個人を守るために必要な支援と対策 第7章:孤立しない社会とは ⑬-1

私は成功している、成長している企業ほどこの習慣が社員全体に定常化していて、定常化した習慣を活かして日常化出来る形態に変えていくという作業を常に行っていると思っている。

 これは、直近の企業実績や人材離職率などのデータを基に判断するのだが、実績が良い企業ほど人材の流出が少なく、仮に流出しても退職内容が”独立“や”挑戦“など前向きな理由が多いため、人材育成が成功しているパターンの企業が多いのかもしれない。

 一方で気になるデータもある。

 それは“20代”から“40代”までの役職を持っていない中途採用人材が大手企業などに入社した場合に離職率も然る事ながら“燃え尽き”や“ミスマッチ”などによる体調不良や“精神疾患の発症”による休職が増加しているのだ。

 この状況は全体的な数値としては多くないのだが、人材育成との積算で考えると中小企業よりも深刻な状況に陥りかねないという警鐘を鳴らすタイミングもそう遠くない未来に起こると思っている。

 また、企業においても業務の効率化を進めるために社員の入れ替えなどを行い、新しい風を入れたいという考えで若年層の社員と中間層以上の社員のバランスを取ろうとする動きもあるが、このような動きをした時に企業崩壊が起こりやすい条件が整ってしまう。

 なぜなら、希望退職やリストラなどを行うということは“会社の状態が危ない”という状況を社員全体で感じてしまい、“行動するときかもしれない”という感情をもたらすことでプランが崩壊してしまうことになるため、会社にとって必要な社員が希望退職により企業を去り、新たな企業を立ち上げるタイミングとして取られてしまう可能性や転職のタイミングを計っていた人にとっては“自分が手を挙げて転職する絶好のタイミング”という判断が出来るため、このような人材に対して引き留めを図ろうとするが引き留めるためにはリストラを回避出来てかつ安定的な収入の維持が求められるなど条件がかなり厳しくなることも背景としては起こりうる問題である。

社会においてこれらの判断は慎重にしなくてはいけないのだが、日本というのは“現状に即した対応”という経営者心理が強いため、が海外のように発達していないことで企業が残しておきたいと思う人材が流出し、リストラ予定だった人材が残留するという企業の方針や再建プランにおける逆転現象のような事態が起こり、結果として人材育成を再度行う、不足している人材を中途採用などで補填するなど経営が悪化したとしても企業全体を立て直すためにはかなりの時間と労力が必要になるため、その間に内部留保などを活用した補填や雇用維持のために必要な手段を講じることは前提条件としてあるが、元の状態に戻るという確証はなく、場合によっては立て直し困難という事態にもなりかねないのだ。

 現在は人材選択が以前に比べると活発になり、年代を問わずにこれらの行為が行える環境になったことで求職者側も企業を選択出来るようになり、採用側である企業も人材を選択出来るようになったことで、今企業側が必要とする能力を持っている人材をリアルタイムで採用し、人材確保出来るだけでなく、“再雇用”などの継続雇用やベテラン採用などの雇用形態の拡充・採用手段の多角化など個人にとってはチャンスが広がっているように見えるため、本人にとっては“1度失敗しても以前よりもチャンスが広がっている”と思えるような希望が見えているように感じても現実は“そういうチャンスが巡ってこない”という絶望感を感じることで人というのは完全に挫折から這い上がれなくなってしまう。

 ここで難しいのが“これらの行為による人材喪失を防ぐにはどうするべきか?”ということだ。

 年々、不当解雇など短期間での離職による再就職率はかなり低下していっている印象がある。

 これは“企業側の個人イメージに対するアプローチが難しい”というのと“個人の不当解雇による精神的ダメージが企業に対する不信感を持つ要因になっている”などこれらの要因が何をもたらすかを社会全体で考えなくてはいけない課題であり、これらの行為に対してきちんとした方針を提示しなくては再就職の増加には繋がらないだろう。

現在、小説とコラムを書いています。 コラムに関してもこれから完成している物を順次公開していく予定です。 自分の夢はこれまで書いてきた小説を実写化することです。まだまだ未熟ですが、頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いいたします。