痙性麻痺と体幹の関係
お疲れ様です。脳リハです。
本日はセラピスト向けの投稿です。
内容は…
「痙性麻痺と体幹の関係」について説明します。
立ち直り反応の消失
片麻痺は錐体路損傷による痙性麻痺です。
この痙性麻痺よる体幹の筋緊張の異常に伴い、「立ち直り反応」が消失し、体幹が崩れる可能性があります。
神経学では、座位や立位姿勢の中で、頭部-体幹を垂直位に維持する筋活動を立ち直り反応と呼びます。
その中で、立ち直り反応は4つに分類できます。
☑︎ 頭部の視覚性立ち直り反応
☑︎ 頭部の迷路性立ち直り反応
☑︎ 体幹の視覚性立ち直り反応
☑︎ 体幹の迷路性立ち直り反応
視覚性立ち直り反応は開眼で、
迷路性立ち直り反応は閉眼で検査します。
片麻痺だと、頭部の視覚性立ち直り反応は出現しやすいですが、体幹の迷路性立ち直り反応は出現しにくい傾向です。
痙性麻痺と体幹の側方傾斜
体幹の側方傾斜の原因は…
「麻痺側の体幹筋(腰方形筋や脊柱起立筋)の痙性麻痺による立ち直り反応の消失」と考えやすいです。
しかし、体幹の側方傾斜はそんな単純な話では説明できない現象が起きます。
「左右の逆転現象」と呼ばれる現象です。
これは、「麻痺側に体幹が側方傾斜する時に、非麻痺側の立ち直り反応が出現しない」と言う現象です。
非麻痺側なのに何故でしょうか??
その理由として、brunnstromやbobathは「麻痺側の体幹筋の筋緊張の異常や短縮によって非麻痺側の体幹筋の筋活動が制限されるから」と解釈しています。
痙性麻痺と体幹の前後傾斜
体幹の前後傾斜(直立性)の原因は…
「腰椎骨盤リズムの破綻」が多いです。
加えて、大腿直筋やハムストリングといった二関節筋の痙性による短縮によって、骨盤と脊柱の連動した動きが制限される点は重要です。
perfettiは…
☑︎ ハムストリングの短縮では「膝関節伸展と体幹後傾」が生じる
☑︎ 大腿直筋の短縮では「膝関節屈曲と体幹前傾」が生じる
と報告しています。
これらの症状が出現することで、前後の体幹の立ち直り反応が消失する可能性があります。
まとめ
前額面では、脊柱起立筋、腰方形筋、内/外腹斜筋、などの筋緊張の異常や短縮によって立ち直り反応が消失し、体幹の側方傾斜を制御出来なくなります。
矢状面では、ハムストリングや大腿直筋の筋緊張の異常や短縮によって体幹の前後傾斜が制御出来なくなります。
臨床でのヒントにしましょう。
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