシンヤ(亜紀書房)

あわこさんが住む白玉町ではいつもちょっと不思議なことが起こる。それはまるで白昼夢のようで、自由に幻想的で、でも気がつくといつもの場所にいるような、軽やかで素敵な作品でした。

雑記(ハクメイとミコチ月間)

2024年が始まって、もう一ヶ月が経ちました。元旦から月末まで、もうずっと負の連鎖が続いているような、そんな日々です。亡くなった方たちのご冥福を祈ります。

それでも生活は続くので、少しずつ息抜きしながら過ごしていきましょう。

今月は(毎年言っていますが)何と言っても『ハクメイとミコチ』の月でした。もちろん他にも良い作品ばかりでしたら、多いのでハクミコに絞ります。

まずは12巻目にして初の特装版の発売。去年の9月だったかに告知され、即Amazonで予約しました。

万年カレンダーを本当に万年使う気で手にしたのは初めてかもしれない。紙製なので万年経つのが先か、紙が朽ちるのが先か。保存用にもう一つ買っておけば良かったなと少し後悔。

そしてHMV&BOOKSでの公式POP UP SHOP(PUS)。これは13日の初日に行って全グッズを買い占めました(もちろん一つずつ)。後日、売り切れたりしていたので危なかったです。今は在庫復活しているはず。

PUSではコミックスを1冊買う毎に描き下ろしのしおりが配布されいたので、予約していた12巻に加えて、1~5巻を書い直して無事全4種を確保。その足でキンコーズへ行き、ラミネート加工しました。これで半永久的にしおりとして使える。

別に原作なんかなんぼあってもいいので何冊でも買うんですけど、しおりの配布方法はPUSで○○円お買い上げ毎に1枚とかでも良かった気はします。

全巻分の複製原画購入は流石に金額的・場所的に断念せざるを得ませんでしたが、代わりにちょっと良いポストカードスタンドを買ったので、実質複製原画全部買ったようなもんです。

そして50人という枠に見事当選して参加してきた樫木祐人先生のサイン会。2019年以来約4年ぶり二度目でしたが、集合場所を間違えてしまい、待機列のほぼ最後尾に。

2時間ほど待つ羽目になってしまいましたが、待ち時間中は列の前後の方たちと漫画談義に花を咲かせたりして、結果オーライでした。ありがとうございました。

サイン会後、念願だった西新宿の「Cafe Bar ELIXIR」さんに行くと、同じくサイン会帰りのハクミコファンが数人いらっしゃってプチオフ会状態に。誰かいるかな〜?とは思いながら行ったけどまさか本当に、しかも複数人いるとは。

自分の好きな作品のサイン会に行って、その作品のエピソードに出てきそうな素晴らしい体験をして、夢のような一日でした。

樫木先生をはじめ、出版社の方、店舗スタッフの方、そして同じ作品を愛する同士の方、改めてありがとうございました。

これからもずっと『ハクメイとミコチ』という作品を愛していきたいです。

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