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なぜ運動させると痙縮が緩むのか??
痙縮に対して運動を行うと緩むことが臨床では多々見られると思います。
本日は簡単にですが、運動による痙縮軽減のメカニズムについて解説します。
痙縮と運動の関係
脳卒中の患者は「ウェルニッケ・マン肢位」と呼ばれる肩関節内転/内旋、肘関節屈曲、前腕回内、手関節掌屈、手指屈曲を伴いやすくなります。
いわゆる、痙縮です。これは、指を屈曲するなど、動的場面で無意識的に出現する現象です。
その痙縮を制御するために、運動ではなくストレッチが主流だった時期もあったそうですが、近年の研究では、ストレッチではなく、運動を行った方が痙縮が緩むことが明らかになってきます。
運動を行うと何が起きる??
『皮質脊髄路の損傷に伴うメカニズム』
皮質脊髄路は脊髄が過剰に興奮し過ぎないように常に監視し、コントロールをする役割がある。皮質脊髄路や網様体脊髄路の抑制性下行路が損傷すると脊髄へのla線維による求心性入力が増加し、α運動ニューロン、γ運動ニューロンの両者が興奮して「痙縮」が生じる。痙縮には他にも前庭脊髄路や赤核脊髄路からの出力、基底核、小脳、視床からの入力も影響している。
その中で、近年の研究では運動を行うことで皮質脊髄路の機能回復を高め、結果的に興奮性ニューロンに抑制をかけ、痙縮が緩むことが明らかになっています。
なので、過剰な努力を伴わない範囲での運動を行う方法が、リハビリテーションとして一般化しつつあるそうです。
ラットの研究
神経学的な背景はまだ明らかにされていない部分も多いですが、近年のラットの研究では「皮質脊髄路損傷後にはla神経線維の発芽を認め、筋収縮を支配するα運動ニューロンへの入力を増やし、これが痙縮の一端を担う(2012)」ことが明らかにされました。
つまり、皮質脊髄路損傷後に二次的に痙縮が生じる可能性が示唆されています。
手の使用によって損傷部の周辺から皮質脊髄路への投射が増え、抑制システムを促通できれば、痙縮が改善する可能性があります。
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