愛とは暴力だ

あなたが誰よりも一番わたしのことを愛しているのは知っている。

その愛がゆえに
あなたはわたしを特別な人間なのだと思ってくれている。本当は平凡で弱い人間なのに。

その愛がゆえに
あなたはわたしに類稀な才能があると信じていてくれている。本当は努力も嫌いで秀でた能力も待っていないのに。

その愛がゆえに
あなたはわたしに美しさや着飾る権利があるといって多くの装飾品を与えてくれる。本当は他人よりほんの少し綺麗であれば満足なのに。

その愛がゆえに
あなたはわたしにもっと多くの人から認められるべきだと叱咤してくれる。本当は大したこと何ひとつしていないのに。

その愛がゆえに
あなたはわたしを他人を好きなように利用してもよいと持ち上げる。本当は周りの人の気持ちが気になってしまうのに。

その愛がゆえに
あなたはわたしにあなたの理想を押し付けてくる。本当はわたしへのあなたの理想は妄想なのに。

あなたの愛は痛い。

あなたの愛とは暴力だ。

過ぎた自己愛とは暴力なのだ。

「あなた」とは「わたし」だ。

《最後まで読んでくださり。有難うございます。》

《試験的に音声とってみました。→ stand.fm （ちょっと不気味ですが）》