今日は、前島伸一郎先生、大沢愛子先生著の「脳卒中による記憶障害」の文献です。

記憶障害の要因としては、脳卒中が一番多く、エピソード記憶の障害を呈します。

またくも膜下出血や脳外傷、変性疾患の比率も相対的に高いものとなっています。

◯ 記憶の分類

臨床的には、即時記憶・近時記憶・遠隔記憶という用語が用いられる。
心理学用語では、短期記憶・長期記憶としばしば混同されて使われるため注意が必要。

即時記憶は、数唱や空間的系列位置の即時再生などで評価される。
近似記憶は即時記憶よりは記憶時間が長く、ある程度の時間(数分から数日)保持される。
記銘と再生の間に干渉を受けるため、保持された情報は意識から消えてしまう。

遠隔記憶はさらに長い時間の記憶であり明確な定義はないが個人の生活史などを尋ねたりして調べる。

短期記憶は心理学用語で時間的には数秒から数分。即時記憶とほぼ同列に扱われる。

◯長期記憶

長期記憶は短期記憶から転送されほぼ永久的に貯蔵された記憶ということになる。

 記憶の分類としては、長期記憶は陳述記憶と非陳述記憶(手続き記憶)に分けられる。
 手続き記憶は、自転車に乗る、楽器を演奏するなど身体的運動機能に関する記憶である。非言語的な記憶であり、言語化して明示することは困難。
 これに対して、陳述記憶は感覚器を通して、形成された記憶や概念であり容易に言語化される。

◯陳述記憶

陳述記憶は、意味記憶とエピソード記憶に分けられる。

意味記憶は物事や事象などの一般的な知識に関する記憶であり、抽象的概念の記憶とも言える。
エピソード記憶とは時間経過を伴う一連の記憶を指し、個人的に体験した出来事に関する記憶である。

◯ 脳梗塞、脳出血による記憶低下

【内側側頭葉病変】
海馬に限局:前向き健忘
海馬、海馬傍回の損傷:重篤な後向き健忘
側頭葉内側の広汎な損傷では古い記憶の検索が障害される。

【視床】
エピソード障害
両側視床内側病変を来した場合重篤な意識障害を起こすことがある。

◯ くも膜下出血

蜘蛛膜下出血そのものによるびまん性の障害のみでなく、脳内出血、手術による侵襲、脳血管攣縮、水頭症の影響など様々。

一般的には重症度が高いほど機能予後は悪く、記憶障害などの発言も視野すい。

最も多いのは前交通動脈瘤破裂後の基底部健忘である。


今日はここまで。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?