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退職願を出されたマネージャーが円満退職になるようにやるべきこと

「退職しようと思うのですが・・・」
退職願 = 口頭ベースの退職の相談や報告をマネージャーが受けた際、マネージャーがやるべきことや、逆にやってはいけないことについて、あまり語られることは無いと思います。

退職願は、退職ワークフローの中で一番最初のタイミングです。お互いにポジティブな関係を築ける退職になるか、後味の悪い状態で組織に悪影響を及ぼす退職になるかは、マネージャーのアクション次第です。
僕がマネージャーのときにやっていたことをノウハウとして書いておきたいと思います。

※ちなみに「退職願」は概念的な存在で書面で用意する必要はないです。書面で必要なのは「退職届」で最近だと退職確定時に会社指定のフォーマットで提出することが多いと思います。

突発的か計画的かを判断する

一番初めに必要なのは、退職の理由から突発的か計画的かの判断を行うことです。

人間関係や仕事上のトラブルに起因するような場合、突発的な退職として判断し、問題の解消策の提示などのいわゆる引き止めをしてみても良いかもしれません。ただ、引き止めをする場合は絶対に引き伸ばししないようにします。具体的な解決策は1回だけ実行するようにします。解決策が具体的でなかったり、実行してダメだったから次はこれ~という対応は双方にとって時間と労力の無駄になりがちです。

既に転職先や転職時期が決まっている場合、計画的な退職として判断します。基本的に引き止めは不可です。退職者(と転職先)の迷惑になるだけで良い結果になりません。頭を切り替え退職に向けて協力します。

給与などの待遇面の不満が理由の場合、待遇の見直しによる引き止めは可能ではありますが、ほとんどの場合再燃します。人員計画を早急に練り直して、来たるべきときに備えます。

建前と本音両方の退職理由を聞く

建前 = ポジティブな退職理由 と、本音 = ネガティブな退職理由 の両方を聞いておく必要があります。基本的には建前の方の理由しか言わないことが多いと思うので、本音はマネージャーでうまく聞き出す必要があります。

注意しなければならないのは、建前と本音どちらにしても反論をしないで受け入れる必要があることです。退職の理由を話すのはそれなりに勇気がいることなので退職者の気持ちも考えて発言したほうが良いと思います。
本音の理由に関しては、一通り退職に関する話が終わってから話題に上げるほうがスムーズに進むことが多いです。

本音を聞く理由は組織内にある課題を見つけだし、将来の改善に繋げるためです。ライフステージの変化など個人的な理由の場合だったとしても、転職をすることでどのように改善をするのかなどヒアリングしておくと良いかもしれません。

また、残されるメンバーに対しては建前の方の退職理由を話してもらうことになります。極稀に本音のみしかない場合もありますが、その場合は建前の理由を考えておいてもらいます。
個人的には本音のみで話してもらっても良いと思うのですが、その場合はネガティブな理由を聞くメンバーのアフターフォローを考えておく必要があるのに注意します。

退職まで責任を持つ

マネージャーに上司や専任の人事が居たとしても絶対に丸投げをしてはいけません。退職が完全に完了するその日まで、マネージャーは退職者のコンシェルジュとなり、退職者に寄り添う責任をまっとうします。

退職までのアクションの都度または定期的に、退職者や上司&人事にヒアリングを行いましょう。進捗が芳しくない場合やトラブルが起きている場合などは、退職者側の立場で間に入って調整をします。理由は退職者は基本一人なのですが、会社側は組織なのでパワーバランスが悪いためです。

組織から去る退職者側に加担することにメリットを感じなかったり、自分の評価が下がる事を気にするマネージャーもいるかもしれません。ですが、引き継ぎがうまく行かなかったり、残るメンバーのモチベーションが下がった場合に影響を受けるのはマネージャー自身なので、リスク回避のためにも積極的に動きましょう。

退職までのフローやスケジュールを説明する

退職までに必要なアクションやワークフローを退職者に説明します。ワークフロー上で多少時間がかかる場合はそれも合わせて伝えておくと良いです。有給休暇の残日数の確認などもこのタイミングで行ってください。

有休買取などが適用される条件やケースなどは、就業規則などを確認した上で人事に聞いておきましょう。聞かれたときに分からない場合はしょうがないですが、これを機にキャッチアップしておくと良いです。

情報の公開範囲や方法を共有する

退職者が退職する旨の情報の取り扱いについてです。退職ワークフロー上の、どのタイミングで、誰から誰に伝達されるのか、必ず共有してください。退職者が「チームメンバーやお世話になった人には自分から話したい」というのはよくある話なので、それを加味した上でスケジューリングすることになります。逆に退職者から伝えてほしくない場合は、具体的に理由と解禁時期も添えて説明してください。

一番のトラブルになりがちなのはここです。
「チームメンバーに自分(退職者)から伝える前に、~~からみんなに情報がまわってしまった。」というような事があると、今まで積み上げてきた信用も一気に崩れます。スケジュールにも大きく影響が出てしまうので、退職情報は取り扱いに注意してください。

また、転職先の会社名などの情報を教えてくれた場合、情報の共有については必ず本人の許可を得てください。共有して良い場合も基本的には退職者本人から話してもらったほうが良いです。

引き継ぎのお願いをちゃんとする

退職者にとって引き継ぎは必須ではありません。マネージャーから退職者に引き継ぎを可能な限りやってもらえないか、明確に依頼します。

引き継ぎを了承してくれた場合、引き継ぎ項目とスケジュールなどの「引き継ぎ計画」を退職者とマネージャーで話し合って作成します。その際、絶対に退職者に丸投げしないでください。引き継ぎは「会社都合」なので、計画作成とその実施は会社側が責任を持つべきかと思います。

もし、退職者が引き継ぎに関して自分から切り出してくれたり、予め考えていてくれた場合は最大限の感謝をしましょう。

最後に

退職後も良好な関係を築くことは非常に重要だと思います。残されるメンバーが退職に関してネガティブなイメージを持つと、途端に悪循環が始まります。退職したメンバーが次の職場で活躍する姿をメンバーが見ることで、今の仕事に対するモチベーションの向上にもつながります。

僕がマネージャーをしていた頃は、「今日のどこかで話す時間もらって良いですか?」のセリフに怯えていたのですが、今になって振り返ると退職代行などのサービスも選択肢にある中で、退職を事前に伝えてくれていたことはポジティブに捉えても良かったのかなと思います。

退職が退職者や会社の両方にとってポジティブになると良いなと思います。

おわり

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