運動学習 「フィードバックとフィードフォワード」
お疲れ様です。セラピストのはらリハです。
セラピスト向けの投稿ですが、脳卒中後遺症の方にも回復する為には大切な内容なので、読んで頂きたいです。
テーマは…
『運動学習のフィードバックとフィードフォワード』について説明します。
はじめに
運動学習は3種類あり…
その中で、今回は『教師あり学習』について説明します。
教師あり学習とは??
教師あり学習とは…
わかりやすくすると…
「教師」とは、このフィードバック信号のことを指しており、私たちの脳内で、この先生役である小脳が役割を担っています。
実行した運動が失敗した場合に、「間違えてますよー」と、小脳が教師役となり大脳皮質にフィードバックを与えます。
運動学習初期では、この失敗が多く生じる為、沢山の誤差情報がフィードバック信号として中枢に帰結しますが、徐々に運動が習熟するにつれて、その誤差が減少します。
以上のことを『フィードバック誤差学習』と言います。
ここで疑問になるのが…
「なぜ、運動を繰り返すと誤差が減少し、習熟するのか??」
それは、運動が習熟する過程で、脳の中では…
『内部モデル』というものが形成されるからです。
教師あり学習における1番の目的はこの『内部モデルを構築すること』にあります。
内部モデルとは
内部モデルとは…
運動が習熟すると、この内部モデルを参照しながら身体を動かすことで、洗練され自動化された運動が可能になります。
例えば…
プロのスポーツ選手では、柔らかく無駄な力が抜けた身体の使い方をしますが…
初心者の方では、硬くぎこちない身体の使い方をすると思います。
前者は、繰り返し運動を行うことで『内部モデル』を構築し運動が自動化されていますが、
後者は、まだ内部モデルが構築されていない為、主に「感覚フィードバック」を頼りながら、実行した運動に対するエラーを逐一、参照しながら運動を修正します。
このような、毎回リアルタイムで運動を遂行する初心者の方(運動学習初期)は、毎回、フィードバック情報を参照して運動を遂行していくと時間的な遅れが生じてしまいます。
これが、「筋緊張の増加」や「関節のスティフネス(剛性)」といわれる動きの硬さを生み出す要因になります。
それに対して、運動学習後期において内部モデルが構築されていると、今までフィードバック情報を頼りにしていたのに対して、『予測』が出来始めることから『フィードフォワード』の要素が加わった運動が可能になります。
その結果、初期で見られた「動きの硬さ」が減少し、滑らかな自動化された運動が行えるようになります。
これらを踏まえて、リハビリに置き換えて考えると、多くのセラピストはリハビリを行う際に、「筋緊張亢進」や「スティフネス(剛性)の増強」などといった現象はあまり思わしくないと考える傾向が強いです。
しかし、ここまで説明した通り、運動学習の過程で考えると、学習初期というは案外必然的にこのような現象(筋緊張亢進やスティフネスの増強)は起こりうる事象であるため、それほどネガティブなものとして考えなくても良いかもしれないですね。
順モデルと逆モデル
内部モデルの詳細を説明します。
内部モデルは…
の2種類で構成されています。
順モデル
順モデルは、例えば…
目の前の道具の操作に関して、どのような操作をすれば、どのような感覚結果が得られるかを脳内で予測する機能あり、「遠心性コピー」にあたる部分です。
逆モデル
逆モデルは、順モデルの前段階で、目標としている運動を遂行するための運動指令を決定することです。
逆モデルがあれば、初めから正解を知って運動指令を決定できるため、フィードバック情報に頼らずとも、フィードフォワード制御にて運動を行うことが可能になります。
内部モデルを臨床へ
普段のリハビリで、闇雲に反復運動をしていませんか?
それだけでは、セラピストがいなくれもできちゃいませんか?
次回は、内部モデルを臨床につなげる方法について説明します。
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