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両足の行為:これまでの問題と新しい仮説

よく、臨床場面では麻痺側下肢に対して片側的な機能訓練、ブリッジやキッキング、片脚立位を行ってから、実場面である歩行訓練を行うことが多いです。

もちろん、上記の方法が間違っているわけではありませんが、果たしてそれが最も最善の方法なのか、疑問に思うことも必要だと思います。

日常場面で片足だけで何かを行うことは少なく、例えば歩くときも「片方は振り出すとき働き/片方は支える働き」と、両足が必ず使われます。

それなのに、それを想定した訓練をしないのはおかしくないですか?
個別的に、部分的に行うのはなぜなんでしょうか?

そんな疑問を持ちつつも、両足同時に行う課題を考えるのってすごく難しいですよね。

そんな疑問に対して、すこしでもアイデアを広げるきっかけを作れればと思います。

訓練は人工的な行為である

訓練は改善対象とする行為の部分的な要素を内在する

やはり、今までの訓練の問題としては部分的過ぎたことが問題として挙げられます。

部分的↔全体的の相互性が常にセラピスト自身の中に落とし込めていないと、リハビリ室での訓練の為の訓練になってしまうのです。

リハビリ室での訓練の為の訓練?
よく聞くのが、「リハビリの後は調子がいいけど次の日はもとに戻っちゃうんだよね」です。

✓なぜこのようなことが起きるのか
↪︎ 日常とリハビリ室の「環境が違う」
↪︎ 動けるようになっても「動かし方を知らない」
↪︎「訓練の為の訓練」になっている
↪︎ 脳卒中は単に「片側の脳が障害されているわけではない」
…などが考えられます。

両足の行為:これまでの問題点

両足を考えた時、以下の事を考慮して介入すると思います。

☑︎ 人の移動に有用な身体の要素と細分化/多様性としての下肢の意味性
☑︎ 情報性/適合性/多様性としての足
☑︎ 最初のステップ
☑︎一連の最初のステップとしての歩行
☑︎ 支持基底面の概念
☑︎ 支持基底面の多様性
☑︎ システムのための体幹の役割
☑︎ 座位姿勢
☑︎ 立ち上がり(直立姿勢への座位姿勢からの移動)
☑︎ 直立姿勢

そこを踏まえて、行為に対しての足について、患者自身に記述を求めていたか?

いわゆる、『どのような言葉をこれまで使ってきたか?』についても挙げていきます。

たとえば…
↪︎ 右骨盤から右足へと向かう体重と左骨盤~左足へと向かう体重は左右で同じですか?
↪︎ 左足で感じる接触の感触と同じように、右足も感じる事が出来ますか?

これらが従来の考え方でした。

新しい仮説

★両足と骨盤の間の関係
★両足の相互作用のルール

具体的には…
↪︎ 更衣中の身体の空間の創発としての量側管もしくは両足と骨盤間の関係性の構成された支持基底面
↪︎ 両足から創発された、両足を含めた1つの空間としての両足間の空間
↪︎ 行為の為の空間の構築の為の身体部位間(頭部と目/肩/体幹/骨盤/足)の空間情報/接触情報/重量情報の関係性
↪︎ 重心と細分化の概念の解離

☑︎ 特に歩行に関する点
☑︎ 歩行中の身体の前方移動
☑︎ 一側下肢から対側下肢への体重移動における前後の進行
☑︎ 空間-圧情報の構築のための両足の比較への骨盤の統一的役割
☑︎ 視覚の使用と予測機関としての視覚の役割
☑︎ 前庭情報の為の頭部の役割
☑︎ 情報の統合とその重みづけ(視覚/聴覚/前庭/空間/接触/重量)
☑︎ 両足の役割の相互作用
☑︎ 後方空間の足

これらを踏まえた際に、『どのような言葉を使用すべきか』についても挙げていきます。

【問い】
↪︎ 一方の足が対側の足へどのように協調的に作用しますか?左右のために助けますか?
↪︎ 歩行中に両足の両方とも頭の中にありますか?
↪︎ 骨盤は、両足のためにどのような意味を持ちますか?
↪︎ 骨盤をどの空間(両足を含めた)に運ぶか、考える事ができますか?
↪︎ 歩行中何を見ますか?一歩ごとに視線を下げることは何に役立ちますか?
など…

【教育的視点】
↪︎ 両足間のこの空間の中心にあなた自身を位置させてください。
↪︎ 両足を骨盤とともに探してください。
↪︎ 両足の空間を考慮してください。両足を含めて捉える必要があります。
など…

両足の訓練へ

たとえば、非麻痺側下肢を基準として麻痺側の空間を構築するなど、方法は様々です。その分、考える領域が増える為、なかなかこれらを踏まえて考えるのは難しいです。

ただ、こういう視点があることだけでも知っているだけで治療の幅は広がる為、少しでもこの部分も意識しつつ臨床に挑んで頂ければ幸いです。


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