
BBSを紐解く~COMとBOSの変化から考える~
おはようございます!☀
本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます!
第228日目を担当するのは、脳神経外科病院にて勤務している理学療法士の清水啓史です!
前回は評価特集ということで、バランス評価についての内容でした。
COMとBOSをどのように見ていくのかをまとめていますのでよろしければ下記のリンクより覗いてみてくださいね。
本日はその続きで、BBSをどのように解釈していくのかという内容です。
皆さん、一度はバランスの評価でBBSを実施したことがあると思います。
結果が点数で表され、カットオフ値と比較してバランス能力がいいのか、よくないのかを判断しているのではないでしょうか?
そのように判断することもできるのですが、さらに項目ごとに解釈し、臨床に活かせるようにすることで、より患者様のバランスの評価が深まりますので是非最後までお読みいただければと思います。
〇バランスとは
まずは、バランスがどういったものであるのかを定義します。
バランスとは、
ヒトがある環境における運動(課題)遂行のために、感覚情報を処理し、重心を一定あるいは移動する支持基底面内に維持するために適切な調整を行うこと
です。
ここでいう重心とは身体質量中心(以下COM)と同義です。
重力がかかる地球上においてヒトが活動していく上で、自身のCOMを支持基底面(以下BOS)に維持しておくことは当たり前でありますが非常に重要なことです。
「バランスがとれている」ということはBOSに対してCOMを適切に制御できているということです。
その制御はある程度自動的にできないと、課題となる活動を遂行することが難しくなります。
実際の日常生活におけるバランス能力は遂行すべき課題(運動)に影響を受け、さらに環境的要素や心理的要素による影響も受けます。
バランスのための姿勢制御には大きく、
・前庭感覚、視覚、体性感覚といった感覚系要素およびそれら感覚処理による感覚戦略 (姿勢反射)
・筋力や関節可動域といった筋骨格系要素とその協同的活動として神経筋協同戦略
・感覚情報と運動の統合および予測的機構といった高次処理過程
に分類することができます。
つまり、姿勢制御は、前庭感覚、視覚、体性感覚の感覚入力要素の情報に基づく姿勢反射、または高次処理され筋骨格系へ適切に出力されることによりコントロールされています。
バランスのレベルを大きく3つに分けると以下のようになります。
姿勢制御には戦略があり、大きく4つに分類されます。
・足関節戦略:主に足関節を中心とした身体運動を介してCOMを安定な位置に回復します
・股関節戦略:股関節に大きくかつ迅速な運動を発生することでCOMの動きを制御しており、足関節には逆位相の回旋を伴います
・踏み出し戦略:下降するCOMの下にBOSを配置させるために急速に下肢を動かし踏み出します
・リーチ把握戦略:BOSを拡張させ支持を得るために急速に物にリーチします
これらの戦略はCOMの変化の大きさにより、足関節→股関節→踏み出しorリーチ把持と変化していきます。
〇BBSとは
Berg Balance Scale(以下BBS)とは、Bergらによって考案され、日常生活に即した複合的なバランスを評価することに適しています。
信頼性は高く、臨床の様々な場面でバランス評価の一つとして活用されています。
各項目と「0点~4点」で評価し、最大スコアは「56点」となります。
BBSは項目がすべて、「自発的に実施する」「外部から干渉される要素がない」という特徴があります。
課題に対して適切なCOMの移動や保持をしていく能力が必要になりますが、外乱に対してCOMをリカバリーしていくような能力の評価には向いていないと考えられます。
BBSを紐解く~COMとBOSの変化から考える~
100円

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