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【Montgomery Summit速報】AIモデル自動生成とリスキリングのスタートアップに注目!

米国時間2022年5月24日から25日にかけて、米国著名ベンチャーキャピタルのMarch Capitalが主催する年次カンファレンスMontgomery Summitがカリフォルニア州サンタモニカにて開催されました。本イベントは招待制のクローズドなイベントで、参加者は主にベンチャーキャピタル、スタートアップのCEOやエグゼクティブです。

本記事ではホストであるMarch Capital、Montgomery Summitについて、そして本イベントに登場したスタートアップの中から日本でも受け入れられそうな2社をピックアップしてお届けします。

March Capital


March Capitalはカリフォルニア州サンタモニカに拠点を置くベンチャーキャピタルで、2022年5月時点で7つのファンドを組成しています。資金の合計は$1.8B(約2,250億円)で、投資対象はアーリーからレイターまで幅広く、領域もセキュリティやAIなどのテック系から産業特化系まで多岐にわたります。代表的なエグジット例としては、2019年にIPOをしたサイバーセキュリティのCroudStrike、VMwareに買収されたSD-WANのVeloCloud、そのほかユニコーン企業のBIツールを提供するThoughtSpotなどがあります。

Montgomery Summit


Montgomery Summitでは、March Capitalが出資するスタートアップによるピッチや対談などのセッションが数多く用意されています。しかしこのイベントのメインは個別商談です。イベントには資金調達を考えるスタートアップやより良い投資機会を求める投資家が集まるため、個別商談のテーブルは常に満席という状態です。

個別商談をしたい時は、専用のアプリから商談相手へ依頼を出します。相手がそれを受け入れると商談テーブルが自動的にアサインされ、商談時間にそのテーブルに行けば会えるという仕組みです。スタートアップ側と投資家側の両方、さらには新たな人脈作りを目的としている人にとってはとても魅力的なイベントです。日系企業からはJCB、NTTData、NECなど、ベイエリアを拠点に活動している駐在員の方々も参加をしていました。

今回はそんなMontgomery Summitに登場したスタートアップを2社紹介したいと思います。

SparkCognition(AIモデル自動生成ツール)


SparkCognitionはテキサス州オースティンを拠点とするAIモデル自動生成ツールのスタートアップです。March CapitalがシリーズCラウンドとDラウンドにおいてリードで投資しているほか、米国大手通信キャリアであるVerizonや大手航空会社Boeingなども出資しています。今回のMontgomery SummitではSparkCognitionのFounder&CEOであるAmir Husain氏とMarch CapitalのManaging PartnerであるSumant Mandal氏の対談があり、各業界へのユースケースなどの話で注目を集めていました。

SparkCognitionが提供するツールは、AIを活用するためのステップであるデータ加工、特徴抽出、AIモデル自動生成、評価、精度向上の一連のサイクルをカバーしています。同社の強みは、AI活用の最も重要な要素であるAIモデルの自動生成部分を独自で開発し、その技術特許を保有している点です。

従来はデータサイエンティストがユーザーの要望に合わせたAIモデルを構築するのに数ヶ月から数年かかっていましたが、SparkCognitionを利用すればそれが数日から数週間に短縮されるだけでなく、精度の向上も期待できます。

SparkCognitionはAIに学習させるための十分なデータがあれば業界問わず活用が期待できる汎用型AIであるため、日本市場でも利用できるケースが多そうです。

対談の様子(左からSumant Mandal氏、Amir Husain氏)


SkyHive(リスキリングプラットフォーム)


SkyHiveは2017年に創業しカナダのバンクーバーを拠点とスタートアップで、リスキリングプラットフォームを提供しています。SkyHiveが提供するプラットフォームの活用方法は大きく分けて次の2ステップです。

1.従業員のスキル可視化

各企業の人事システムと連携するほか、履歴書などからデータを集めて、従業員の現時点でのスキルを可視化します。

2.パーソナライズされたリスキリングのプラン作成

ステップ1で可視化した従業員のスキルと将来的に必要となるスキルのギャップを可視化し、従業員ごとに今後のキャリアプランを提案します。それにより、例えばソフトウェアエンジニアであれば、中長期的なキャリアプランとしてマシーンラーニングエンジニアやCTOなどのキャリアパスがあるとわかるため、現在のスキルが将来的に不要になる、または価値が下がるのではという漠然とした不安を解消できます。

またテック人材が不足気味で採用も困難な昨今、人事部がSkyHiveのようなツールを導入して従業員の長期キャリアを支援すれば、離職防止の効果も期待できそうです。

従業員のスキルを可視化(SkyHive公式ウェブサイトより引用)


注目ポイント


このイベントに参加したのは今回が初めてでしたが、個別商談の場を設けやすい点がとても魅力的だったと感じます。実際、私自身もイベント開催中に6つの個別商談を実施できたのですが、その一方で5つの商談依頼は受け入れられず残念な思いをしました。人気のスタートアップCEOや投資家はすぐに予定が埋まってしまうほか、商談スペースが埋まっていて商談できないパターンなどもあったため、前日や当日の依頼だと遅かったのかもしれません。次回は数週間から前から商談依頼を投げる必要がありそうです。

また印象的だったのは夜の懇親会で出された食事はどれもヘルシーな食べ物ばかりで、アメリカでよくありがちなピザなどの食べ物は全く用意されていませんでした。この点も普段とは違う世界観を楽しめた一方、少し物足りなさもありました。

日本企業で事業開発をミッションとして活動している方にもおすすめのイベントですので、もう少し深く知りたいという方はぜひお気軽にご連絡ください。

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